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テーマ:小説かいてみませんか(122)
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大学生だったあの時、私は自意識過剰だった。自分の海でもがいていた。何もかも思うとおりにいかなくて、家族とも、他人ともうまく関係を続かせることができず、くすぶった感情をプールに溶かしこんでいた。
今頃、部員達はOBとの交流試合の後のお約束の飲み会で、もう3次会でもやっているかもしれない。 水泳部のOBになって、このプールにやってきたのは2度目だった。最初は卒業した年に、半分義理でいった。それから、ずっと避けていた。 私の同期はきっともうこのプールには、こない。 ずっと、こない。 卒業した年に、義理でやってきた交流試合のあと、深夜のプールに同期のリョウは沈んでいた。 最初に発見したのは、私だった。わたしの目の前で、リョウはゆらりと水面に浮いてきた。鏡のように水銀灯を反射していた水面が割れて、リョウが現れた。 きれいだ、と最初に思った私はそれから自分を許さなくなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.06.29 21:19:06
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