灰色の空のむこうには…

劔岳 点の記


人がどう評価しようとも、何をしたかでは
なく、何のためにそれをしたかが大事です


明治３９年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量手、柴崎芳太郎
は、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍から、最後の空白
地点である劔岳の初登頂と測量を果たせ、との命令を受ける。
立山連峰にそびえ立つ劔岳は、その険しさから多くの者が
挑みながら誰一人頂上を極められずにきた未踏峰の最難所で
あった。さらに、最新装備で初登頂を目指す日本山岳会と
いう強力なライバルが出現、測量隊には陸軍のメンツという
重いプレッシャーがのしかかる。そんな中、柴崎は前任の
測量手・古田盛作を訪ね、信頼できる案内人として宇治長次郎
を紹介される。そして翌４０年、柴崎たち測量隊一行は総勢
７人でいよいよ劔岳の登頂に臨むのだったが…。

この映画はほとんどCGを使わないで、実際の劔岳で測量隊と
同じ行程ほぼ忠実に辿る危険な撮影をしたということですが、
僕にはこれまで理解出来なかった危険な登山をどうしてする
人がいるのかということが、自分ではやろうとまでは思わ
ないですが何となくわかる作品でした。それほどまでにこの
映画で撮影されている劔岳の映像は美しく、とても雄大で
自然の厳しさをびしばしと感じることが出来ました。

そんな素晴らしい映像と比べると、ストーリーがあまりにも
淡々としすぎていたのが残念でした。特に拍子抜けしたのが
測量隊が劔岳に登頂出来たときの一番のクライマックスの
シーンがあったのですが、それまでの厳しい道のりのシーン
と比べてもう登頂出来たの？と思えるくらいにあっさりと
終わるというものでした。出来ればこの劔岳のルート図とか
測量隊が目指した道がどのようなものであったかを、全体図
として出しながらのものでしたらその行程をイメージしやすい
ものだったと思います。