流星
今日、愛犬が旅立ちました。享年15歳と4か月でした。このブログを放置している間にも、12歳で癌が見つかって手術したりと危険な場面はあったのですが、その都度奇跡の生還を果たし、一昨年には長寿表彰もいただいて、高齢のわりにはまだまだ元気で強運な相棒でした。それが今月の七日から、何か喉に引っ掛かっている物を吐き出そうとするような行動が唐突に出現し始めたのです。日に日にその頻度が多くなり、起きている間の殆どの時間をもがき苦しむようになってしまいました。MRIや内視鏡その他の精密検査も受けたのですが、明確にこれが原因だと思われるものは見つからず…。手探り状態で対症的に苦痛を取り除くことを試行錯誤するしかない日々。一人暮らしの仕事人飼い主。昼休みに一時間程帰宅できる環境とはいえ、午前午後それぞれ5時間は留守番させなければならず、この状態でそんな生活を続けるのは不安。自分がずっとついていられる休日以外の日中は病院内のデイケアに預け、仕事が終わったら連れ帰って朝にはまだ預けて…という生活をし始めたところでした。こんな状態でも食欲だけは嘘のように旺盛で、食べ物が目の前にある時、食べている時だけは不思議と吐き出そうともがく動作が全く現れず、今朝も咽ることもなくしっかりと朝食を食べていました。ただ二日前に痰の絡んだような咳をたまにするようになって救急で受診していたのですが、その咳が今朝は少し増えている様子なのが気がかりで、その旨を伝えてデイケアに預けて4時間後のことでした。「呼吸状態が悪化。肺炎を起こしている。治療開始の矢先に心肺停止。現在蘇生中だが12分が経過している」との連絡。今日は道が混んでいる。どんなに急いでも、もう間に合わない。この3週間、碌に眠ることも出来ずに連日苦しんでいた。その疲労は相当のものだったろう。これ以上処置を続けてもらっても、今回ばかりはもう奇跡は起きないだろう。流れ星は燃え尽きてしまったのだ。その事実を認めるしか、受け入れるしかありませんでした。頭では瞬時に理解しても、涙腺の崩壊が止まらず仕事にならない。半ば強引に早退させてもらってタクシーで病院へ。安らかな表情で眠っていました。本当に、ただ眠っているだけのように。でもその胸は動くことはなく…。最期が苦悶の表情ではないのがせめてもの救いです。しかし思わず零れてしまった言葉は「何で今日なの?」でした。明日ならずっと側にいられたのに。ずっと抱いていてやれたのに。君と初めて会った日の約束。『これからずっと一緒』。果たせなかった。最後は腕の中で見送りたい。その願いだけは叶わなかった。ごめんよ。こんな時まで自分勝手な飼い主でごめん。君は精一杯頑張ってくれたのに、まだ我儘を言ってしまう不甲斐ない飼い主で本当にごめんなさい。十五年間、私の願いを叶え続けてくれた流れ星。ありがとう。そしてお疲れ様でした。