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テーマ:今日の出来事(292875)
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高齢化が進む昨今、どこかしこで「福祉」という言葉を耳にします。
高齢者に、障害者に、子供に... 皆に優しい町作り。それが福祉!といった塩梅でしょうか。 これからお話することは私の住む地区で実際に起こっている問題です。 私は関東の某県に住んでいます。 いわゆるベッドタウンといわれる町です。 都心に出るまでにはちょっと時間がかかりますが、その分、緑豊かでのどかなところです。 ちょうど私の家は大きな交差点の近く立っていて、一体が市の「福祉モデル地区」に指定されています。 ここに家族で越してきてから10年以上、平和に生活を営んできました。 そんな生活を一変させたものがあります。 それは視覚障害者用信号機。 「ピヨピヨ」「カッコー」「とうりゃんせ」といった音の流れるあれです。 それが5月、何の前触れもなく取り付けられました。 市や警察から何の説明もなしにです。 そしてその音は朝の7時~夜の7時まで、土曜だろうが日曜だろうが、 365日休むことなく鳴り続けます。 規定により設置する高さは3.3mと決められているらしいのですが、 ちょうど2階付近にスピーカーがくるといった感じです。 あまりの突然な出来事にご近所中がビックリしました。 中には慣れない音に頭痛を訴える人もいるくらいです。 ご近所の方が個人的に苦情を申し出ても「音は小さくなりません」 「取り外せません」との返答だったそうです。 自治会長を経由し市に意見を申し出て、やっとそれなりの返答を頂けたとか。 信号機付近に居を構える住民が「なぜ?なぜ?」と思い始めたちょうどその頃でしょうか、 市内の視覚障害者協会会長さんと、市の福祉課の人が交差点で何かをやっているのを見かけました。 どうも実際に音声がどのように聞こえているかの調査のようでした。 たまたま仕事が休みで在宅していたと言うこともあり、外に出て様子を伺っていたところ、福祉課の人と協会長さんとお話する機会を得ることができたのです。 でも、その話の内容は驚くものでした。 Q:なぜ急に取り付けられたのか? A:急ではなく平成10年に申請を受けていた Q:どういった経緯の申請なのか? A:この地域がモデル地区なので、視覚障害の方に実際歩いてもらう調査をし、「ここにはあったほうがいい」との意見があった。 Q:ここに何年も住んでいるが、そのような人をあまり見かけたことがない。市として交通量や利用頻度といった調査、統計は出したのか? A:その当時は調査をしていない。 おわかりになりますか? 何の調査もせず、住民に説明もせず、極端な言い方をすればその時に1度歩いただけの視覚障害者の方の意見を元に設置されたわけです。 協会長さんはこう言います。 「実際歩いてみて、大きな車が通ると音が聞こえないんですね。鳴っている時間も短いし... 私たちはこの音が無いと怖くて歩けません。この音だけが頼りなんです。」 私もそういった音声が役に立っていることは重々承知です。 なのでこう質問してみました。 Q:押しボタン式にはなりませんか? A:大きな交差点では押しボタンを探すのが大変なんです。 そして協会長さんはこう続けました。 「難しい問題ですね。私たちは皆さんに支えられているという気持ちを忘れてはいけませんね。感謝しながら生きていかないといけません。」 もう一度考えて見てください。 福祉は障害者に優しくするためには住民に苦痛を強いても仕方の無いことなのでしょうか? いつ通るかもわからない、実際どのくらい歩いているかもわからない視覚障害者の方を365日音を鳴らして待つことが視覚障害者の皆さんのためなのでしょうか? 住民は体調がすぐれず休んでいたい時も、常に音を聞いていなければいけないのです。 福祉ってそういうものなんですか? 私はこの音声機器をつけてくれるな!と言っているわけではありません。 お互いにとって良い方法があるはずなのです。 「申し訳なく思ってます。皆さんのことを思うといたたまれません。」と 協会長さんは仰いましたが、それは違うと思うのです。 住人は住人の権利、障害者は障害者として「ここはこうして欲しい!」という要求をきちんと主張していいんです。 だからこそ話し合いができるわけですから。 今、問題としているのは機器の有無ではなく、 「住民に何の説明も無く」 「急に取り付けられた機器の音声や作動時間が」 「まったく変更できない」 ここなのです。 そして機器が取り付けられて5ヵ月後の今日、市から設置についての説明会が行われました。 住民からは *せめて土日の時間を短くできないか? *音声を耳に障らないものに変えられないのか? *センサー式にならないのか *音が聞こえないなら速度制限をしたらどうだろうか? *交差点の規模を小さくできないか? などなど、多数の意見が出されました。 それに対しての市警交通課の答えは 「予算がなかった」 「この信号機にはプログラムされていない」 「音声の変更は予算がないからできない」 「センサーも予算がない」 大半が「予算がない」の一言で片付けられていきます。 それどころか説明会の始めに「24時間鳴っているところもある」という発言もされたほどです。 機器の取り付けに7年かかっている今の状況で、 これを改善するための予算がおりて、実行されるのには きっと10年とかかかるんでしょうね。 これが「福祉モデル地区」の実情です。 静かな住宅地に通っている道路が国道と通じ、大型ダンプが朝な夕なと通ります。 産業道路なので通る車の制限は出来ないそうです。 そして、車の音が大きいから音声の音量を大きくしてくれと要求する障害者協会... 住民はどこまで我慢を強いられるのでしょう。 市役所の方も警察の方も協会長も、普段は静かな家でお休みになっている中で、設置を要求された地域の住民はその音に悩まされています。 それも「福祉」の名の下に... 本当の福祉って何ですか? 皆さんも考えて見てください。 普段、何気なく日常の中にある「福祉」のありかたについて、 福祉を必要とする者とそこに住む人々の共存について、 もう一度考えてみてください。 本当の福祉って何ですか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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