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テーマ:今日の出来事(292914)
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皆さんには記憶と共に残る味ってありますか? 確実性なんて無くていいんです。 そういえば小さい頃にここのお店に買い物に来たなとか、 友人と食べたな・・・ とか。 でも、得てしてそのお店って代替わりして味が変わってしまっていたり お店が無くなっていたりと結構残念な結果になることが多かったりします。 でも今日は記憶の味と25年振り?(いや、それ以上?)に御対面をしてきました。 私の記憶に残る味・・・ それは「ところてん」 しかも、酢醤油のタレではなく黒蜜をかけて食べるのです。 高校生くらいになった時、友人に黒蜜をつけて食べると話したら ものすご~く不信な顔をされましたが、私の中ではところてんは黒蜜なのですよ。 小さい頃からずっとところてんは黒蜜。 でもね、大きくなってから昔の味を求めてパック入りのところてんを買い 黒蜜をかけてみたら酸っぱくて美味しくなかったの。 その時以来、私の中での「昔ところてん」は完全に記憶の中での味となりました。 その「昔ところてん」のことなんてすっかり忘れていた時に 仕事で一緒になった地元の人に何の気なくその話をしてみました。 そしたら、まだあるっていうじゃありませんか!! あの味がまだある!! そう思ったらいてもたってもいられなくなって、 今日車で遠い記憶を辿りながらのちょっとした旅・・・ 昔・・・ 私がまだ2~4歳、保育園にあがる前の頃の話です。 家庭の事情から父方の実家から長屋のようなアパートに引越して 私達家族は生活してました。 大家さんのお家に遊びに行ったり、中庭で兄と遊んだり・・・ 母が手作りの服を作ってくれたり・・・ 断片的ではありますが幼い頃の記憶が残ります。 そして、その中で母と兄と散歩がてらに買いに行ったところてん。 大きな学校のそばの細い道を奥に奥に進んでいくと右手側にお店はありました。 豆腐屋さんのようなそのお店にはおじいちゃんがいて、 「ところてんください」って言うとビニールの袋に突きたてのところてんを 入れてくれました。そして黒蜜。 家に帰って甘くて冷たいところてんを食べるのは最高の楽しみでした。 そう・・・ 今日みたいにちょっと暑さを感じる日には もってこいのおやつだったのです。 お店の近くに車を停めて、あの頃と同じく母と記憶を確かめながら お店へと足を運ぶ。 母はしきりに「そうだったっけ?」「覚えてないわ」を繰り返します。 母にとってあのアパートの時期は思い出したくない記憶でもあるのです。 単に「昔ところてん」に出会いたいだけの私にしてみたら、 このところてんに母は会わない方がいいのだろうか・・・ と 少しばかり後悔しながら、様変わりしてしまった道を歩きました。 私の頭の中が興奮してくるのがわかります。 辿る記憶の糸が現実であったと確証する興奮・・・ 少し曲がった道を過ぎた先に、右手側に、その店はあるはずなのです。 こんもりとした垣根の先に、そのお店はありました。 それも昔のまま・・・ 「あった! お母さんあったよ!!」 先ほど感じた後悔の気持ちも忘れて歓喜の声をあげてしまいました。 写真には残っていない自分の記憶との再会のような気分でした。 中を覗くと「いらっしゃい」と若い女将さんが声をかけてくれました。 アルミの引き戸を開けると、暗くてひんやりした店内が目に飛び込んできます。 残念ながら店内の記憶までは残っていなかったけれど、 外装は「あぁ、そうだ」と納得のするのもでした。 女将さんに実は25年くらい前に買いに来たことがあること、 おじいさんがお店にいたこと、黒蜜で食べた記憶があること・・・ そんな話をしました。 おじいさんはまだご健在で、現在94才だとか。 「今日はこれからお葬式でね、70歳の仏さんのところに90の爺さんが 行くんだから笑っちゃうわよね」と明るく話す女将さん。 地元の友人も言っていました。 「おじいさんはまだまだ現役でお店に立っている。でも計算を間違えて 息子さんに怒られてるんだよね」って。 おじいさんが女将さんになったけど、昔のままに突きたてのところてんを ビニール袋に入れて、黒蜜を添える。 お店を出て、車までの道すがら母が言いました。 「思い出した。ところてんを買ったあとに、子供には重いし。転んで袋に穴をあけてはいけないから、お母さんが持つって言うと、あんたは、いいの私が持ちたいのって言って、嬉しそうに抱えていたっけ・・・」 家に帰ってから25年振りに食べたところてんは 私の記憶の中にあるあの味のままでした。 ノスタルジーにひたる味・・・ 私にとっては黒蜜をかけた、あのところてん。 手作りで、突きたての、黄色身がかったあのところてんなんだな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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