サウナ状態の暑さが続いていますね。
暑さには割と強い方ではあったのですが、近年の気持ちの悪い暑さのせいで朝はどうも調子が出ません。というわけで先日は遅れて出社しました。
しかしそれが運の尽きでした。どうにもタクシーが捕まりません。
おまけに暑さが一層強くなっていたので、我慢してでも定刻どおり出社すべきだったと後悔しながらタクシー待ちしていると、高齢のお婆さんがカートを押しながらノロノロやってきました。
そして当たり前のように割り込みされました。
カートのハンドルを握ったまま、私の前に立ち、ぼんやりと前を見つめています。
割り込みを注意したい気持ちが頭をもたげてきましたが、ひとまずは様子を見るかと思っていた矢先のことです。
また別のお婆さんが私の前に割り込んできました。
そしてアカの他人同士ながらも「タクシーが来ないのよねえ」などと二人でつぶやき始めました。
それから約10分。ようやく一台のタクシーがロータリーに滑り込んできました。
最初の割り込みをしたお婆さんは、くるりと頭を私の方に向けました。
「お宅さん、待っていたでしょ?」
いや、確かに待っていたさ……。
身体の節々が痛いだの、暑くて堪らんだの、タクシー来ないだの、約束の時間をとっくに過ぎてるだのと散々聞かされた後で、お年寄りを無視してタクシー乗るなんてとってもバツが悪いじゃないですか。
私もすでに遅刻しているので時間的余裕はなかったのですが、この炎天下で高齢のお年寄りをこれ以上待たせるのは良心が痛んだわけですよ。
「お先にどうぞ」
するとお婆さんは礼も言わずにタクシーに乗り込んでいきました。
次の割り込みお婆さんも90歳になって腰が痛くて堪らんと言っていたので、順番をお譲りしました。
その一部始終を見ていたのは、私の後ろに立っていた中年女性でした。
彼女は額の汗をハンカチで拭いながら言いました。
「あなたは偉いですね。きっといいことありますよ。でも年寄りは本当に図々しいんだから」
確かに、私も割り込みされた瞬間は、先に並んでいる人がいることを知りながら堂々と先頭に立てる神経の図太さに驚きはしました。
順番を守るように注意をしてもよかったのかもしれません。しかし、体力も忍耐力も明らかに私より劣っている彼らに対して、自分の権利を主張するのには抵抗がありました。
いつかは、私もイヤでも彼らの立場になります。そのときに自分が何十歳も若い人から強い口調で説教をされることを想像してみたら、注意するのはちょっと可哀そうな気がしたのです。
彼らも、黙っているだけでは最近の若者は全然席や順番を譲ってくれないので、あのような形で強硬手段に出ているとも考えられるんですよ。
そう考えると、お年寄りを図々しくさせているのには若輩者にも問題があるような気がするんですな。
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