集団自殺
昨年の自殺者が3万2000人台と「高止まり」を続ける中で、インターネットを通じて知り合った人による集団自殺が急増している。記事(読売:6月2日14時6分更新) うちでも何回か集団練炭自殺を取り上げたが、ごみかきもその頃はまだ宗教団体の集団自殺かと思ったこともあった。ようやく、集団自殺者がネットを媒体にした関係であることが認知されてきた。だからといってネットの環境が悪いということ言いたいわけではない。システムの問題ではなく使い方の問題なのだ。 例えば包丁は料理には欠かせない道具であるが、使い方次第では凶器にもなる。それと同じこと。こうした状況に警鐘をならすため、2003年3月に山梨県内で20歳代の男女4人が起こした自殺未遂事件で、同県警は、4人をそれぞれ他の3人に対する自殺ほう助容疑で書類送検し、「集団自殺は違法行為」との認識を明確に打ち出した。 なかなか良いんでないの。 一人ならともかく他人を巻き込むことは犯罪であるという位置づけを明確にすることで、安易(といっても本人にとっては余程のことなのだろうが)な自殺の選択をいくらかでも抑止することはできそうだ。 さて、自殺の原因だが、医学的な視点からとらえると 鬱病→自殺 というのは真っ先に出てくる。その鬱病の原因としてこういうものも挙げられている。鬱病である25人の男性では、生体に有効なテストステロン濃度が、他の男性よりも17%低かった出典:The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, February 1999, p. 573-577 テストステロンはいわゆる男性ホルモンである。 因みに男性ホルモンは量は比較的に少ないが女性にもある。 ホルモン療法などというとホルモンそのものを注射して直接体内に欠乏分を補填する治療法は一般的だが、こういった実験結果もある。<14日間ボートに閉じ込められた5人の男性の例> ・予め5人の中で優劣の順位をつけておく ・優劣のランクが高いほど、テストステロンの量は高くなった PHYSIOLOGY of BEHAVIOR つまり、こういった環境の変化でホルモンの分泌量が変わるということがあり得るということである。 この原理を応用すると、鬱病の患者には劣等感を感じさせる環境は厳禁ということになる。薬物で必要なホルモンを増加させても、環境の弊害からいたちごっこになってしまうと思う。 昔からある「人は平等である」という類の哲学的な概念というのは、医学的な見地から見ても健全ということではないだろうか。 例えば、「頑張れ」という言葉は鬱病患者には厳禁というのは定説だが、確かに上から見下している言葉に思える。そもそも「人を励まそう」と思うこと自体が、上からものを見ているということなのかもしれない。上からものを見るというのは、ある種の優越感から生まれるというだろう。 ところでホルモンの働きがまた新しく解明されたようだ。脳内で作られるホルモンの一種「オキシトシン」に、人間に対する信頼感を強める働きのあることをスイスのチューリヒ大学などの研究チームが実験で確認、2日付の英科学誌ネイチャーに発表した。記事(読売:14時6分更新)*関連記事(WIRED:6月3日17時20分更新) 確か被害妄想のような過剰な猜疑心は、統合失調症などの精神病の一症状だったと思うが、鬱病の例と同じように環境がもたらす影響が考えられると思う。 このケースにしてもやはり、直接ホルモンを投与する物質的な治療法と同時に、環境とホルモンの関係を解明していかないと、また同じようないたちごっこになるような気がする。投 票 も 自 己 表 現 人気blogランキングへ 101-150位