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カテゴリ:本の話題
血煙り新選組 これからはおれのようなだれにも縛られぬ浪人が、 国を動かしていくのだ 剣の長さは二尺四寸、元幅一寸、反りは七分、波紋は涛爛に 乱れ交り、鍔の鍍金も鞘の漆も剥げた一振りの剣――。戦国の 世、今川の駿府城に降臨した無銘剣は本能寺、関ヶ原を彷徨し、 泰平の栄華を謳歌する徳川の世に漂着した。そして今また、 血飛沫舞う幕末の世にその凄まじい剣気を迸らせる…。 とうとう人間の剣シリーズも、戦国編から江戸編を経て幕末 維新編へと突入したのですが、展開としてはこれまで同様の 無銘剣を案内役に重大な歴史的事件の契機となった無名の 人物たちに焦点を当てて、有名な出来事でも違った視点から 多角的にそのことを考察しようというのがやはりこのシリーズ の魅力なのではないかと思います。 桜田門外の変における井伊直弼の駕籠を守った武士の話や、 坂下門外の変における同時期に起こった事件、それに生麦事件 における異人と薩摩武士の戦いなど、普通の歴史小説を読んで いても登場することすらない人物の物語はこれまでの知識には ないところを刺激されるのでどうなるのかと期待しながら読む ことが出来ました。 これまでのパターンでしたらいくつものエピソードが1つの 巻に収録されているのですが、今回の後半の物語は天誅事件に 纏わる復讐のために新選組にまで入隊した商人の長編で構成 されていまして、本巻だけで決着がつかず次巻までその物語 は持ち越しとなっているところに武士ではなく商人の目から 見た新選組を始めとする幕末の矛盾を描き出しており、そう した意味でも次巻の展開がどうなっていくのか、とても楽しみ です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.09.27 22:53:03
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