テーマ:正しい食育ってなに?(1640)
カテゴリ:肉について
雄として生まれたがために悲惨な一生を送る酪農牛の真実がわかりました。
稲が品種改良されてきたように牛も改良されてきました。 ホルスタインは長い年月をかけて骨格質で背高のっぽに改良されました。 なぜでしょう? 大きい乳房が床に着かず、重たい乳房にも耐えられるようにと。 食肉用牛はずんぐりとした小型のものへと品種改良されていきました。 酪農牛は(オスでもメスでも)飼育して大きくしても、 肉としての価値は低いわけです。 ということで、 酪農場で生まれるオス牛は酪農経営者にとってはなんの価値もありません。 いわゆるお荷物です。全部メスが生まれてくれればいいのに、と 思っていることでしょう。 そこでメスを生ませるための操作も研究されているそうですね。 今までの情報では、オスとして生まれた酪農牛は、ヴィールになる、 と思っていました。 が、それだけではないようです。 「一般的な牧場で生まれたオスの子牛は誕生後数日で市場へ出荷され、 50ドルかそこらという安値で売られていく。競売で落札された 子牛のほとんどがすぐに屠畜場に送られ、その肉はペットフードに なることもある。また、ヴィール(食肉用子牛)として4ヶ月間ほど 肥育農家で育てられる場合もある」 さらに、新しいことを学びました。 「ホルスタインのオス子牛は肉用に1年以上育てられる場合もある ということだ。肥育農家は競売で丈夫そうなホルスタイン牛を選び、 1200ポンド(約550キロ)という屠畜の目安となる体重になるまで、 約16ヶ月間かけてそれらを飼育する。"デアリー・ビーフ(乳用種牛肉)"と 呼ばれるこうした肉は通常、安価なステーキや厚切り肉に姿を変えて 庶民向けレストランのテーブルに並ぶか、あるいは挽肉になって他の肉と 混ぜ合わされ、ファストフード店のハンバーガー用の肉になる」 ふうむ。すなわち肉用としてはランキングが低いけれど、 安価な肉として、庶民用にニーズがあるわけね。 ああ、飯野はこれまでどれだけ、 マク○ナ○ドや吉○家を始め安価な牛肉を食べ続けて来たことか! 吉○家の牛丼もホルスタインだったのかしらねぇ? アメリカ産にこだわっているようですけど。 あ、酪農牛のオスの過酷なもう一点は、 通常の場合オスには初乳はまわってこないのだそうだ。 そのうえ、オスが下痢を起こしたり他の病気にかかっていたりしても 薬が処方されることはないとのこと。 初乳の採取、凍結、解凍といった処理作業には大変な労力を要るからだって。 酪農牛はどれくらいの数が産まれているのだろうか? アメリカの場合ですが、4秒に1頭の割合だそうです。 子牛が生まれると雄か雌かを確認する。雄の場合は 温度調節もない寒い牛舎に入れられる。 『私の牛がハンバーガーになるまで』にその様子が書いてある。 =====ここから引用===== 子牛を舐める1602(牛は名前がないので番号で呼ぶ)の姿に 夢中になっていたため、ジェシカが牛舎にやってきて 子牛を連れ去るまでの時間がほんの数分のように感じられたが、 腕時計で確かめてみると、実際には40分かかっていた。 子牛が母牛といたのはおよそそれくらいだ。 1602は子牛が横たわっていた場所のにおいを嗅ぐと柵まで 歩いていき、鳴いた。4頭の牛があとからついていく。 次に桶から口いっぱい餌をほおばるとウォーターカップの水を がぶ飲みし、ふたたび柵に近寄って鳴く。1602は牛舎を 数回まわり、もといたところにもどってくると、もう一度 子牛のいた場所のにおいを嗅ぎ一声鳴いた。1602を除き、 牛舎にいるすべての雌牛が黙って立っている。1602は落ち着かない。 また柵に近づき、地面のにおいを嗅ぐ。そしてやさしく 鳴き続ける。 (中略) 生まれたばかりの子牛が母牛から引き離される様子は見るに しのびなく、また、雄子牛がコンクリートの床の上で 震える姿も哀れでならない。だが自分の感情をつづるのは ひかえよう。なぜなら、この牧場にあるすべてのものが 今の私にはまだ未知なのだから。 =====引用ここまで====== 著者のピーター・ローベンハイム氏はジャーナリストだけあって、 状況描写が写実的だ。その様子が文字からいやというほど 伝わってくる。 その後3頭の子牛が死んでしまう。その中に1602の子牛も 入っている。 それでもそれまでに生まれた雄の子牛11頭を出荷した。 酪農家にとって、牛は単なる商品。 メスは大切に扱い飼育していずれ牛乳を搾り取るが、 オスは無用の長物。いわゆるお荷物だ。 むしろ生まれてこないでほしいものなのだ。望まれない命なのだ。 そういう必要のない子など、寒い中で震えながら出荷までの間過ごさせることに、 可哀想もくそもないのであろう。 いちいちそんなセンチメンタルな気持ちになっていたら 酪農業などやっていけないのだろう。 ====引用ここから==== ・・・・そこには二つの堆肥積みがあり それぞれが高さ3,4メートルぐらいある。 一見するとそれらは腐葉土や藁、枝や葉っぱでできた 小山のように見えるのだが、目を凝らして見るとやがて気づく。 小山のあちこちから突き出ている小さな骨、毛の塊、蹄に。 このどこかに1602の子供もいる。 ====引用ここまで==== しかしながらこの『私の牛がハンバーガーになるまで』を よくぞ出版してくれたものだ。出版後、業界から圧力はなかったのだろうか? エンディングは感動的です。是非呼んでいただきたい一冊です。 ★参考文献★ 私の牛がハンバーガーになるまで お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年01月21日 23時02分09秒
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