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テーマ:小説かいてみませんか(122)
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私の家は、完全に乾燥地帯にあった。干乾びていた。
乾燥地帯のはずの私の家には、溺死者がいた。父と母だ。父は仕事とギャンブルに溺れ家に寄り付かなくなっていた。母は決してつかめない愛情のかわりに子供、すなわち私に溺れていた。私を愛情という甘い毒の縄で縛り上げ、鵜飼のように一定距離だけ放つ。おいしそうな餌を飲み込んだら、すかざず首を締め上げ、吐き出させる。 そして、満足する。悪いものを食べないように守ってやったと。 私は、ゴブゴブと塩素のたっぷり入ったくさい水を飲んで溺れかける。泳げるはずの私もまた、この家に戻ると溺死する。 私は、親の偏った思いやりに溺れている。 随分とこのプールの水を飲んだ。昼間の練習が嘘のようにしんと静まり返っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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