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ショップハンター

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2015.01.02
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テーマ:初夢!(39)
カテゴリ:元気が出る話
人に話すと叶わなくなるので、初夢の内容を話してはならないというじゃないですか。
 しかし今年の初夢は叶っちゃ困るので、ここで披露することにします。


 ロシアの空港で次の航空便を待っていました。
 なぜここがロシアとわかったかというと、閑散とした空港のみやげ物屋の入り口に巨大な赤い木製のマトリョーシカ人形が飾られていたのと、店のショーウィンドウに色とりどり、さまざまなサイズのマトリョーシカ人形が並べられていたからです。



 旅客の中にもロシアでおなじみのウシャンカ帽を被った人たちがチラホラいたので、確信しましたよ。
 ここはモスクワだと(どうしてモスクワだと確信したのかは不明)。



 次のフライトまで結構時間があるとのことで、空港付近をブラつくことにしたのですが、階段を下りている途中でベージュ色のビニール袋に入れられたみやげの落し物を見つけたんですよ。

 まずは落し物預り所(Lost & Found)を探さねばと思い、あちこち歩き回りましたが、どうにもそれらしい看板が見つかりません。
 これじゃラチがあかないと思いまして、次通り過ぎた人に落し物預かり所について尋ねることにしました。

 話しかけられた白髪の女性も、自分も旅行客なのでわからないと頭を傾げながら、いっしょに探してくれることになりました。
 海外でも良い人っているじゃんと思いながら歩いていると、私のスマホがチャットメッセージ着信を知らせました。
 最近 LINE 入れたからなあと思いながらチャットを確認すると、人気俳優の A でした(名前を出すのは憚られるので、ここでは A ということにしておきます)。


「俺はヘビと言われとるがトカゲとちゃうぞ」


 なぜか関西弁です。
 既読になってしまったのを先方が確認したのか、再びメッセージが届きます。


「トカゲとちゃうぞ。今どこ?」
「モスクワだよ」
「俺もモスクワ」


 ウソこけ、と本気で思いましたね。

 そんなことより、この落し物を何とかしないと始まらないと思いましたので、LINE を終了してスマホをコートのポケットに入れました。
 そして先ほどの初老の女性と一緒に免税品を扱っている店に入り、落し物を拾ったがどの店のものか分かるかを店主らしい女性に尋ねてみました。

 彼女は最初はビニールバッグのロゴ(解読不能)を眺めたり、なぜか重さを確かめたりしていましたが、何を思ったのか、中からみやげ品を取り出しました。

 黄色いインスタントカメラのようなものが、プラスチックパックに入れられていました。

「何かしらね」

 と言いながら、今度はそれを開けてしまいました。
 おーい、そんなことしていいのかよ、と一瞬思ったのですが、次の瞬間には彼女たちと一緒になって説明書なんか読んじゃってましたね。

 中身はシュノーケリングで使える水中カメラでした。
 パックをひっくり返せばシュノーケリングしながらカメラ撮影している絵が描かれてましたから、開ける必要は最初からなかったんですが、時すでに遅し。


「あら、予備の袋入ってるわよ」

 と中から出て来たのは、黒字で「マスヤ」と書かれた店舗のビニール袋。
 それで何となくわかりました。

 落し物の主は日本からの旅客で、フライト待ちしている間に日本から持ってきた新品のカメラを落としてしまったのだと。
 しかし、極寒のモスクワでシュノーケリング用カメラという、いかにも南国風なシロモノですから、トランジット先は南の島だったのでしょうか。

 現地に到着して、ウキウキ気分でさあカメラカメラと荷物を確認するも、日本で買ったはずのカメラが見つからずガッカリする様子が目に浮かびます。
 顔はわからないので黒いシルエットになってましたが。

 免税店の店主がカメラを袋に戻し、私に手渡します。

「ここの敷地内で購入されたものではないし、きっと落とし主も出てこないでしょうから、あなたこれもらっちゃいなさいよ。」

「いや、でもそれはまずいでしょ……。」

 とためらっていると、先程の初老の女性が手を伸ばしてきました。

「じゃあ、私の孫にあげることにしてもいいかしら?」

 それもダメだろ……、と言いかけたところで、彼女は私の手から袋をぶん取り、スタスタと立ち去ってしまいました。
 落し物をした人は運が悪かったということで理解してもらうしかないかな、と仕方なく店を出た瞬間、肩を強く叩かれました。


 振り向くと A がいました。
 本当にモスクワにいました。

「LINE から俺を消したやろ?」

 何故かしつこく関西弁です(二回目)。

「消してないよ。ホラ」と LINE の画面を見せると、友達リストにいたはずの A が消えています。
 しかも、チャットルームが「不明」になっています。

「あれー、さっきまで忙しかったから LINE のアプリを閉じただけだよ。」
「まったくよぉだから初心者はよぉ。言っとくけどな、トカゲとちゃうぞ。俺は。」

「だからわかってるって。何でそこまでトカゲにこだわるわけ?」

 と言った途端、A の白い顔がみるみる青ざめていきました。

「ど、どーしたの?具合でも悪いの?」
「キレた……。」

 確かに、このやり取りはいい加減ウザいなあと思っていました。
 でもキレられるような発言をしたおぼえもありません。
 腑に落ちない気分で A を見つめていると、先程まで青かった顔が今度は絵具で塗りたくったような赤色に染まっています。

「そんなに怒らなくても……ごめん。」
「違う!そんなんやない!痔ろうが切れたんや!」

 良く見ると、A の脚の形が X 字になってモジモジしています。
 そして蚊の鳴くような声でつぶやきました。

「アカン……パンツ血だらけにしてもうた……もう終わりや。」
「そ、そんなことないよ。近くの店で下着とジーンズ買おう。あと薬局で生理帯買って……」

 すると今度は A が本当にキレました。

「何言うとんのや!ワイは男やぞ!」


 というところで揺り動かされて目が覚めましたね。
 どうやらうなされていたようです。


 ちなみに私は A のファンではありませんし、面識もございませんが、A って○○のことでしょ?と問われても彼の名誉のために「違うよ」と答えることにいたします^^。



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最終更新日  2018.07.29 17:35:02


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