テーマ:食べ物あれこれ(50374)
カテゴリ:日本人は何を摂るべきか?
「究極の新居」にこんなくだりがありました。
これが納得。そうそう、そうだよね~、というので紹介します。 東西テレビの辻田プロデューサー: 君たち最近テレビを見ていてイライラしないか? ゆう子:は?イライラですか? 辻田:どの局も、毎日のように食べ物の番組をやっている。 歌手やタレントに食べ歩きをさせたり、クイズ仕立てで あちこちの食べ物を見せたり、有名人に自慢の料理を披露させたり。 ラーメン屋や屋台や寿司屋を面白おかしく紹介したり、 料理人同士を対決させたり・・・・、じつにありとあらゆる手段で、 食べ物を番組に仕立てている。 ゆう子:食べ物を扱うと、制作費が安いわりに、視聴率が 稼げると聞きました。 辻田:それがいかんのだ!だから安易な番組作りが横行して、 食べ物をオモチャにしたようなものまで出現している。 これは食文化の破壊につながることだ。 ゆう子:おっしゃるとおり、最近は食の本質を見失って、 たんなる興味本位に制作した番組が多いようです。 辻田:もうそろそろ誰かが何とかするだろう、と我慢をしてきたのだが、 事態はますますひどくなるばかり。誰もやらないなら、私が やるしかない、と決心したんだ。本物の食べ物番組を作る! ということで、「業務命令」で辻田に協力することになったゆう子と山岡は、 辻田をはるさんの店に連れていく。 はるさんの料理に感動した辻田は中座してスタッフとカメラマンを連れてくる。 辻田:テレビ芸人に成り下がった料理人が、騒ぎまわっているなかで、 はるさんの真摯で心のこもった料理は、視聴者の心を打つだろう。 ところがはるさんはテレビ出演を拒否する。 はる:私はお惣菜料理をお客さんに食べてもらって喜んでいただくのが 生き甲斐です。そのためにならどんな努力でもしますが、 そのためにならないことは、一切したくありません。 テレビに出るとなったら、そのために時間を犠牲にするでしょう。 私はそんなことで無駄にする時間があるなら、料理に使いたいの。 そこでゆう子が説得します。 ゆう子:はるさん、そのお料理はどなたに教わったのですか? はる:母や祖母、それに近所のおばさんたちにも教わったわね。 ゆう子:でしょう?お惣菜の料理法って、親から子へ、上の世代から 下の世代へと伝えられる社会的財産です。 お惣菜料理は、先人の知恵の結晶でもあるでしょう? はる:ほんとに、そのとおりよ。 ゆう子:でも、若い世代はこの財産を失いつつあるのです。 外食ブーム、食べ歩きブームが、若い世代を支配しています。 自分は調理にたずさわらないのが、若い世代の特徴です。 若い世代の日本人が、日本のお惣菜、というひとつの文化を 失っていくのを見殺しにしていいのでしょうか? そこのところを、はるさんは見落としていると思います。 はる:見落としてなんかいないわ。 ゆう子:じゃ、なぜはるさんは、若い人にお惣菜料理を伝える機会を 与えられたのに、それを無視するのですか? テレビではるさんのお惣菜の作り方を教えたら、 若い世代の人たちも勉強できるわ。 お惣菜料理が根絶やしになることは防げる。 テレビに出るのは、お惣菜文化を後世に伝えるための、 自己犠牲的な尊い行為といえるのじゃないかしら? テレビ芸人みたいな軽薄な料理人がのさばっている テレビの料理番組の世界に、ひとりくらい本物の料理人がいて、 見てくれじゃない真心こもったお惣菜料理をみんなに 伝えてくれたら、どんなにいいでしょうね。 はる:辻田さん。私みたいな素人がお役に立てるでしょうか? 辻田:テレビ出演者としては、素人のほうがいいのです! 料理の技さえ、本物なら! はる:いろいろ、ご指導下さい。お役に立つよう、がんばります。 【出典】 『美味しいんぼ』46集 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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