すこしだけ、近づいた日
なぜか気が向いて、羽田空港へふらっと遊びにいきました。展望台で次々と離着陸する飛行機を見て、これに乗れば北海道に帰れる、と空席状況をとっさに見た自分に嫌悪。いつも実家からこっちにもどってくる飛行機では離陸のとき涙がとまらなかった。今時、こんな場面なんて格好悪いけど。いつも遠ざかる苫小牧の平野がにじんでいた。私だけか、と鼻をすすっていた。あとで電話したら、友人もいつも泣いていたって。なんだ、同じ。もう二度と戻れないわけではないのに、なぜかとても純度の高い悲しさが涙になってくる。さらりとしたあまりしょっぱくなさそうな感じの涙。実家に帰るのはわくわくする。でも戻ってくる日を思うとせつなくなる。その均衡がだんだんずれてくると、帰れなくなってしまう。あと一歩のところまで実家に近づいてみた日。空港限定のお弁当とお菓子をかって帰りました。きょうは、泣かなかった。お弁当、おいしかった。