灰色の空のむこうには…

お店回りから帰ってきて内勤していますと、同じ法人担当
であるタチウオ先輩が大きなビニール袋を片手に帰って
来られました。


そのままご自分の席に戻られるかと思いきや、袋を持った
まま乙女先輩のところへ行かれまして、中を見た先輩は
うわっ！といきなり先輩のテンションが上がったので何が
あったのかと思いきや、袋の中から取り出されたのはよく
コンビニとかで売られているアニメ「ワンピース」の
フィギュアの箱が６つも。

確かあれって１個３００円ほどする代物だったようなと
思いながらも、６個入りのケースを大人買いしてきた先輩
にどうしたのか乙女先輩が聞きますと、どうやら先輩が
担当されているお店に置かれていたみたいで、商品陳列の
入れ替えのために処分価格が出てたので思わず買ったとか。

で、タチウオ先輩はそれを乙女先輩に後輩さん、タチウオ
先輩に柏原くんにもう１人の先輩、そしてまだ帰ってきて
いない大天津飯先輩にと、大天津飯先輩以外には自分で
どれか選ばせながら配っていました。


まぁ、うちの法人担当は全員で１１人いまして、そのうち
６個しかないのであぶれてしまうのは問題ないのですが、
タチウオ先輩からもらった人間はそのフィギュアを社用車
に飾るように言われていたのである意味セーフかなと。

ちなみにそのフィギュアというのはワンピースで６種類の
シーンをテーマに作成されているのですが、そのうち５つ
は有名なシーンもしくはキャラが登場しているというもの。

さっそく一番のフィギュアを引いた乙女先輩はわくわく
しながら何が当たったのか開けてみると、これがすごい
引きなのか、唯一ほとんど知られていないマニアックな
キャラ？というか能力者のシーンが当たり、ガクッと落ち
込んでいました。


ある意味すでに外れが出たので、他の人たちはまさかそれ
はもう出ないだろうと気楽な気分で開けますと、それぞれ
みんな違う有名なシーンが出たので、乙女先輩はみんなに
替えてと頼んでましたがスルーされてました。

そんな乙女先輩、いきなり大人しくなったかと思えば僕に
うちのあげるわと言い出して渡されまして、みながワイ
ワイとワンピース談義に花を咲かせているところにこの
部品は使わないからうちがもらっていいやろと、みんなの
余っている部品を回収されたのです。

どうしたんだろう？と先輩をのぞくと、そこにはバラバラと
部品があるなぁと思えば、先輩はそれを並べ始めるとそこ
にはフランキーの姿が！


どういうこと？と思って先輩に聞くと、説明書にフィギュア
のシリーズには使わないパーツがありそれを全部集めると、
シークレットキャラが完成するというのを見つけたそうで、
先輩の他に今いる４人が全員違うのが出たので回収したとか。

さすが先輩、目の付けどころが違うと思いながらも集まった
パーツを見ると腕と脚と頭はあったのですが、肝心な胴体が
ないためこれだけじゃ飾れないので意味ないじゃーんとボヤ
いてました。

まだ大天津飯先輩が帰っていないため、先輩の分が開けらて
おらず、ひょっとしてシークレットキャラが揃うかもと先輩
はいつ帰ってくるんだとみんながうずうずしていたのですが、
とうとう我慢できなくなった某先輩がえいっ！と先輩のやつ
を開けたのです。


すると中に入ってたのはミラクルなことにまだ誰も出てない
最後の１つで、そそくさと箱を開けた某先輩は綺麗に元の
状態に直して大天津飯先輩が帰ってくるのを待って、無事
シークレットキャラをゲットした乙女先輩はるんるんでした。

そんな先輩の隣の僕の机の上には、誰にも触れられない微妙
なフィギュアが残されていまして、フランキーを動かして
遊ぶ先輩の横で、やっぱりこれって僕が社用車に飾らないと
いけないのかなと悩んでいたのですが。