カテゴリ:榎田尤利
榎田さんの過去作品『夏の塩』『夏の子供』を新装版で再読しました。
ブログのお客様・さらつむさんのお薦めで書下ろし目当てでしたが 他の部分もハンパなく忘れているっっ て、初読みが7年くらい前で、しかも借りた本だったので当然か?? にしても「感動する本だった~」と思ったわりにマイブックせず、 「好きな作品」という意識はあったのに覚えていたのはこれだけ↓ <犬の死体、歯磨き粉キス、さちのちゃんの死> なので嵌るBLがガチで減ってきた今日この頃・・ 再読して本当に~によかった!!! とにかくとんでもなく素晴らしい内容で、 装丁も値段もノンケ読者を狙っている風ですし・・ BLジャンルを越えて広く読まれて欲しい作品っ。 大洋図書さんは相変らずイイ仕事をしてくれます♪ 『夏の塩』『夏の子供』は異常なまでに不運・不幸を背負い続けた魚住の成長物語ですが、 その周囲の人間一人一人も主役になりえるエピソードを持ち、 死・運命・ジェンダー問題・親子関係 など、重いテーマが満載。 もちろん魚住とその恋人・久留米の恋話もありますが、 久留米はBLの攻に有りがちな絶対の救世主ではなく、 あくまで<人間は一人だ>という現実的なスタンス。 そしてこの物語全体もそんなスタンスで、 周囲の人が次々と死んでいく死神的な魚住にはフィクション性を感じるものの、 読んでも読んでも切ない物語の連続に、 人が決して逃れることができない『死別』を突きつけられる。 が、最終章の「夏の子供」と書き下ろしの「ハッピーバースデイ2」は 少年の成長と新しい命に「生」を感じる感動的な後味。 魚住の哀しみと強さにひたすら涙できる2冊でした。 にしてもこれがデビュー作の榎田さんって・・ ヤバイ才能っ 魚住くんシリーズには現在のようなBL的エンターテイメント性はないものの もの凄い引き出しの多さを感じて、痛くても重くてもやっぱり 名作 BL好きなら必読の小説だと今回改めて思いました。 ところで・・ アタシは何故7年前ここまで感動しなかったのだろう?? で、ちょっと自己分析した結果、この頃大嵌りに嵌っていたのが「炎の蜃気楼」。 この作品はファンタジー色が強い上に、愛と執着で命がけ つまり「魚住くん」とは真逆なテイストで、 しかもミラージュが辛すぎるため、ベタ甘なBLを読んでバランスを取ることが多かった私。 なのでマイブックに至らず、内容も記憶喪失に・・。 読むタイミングって大切だな~と思わされました(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.05.19 21:04:29
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