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食育に栄養学も食事バランスガイドもいらない

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2008年01月13日
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子どもには初めから肉を食べさせないようにすればいいのですが、
すでに肉を食べ始めて、しかも肉が大好きになってしまっていたら、
やめさせるのは一筋縄ではいかないでしょう。
大人になってしまったらなおさらでしょうね?
私もそうでした。尿酸値が年々上がって行くにもかかわらず、
肉を断つことはできませんでした。発作が起こるまではね。
肉食が体にどんな悪影響があるか、を説いたところで、
本人が「そうだ!」と実感しないことにはあまり効果がありません。
では、別の観点から肉食について考えてみませんか?

『美味しんぼ』から話題をいただきます。
ジェフ青年はアメリカ人。日本で板前の修業をしています。
そのジェフが、捕鯨反対運動に加わっています。

京極:ほう、ジェフ君は捕鯨反対派なのですか?

ジェフ:もちろんです。鯨を殺すなんて野蛮な行為です!!
    鯨は、守らなければなりません。

京極:ふんふん・・・・。

ジェフ:鯨は、人間の次に頭の良い動物なんです。(中略)
    その鯨を殺すなんて、恥ずべきことです!
    どうして日本人は鯨を食べるんですか?
    ほかに牛だって豚だって、食べる物はたくさん
    あるじゃないですか!
    第一、鯨なんか美味しくないですよ!
    あんな物無理して食べることはない!!

この後一行は鯨料理を食べる。
といってもジェフには何の肉かは教えずに食べさせる。

ジェフ:でもこれはなんの刺身ですか?

山岡:ジェフも板前のはしくれだろう、自分で当ててみろよ。

ジェフ:ん?よおし!
    うはっ!これは旨いっ!

ゆう子:肉の旨味と脂身の甘さが溶けあって、
    コクがあるのに、後味がすっきりしてるわ!
    
ジェフ:はて、これはなんなのか・・・・?
    こんな美味しい肉に出会ったのは初めてです。
    しかし・・・・・、不思議な肉ですね。
    獣肉なのか魚肉なのかはっきりしません。
    鹿やトナカイの肉にはこんなに脂が入ってないし・・・。

次から次へと鯨肉を出されて食べているうちにジェフが気づく。

ジェフ:ま、まさか・・・!?

山岡:そう・・・、これは鯨だよ。(中略)

ジェフ:山岡さんっ!ぼくは山岡さんを見損なったよっ!
    こんな汚いことをするなんてっ!

山岡:ジェフ、鯨を食べるのは初めてだったのかい?
   食べたことがないのに、どうしてさっき
   鯨は美味しくないなんて言ったの!?

ジェフ:そ、それはっ・・・・。

山岡:ジェフの生まれ育ったアメリカの食文化の中に、
   鯨が入っていないからだろう?
   自分達の食文化に入っていない物に対して、
   食べる以前から拒絶反応を示すのはよくあることだよ。
   他国の食文化を、自分達の食文化と異なるからといって
   野蛮と決めつけるのはそれこそ野蛮な行為なんじゃないか?

ジェフ:ぐっ・・・。

この後京極が食文化についての蘊蓄を語る。

「鯨を食べるんも日本の文化の一つなんや」

「この刺身や百ひろやらを見とくんなはれ、鯨という物を
とことん知り抜いて、どないしたら美味しく食べられるか
研究しつくしてある」

「鯨を食べる技術をここまで洗練させるのは、一朝一夕で
できることやない。何百年も、いや千年以上かけて、
わしらの先祖が工夫を重ねてきたからなんや」

「あんたら西洋人は牛やら豚やら羊やらさまざまな肉を食べる。
調理法も見事やし、素晴らしい食文化を構築しとる。
それもやはり、西洋の長い歴史の中で洗練されてきた結果やろ」

さらに京極は続ける。

京極:一方我々日本人は、長い間牛や豚などの獣肉を
   食べなかった・・・。
   そやから昔の日本人は、西洋人が獣肉を食べるのを見て
   野蛮やと言うた・・・。ジェフ君それをどう思いなはる?

ジェフ:ははは・・・、そんなのこっけいですよ!
    牛や豚を食べるから野蛮だなんて、昔の日本人が
    牛や豚の旨さを知らなかっただけじゃないですか!?

京極:うん、その通りや。
   ならどうして鯨を食べるのが野蛮なんや?
   牛と鯨の差だけやないか!
   牛も鯨も獣であることに違いはないと思うがな。

ジェフ:う・・・!それは・・・。それは・・・。

ぐうの音も出なくなったジェフ。
さてその晩は京都の京極邸に泊まる事になる一行。
翌朝には、なにやらジェフの喜ぶことが・・・!(つづく)

【出典】

美味しんぼ(13)
('88年2月1日発行)「第1話 激闘鯨合戦〈2〉」より





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最終更新日  2008年01月14日 00時08分49秒
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