天然水よろしく。
どぶろくに使った天然水は飲み口がすーっと腑に落ちる感じだ。逆に水道水は何だか吸収が悪く感じられる。これらの違いは、本を読んだり、話を聞いたり、という時にも感じられることだ。現場で実際の経験を積み、それをもとにした話というのは、すーっと入ってくる。しかし、例えば、研究所でのデータをもとに頭の中で組み立てられたような話は、何となく違和感が残る。本やテレビ、あるいは人伝いでそのまま語られる話も同じだ。語る人自身の体験とリンクしていない話は、どことなく飲み込みに違和感を感じるのだ。そういえば、百姓塾の赤峰さんの話は、すーっと入ってくるものが多かった。畑での実践の中で熟成されたものだからだろう。しかし、世の中の大半の人は、例えば、農家の人の話と研究者の話、どちらに耳を傾けているだろうか。テレビや新聞、本といったメディアでは、研究者や評論家、コメンテーターなどの話が取り上げられることが多い。もちろん現場からの声を参考にして発言していることもあるのだろうが、相当希釈されているように感じる。聴くにつけ、話すにつけ、気をつけなければ。まずは現場での実践ありき、だ。そうして、天然水よろしく、心に染み入る言を目指したい。