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カテゴリ:本の話題
STEINS;GATE 永劫回帰のパンドラ 時間と空間が同列だというのなら、なぜ空間は こんなにも容易に移動できるのに、時間は不可能 なのかしらね 2010年冬。アキハバラテクノフォーラムの夜、岡部 倫太郎と比屋定真帆を襲った怪事件から数日後。 真帆のはからいで、八ヵ月前の牧瀬紅莉栖の記憶を基に した人工知能「Amadeus」と 対面した倫太郎。だが、 自分の知る紅莉栖とはどこか異なる反応に、行き場の ない空虚さは増すばかりだった。そんな中、岡部は突然 橋田至から「椎名かがり」という人物と、紅莉栖に関わる 相談を持ちかけられる。それらの問いは、心中に困惑と 言いようのない不安を 侵食させていく。静かに、しかし 確実に。苛酷なる運命が岡部と真帆の周囲で 蠢動し はじめていた。 禁断の函の中の「彼女」が秘めるのは、希望か、それ とも絶望か―――。 完全新作な前巻の続編である本巻をさっそく読み終えた のですが、一番感じた率直な感想としてこれまで感じた ことがなかった寂莫とした虚しさを痛感しました。 この物語は、そもそも過去にメールを送ることが出来る 機械を発明した主人公たちそれぞれのメンバーが過去に 後悔してきたことを改変することで最悪な結末が待つ 未来になるのを、元通りに戻すだけでなくさらなる未知 の世界であるシュタインズゲートへと至ろうとする作品 です。 本作はそんなシュタインズゲートへの一歩手前、主人公 にとって最愛の女性が目の前で殺されてしまった世界線 での話になるもので、オリジナルではいくつもの世界を 繰り返してきた主人公にとって数ページにもならない 世界での出来事でしかないのですが、にも関わらずこの 世界にも新しい出会いや別れにとりとめのない日常が 営まれてたりするというのは。 世界線を移動することでそれらがすべて無へと帰し、また 新たな世界が築かれることになるのですが、この物語の 最終目的がシュタインズゲートにあるとはいえ、こんな 印象的なエピソードが主人公以外誰の記憶に残ることなく 消え去ることが前提の日常というのは、何と滑稽でいて 道化なのかと思うと、楽しみにしている作品でも何だか 心にすきま風が吹く思いがしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.01.30 22:00:00
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