灰色の空のむこうには…

僕の中で行きつけのお店というのはいろいろとあるのです
が、その中でも新規開拓をしようと思ったことがないお店
といえば散髪屋さんです。

実家から近いということもあり、物心ついたときにはもう
すでにそのお店に通っていまして、またお店の若大将が僕
と同じ小学校と中学校という気安さからか、何の疑いもなく
ずっと通っていまして、これからも通うものだと思って
いました。


しかし、この春に結婚して実家から出た僕としては、散髪
の都度実家に帰るというのもなかなかに面倒なもので、前
のときにはそのお店でカットしてもらったのですがうちの
両親と都合が合わず実家に寄らずにとんぼ帰りということ
もあったので、ここはひとつ今の住まいのそばにあるお店
を新規開拓してみようと思いました。

で、これまでは意識して散髪屋さんというのを見たことが
なかったのですが、いざ自分がどこにしようかという見方
をして街を歩いていますと、至るところに散髪屋さんは
ありまして、また値段もマチマチなので近所に住む先輩方
にリサーチしますと、変に安いところに行って失敗する
こともあるということを聞きましたので、失敗してもまた
髪は伸びるとはいえ失敗しないに越したことはないなぁと
思い、先輩方が通っているところを聞きますと、良心的な
値段でやっているお店があるというのを教えてもらった
のでそこに行くことに。

場所は家から自転車で１０分も走らないところにある商店街
のすぐ中にあるということで、ドキドキしながらその散髪屋
さんに行ったのですが、これまで通っていた散髪屋さんは
若大将１人で切り盛りされてて完全予約制だったのですが、
その散髪屋さんはカットするイスが８つくらい並べられて
いまして、散髪する人が黙々とカットするという異様な光景。

外から眺めてちょっと敷居が高い威圧感を感じてしまった
のですが、受付の人がちょうど出てこられまして呼ばれて
しまったので、覚悟を決めて入ることにしました。


中に入ると、僕の他にも待っている人がいたのですが、その
お店はすごく回転率がいいところみたいで、さくさくっと
カットしたかと思えば次々にお客さんを呼ぶというところ
でして、僕の先に２人ほどいたにも関わらず５分もしない
うちに呼ばれました。

僕をカットしてくれる人は５０代半ばの方でして、どんな
感じにするかを都度都度確認してくれて、時間短縮出来る
ところは文明の利器であるバリカンを使うという効率重視
のカットでして、地元の散髪屋さんはカットにはハサミしか
使わないという職人さん気質でしたから逆に新鮮で良かった
です。

カットした上に顔剃りにシャンプーまでついて、お値段は
１８００円とリーズナブルなもので、しかも時間は２０分
ほどで仕上がりなのに、ごつい手でカットされたにも関わ
らず仕事は丁寧な方でして、これはこれで僕の中ではとても
満足なものでした。


終わった後に、散髪してくれた方からだいぶすっきりと
しましたねぇと言われたのですが、いやいやすっきりして
いただいたのはこちらのほうですよと思いつつ、これほど
格安でハイレベルなカットをしてもらえるとはなかなか
最近の価格競争も体験しないとわからないもので侮れない
なぁと思いました。