灰色の空のむこうには…

忘れないでほしい
君はひとりぼっちじゃない


風光明媚で普段は静かな海辺の町、玻璃ヶ浦。しかし今は、
海底鉱物資源の開発を巡り、賛成派と反対派が激しい対立
を繰り広げていた。湯川はそんな玻璃ヶ浦で開かれる地元
説明会にアドバイザーとして招かれ、川畑夫妻とその一人
娘、成実が営む小さな旅館“緑岩荘”に滞在することに。
彼はそこで、親の都合で夏休みの間だけ親戚の川畑家に
預けられていた少年、恭平と出会う。子ども嫌いの湯川
だったが、恭平とは不器用ながらも心を通わせていく。
そんな中、緑岩荘の宿泊客で、１６年前にこの町で起きた
殺人事件の捜査を担当した元警視庁の刑事、塚原の変死体
が海岸で発見される。連絡を受け現地に入った捜査一課の
岸谷美砂は、運良く居合わせた湯川にダメもとで協力を
依頼するが…。

前作「容疑者Ｘの献身」を見てガリレオシリーズに興味を
持ち、そして「ガリレオ」第２期を見た僕にとって、この
映画がどんな思いをもたらせてくれるのか、それがすごく
興味のあるところでしたが、見終えた感想としましては
まず一言、その期待を裏切らない素晴らしい作品でした。

前作ではまず犯人ありきで、家族の肖像を描くことで感情
移入をした上で巧みなトリックを使った妙味に唸らされた
のに対して、本作ではただの事故として処理されかれない
事件を調べていくうちに、点が繋がって線となったときに
明らかになる予測不能な真実へ至る過程が淡々と描かれて
いました。

本作は玻璃ヶ浦という海の町が舞台になっているのですが、
その町の名の由来となった玻璃とは宝石のように海底が
輝くことから名付けられており、それはまさにこの玻璃の
ように目で見ることの出来ない家族の絆がテーマとなって
いるように思えまして、真実を曲げてでも秘密を守るため
に犠牲となる家族愛の姿が、他に解はなかったのか不完全
燃焼に思いながらもいつの間にか感情移入してしまって
いる、見応えのある作品でした。