カテゴリ:その他のBL小説
吉田ナツさんの「恋をしてはいけない」読みました。
吉田さんは知らない作家さんでしたが、高永ひなこさんの表紙にひかれ、つい購入~。 内容は友人の恋人と深い関係になってしまう禁断愛。 まさに題そのまんまなストリーでしたが・・・ハマリました!! もしかして今年一番!? ・・と言うのは大げさかもしれませんが切なさど真ん中!! とにかく登場人物がマジメで理性的。 ひたすら忍耐と我慢の物語でした。 <前半・恋をしてはいけない> 矢崎は友人・三田村の恋人を3週間だけ預かることになりますが、 恋人の啓はどうやら訳ありの家出少年。 ところが矢崎と啓は不思議なほど馬が合い、直ぐに心を通わせます。 啓は美しく頭もよく、表面的には明るい少年。でも重い家庭環境と過去を背負っていて儚げです。 前半は二人の「恋をしてはいけない」というギリギリの自制心が巧く描かれ、 想いが溢れ出すラストは切ないの一言。 後半の「夜が明けていく」はたった1度の関係で別離した二人の2年後・・再会編です。 <後半・夜が明けていく> 三田村の持ってきた情報で啓の居所をつかんだ矢崎はようやく再会を果たし、お互い忘れられない人だったことを確認。 啓の本名も裕一とわかり、三田村にも2人の関係は許されます。 ところが裕一は様々な事情から病的に自分が許せず、矢崎に触れられることを拒みます。 裕一の生い立ちは大きな挫折がない矢崎の人生と比べ複雑。 鬱病の母に義父の暴力、さらに姉は義父から性的暴力を受け、それを止められなかった自分。家出中に死んでいた母。三田村に対する裏切り。 これらは全て解決しているにも関わらず、裕一は自分が幸せになることは罪だと感じています。 このため後半は超プラトニックラブ。 裕一の代わりに彼のマフラーに口づける矢崎には・・もう身悶えっ! 矢崎の忍耐力と愛情の深さには脱帽です。 ラストで矢崎は裕一が立ち直るのを待つことを止め、一緒に罪の意識に汚れようと決意。 裕一を強制的に抱いてしまいますが、良心に従いカッコよく生きることを捨て去った彼の勇気には拍手でした。 この物語は最後の数ページまできちんと結ばれるかハラハラさせられますが、 簡単に××してしまうBL本が多い今日この頃、久しぶりに読ませるストーリーに出会えたな~と感動。 しっかりした心理描写と人物の真摯な態度がかえって新鮮で、 後半で出てくるプラタナスのエピソードも威力があって秀逸でした。 BLに出会った頃、漫画も小説もかなりの量をむさぼり読んだアタシですが 最近はちょっと気力が落ち気味・・ でも「恋をしては・・」のような作品に出会うと、やはり読書もブログも辞められません(笑) 吉田さんはこの物語の他に2冊出版されているようなので、こちらも必ず読んでみようと思います♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.03.31 16:23:09
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