車間距離
運転免許を持っている人なら誰でも、速度に応じた車間距離を保つことを習ったはずだ。 この車間距離は、何か起きたときに止まれる距離(停止距離 ※停止距離=空走距離+制動距離)ということだが、もう一つは、エンジンブレーキだけで車間をコントロールできるので、ブレーキを踏む回数が減るということがある。 ブレーキパッドやタイヤ、ガソリンの消耗はもとより、疲労が格段に減る。 大型トラックの後ろにピッタリつくと前方が全く見えないが、適正な車間距離を保つとかなり見えるということもある。 危険を察知してから、制動開始(アクセルを戻してブレーキを踏む、二輪の場合ブレーキレバーを握る)に入るまでを空走距離といって、主に一般道で走る速度においてこれが案外バカにならない。 どんなに反射神経がいい人でも、それだけでかなり走ってしまうのだ。 速度が上がると、その後の制動距離(ブレーキをかけ始めてから止まるまでの距離)が、加速度的に増す。 時速40キロで停止距離が約20メートル必要(40→20 速度の半分)でも、時速100キロだと約110メートル(100→110 速度と同じ)になってしまうのだ。 よく高速道路で一般道並みの車間距離で走っている人が見受けられるが、そういう人は恐らく物理音痴だと思う。 これは物理が苦手な人は理解できない感覚かもしれない。 頭でわかっていても、感覚的に錯覚するということもあると思う。 車間距離が短くなってしまうもう一つの理由は、「車間をつめなければならない」という強迫観念のようなものだ。 必要な車間をあけて走っていると、後ろにピッタリつけて煽る人がいる。 これを特に大型トラックにやられると、映画・スピルバーグの「激突」のような心理に追い込まれる。激突税込1,439円 一度でもこういう経験がある人はそれを恐れて車間距離をつめてしまうのだ。 先日、トラック(2t)が乗用車を煽る現場を、すぐ後ろで走っていて目撃した。 原因は、高速道路の合流地点で乗用車がトラックの直前に無理に入ったことだった。 そうなってしまうことは誰でもあるのだが、恐らく、その乗用車は合流することが精一杯で、その後に謝罪の意味を込めてハザードを2~3回点滅させることができなかったのだと思う。 トラックにしてみれば、「わざとやったのではないだろうか?」と思うわけである。 なぜなら、そのトラックは日頃、自ら意地の悪い運転(幅寄せ、煽り)をしているので、自分と同じように他人もそういう運転をすると思っているからである。 怒り狂った?トラックは、しばらくの間乗用車の3~5メートルくらいすぐ後ろにピッタリつけて走っていた。 トラックの斜め後ろからずっと見ていたのだが、その光景は異様だった。 安全運転(安全に100%はないが少しでも100%に近づける)をするには、直接運転に関わる技術的な部分以外に、そういった様々な運転の個性や レベルをいち早く把握し、それに応じて対処することがどうしても必要になってくる。 また、自己の至らない運転もちょっとした礼儀(ハザードやパッシング等)をわきまえてフォローすることにより、周囲に対するストレスを軽減できる。そういった配慮は必ず自分に還ってくるものである。 車間距離に関する病的な強迫観念は治した方がいいと思う。 それには、いかなる車両に煽られてもそれに屈せずに、自信を持って適切な車間距離を保つことだ。 理想の車間距離まではとれなくても、その8割、いや7割、いや半分だけでもとりたい。 それは安全運転のための自分自身との戦いでもあるのだ。