灯台

１３６

ホモンクルス“ぼく”は覚醒めた。錬金術師こと“博士”はここは、錬金術工房だと半笑いで言った。眼鏡をかけた、髭を生やした老人。白衣の出で立ちをしている。眼が充血し、疲労だろうか体温が少し低いのが表面を見た時に想った。透視してみると、内臓の具合が少し悪いようだ。「詐欺師は、かく語りき。人の精 液をフラスコに入れ、最高に腐った馬糞と一緒に密閉せよ。四〇日間以上で命が宿り、動き出すのをすぐに見られるであろう―――と･･」錬金術工房は、無菌室のように清潔だった。自動扉を潜った。頭の中には自動的にルートが出てきて、何処へ向かうか、何歩で到着するかなどが理解できた。十全。「どうだったんですか？」「最高に腐った匂いがするこの世のものではないおぞましいものが、薫ったのであろうよ。シュールストレミングや、スカンク、死臭、動物の排泄臭の吹き溜まりなんかよりはマシだったろうがね」“博士”は辛辣である。しかしその口ぶりとは裏腹に“ぼく”に対する態度は違う。終始優しそうな瞳をし、歩行に問題がないかなどを見て取っている。感情のウェーブは緩やかでいささかハイになっているのかも知れない。何だか“おとうさん”という気もした。もちろんホムンクルスに父親などというものはいない。「ただ、脱法ハーブを混ぜ込めば、“トブ”ということも有り得る。魔女の闇鍋作業さ。色んな不浄なるものをぶちこめば悪魔だって生まれる。創造してご覧、四十日以上も“トブ”鳥落とす勢いでシャブシャブしていたのだ、それはもうさぞかし、この世ならざる世界の入り口･･、まったくすごいことですぜ、パラケルスス先生様。シャーロックホームズと比肩する社会不適合者･･･」“博士”はそして、容赦なく似非錬金術師、詐欺師を笑い飛ばす。鼻孔に、食欲をそそるような料理の匂いがした。「そんな臭いことを言う奴は、十中八九、政治を煽っている人間のようなものさ。ホモンクルスには、道化や人形や奴隷などのキーワードを思い浮かべられる。生命というよりもこの場合、非生命―――蹂躙されてきた命のね･･。だからフラスコの中のホモンクルスは聡くなければいけなかったのだよ。それは復讐代行の存在であり、すべてを平等にするための、いかさまの装置でもあったのだ」さて、お腹が減ったろう、沢山の料理を用意したよ。料理を見るだけでラベルが降られ、内容量、どういう食べ方があるのかまで理解できた。“博士”はテーブルの上に所狭しと料理の皿を並べていた。が、もちろんそれは“博士”が用意させただけで、“博士”ではなく、監視カメラの向こうにある人達だろう。料理には歴史があり、伝統がある。“彼等”はそれを伝えたいの―――だ。どうして？それはいくら、読み込もうとしてもわからなかった。だが、食事という気分には正直なれなかった。椅子に座りながら、“博士”に尋ねた。もし口を割ってくれなかった場合は、自分の身体を人質にとるわけではないが、椅子から転げ落ちるというパフォーマンスが必要だとは察していた。しかし杞憂だった。「では“博士”―――ホムンクルスはどうやって作ったのですか？」「作ったのではなく、用意したのだよ。魂なき、限りなく不完全な人間の肉体をバイオテクノロジーで製造した」「それでは“博士”はマッドサイエンティストなのですか？」「そういう見方も率直にあるだろうが、そうとも言い切れない。何故ならバイオテクノロジーはコピー商品を作っているにすぎない。遺伝子操作、それは神をも恐れぬ所業といえるだろう。それはマッドサイエンティストの領分というもの―――だよ。だが、私は、魂をその人形に入れてみたかった。医学的に、あるいは生物学的に、人間の肉体と呼ばれるものを作り上げたあとに、交霊術をした。この交霊術は、沢山の理解ある人達によって秘密裏に行われた。わたし達は、魂が入り、そしてどんな風に過ごすのかを見たかった」「“ぼく”は魂があるのですか？」「さてね、ただ、君はどこから見ても人間―――小さな子供のように見える。理智的な瞳、容姿端麗だよ。ただ、肉体は成長しないし、困難も待ち受けているので、どれだけ生き延びるかも不明だが、わたしは君と話せて最高にハッピーだよ」「この研究の最終目的は何だったのですか、“博士”」眼鏡の奥が一瞬光った。それは―――邪悪な魔物のような光を遮るものにも見えた。だが、それはおそらく、“光と影の作用”というものではないか。そもそも、悪とするなら自殺を選ぶのが最適解となる。その決断を促すべきか否かの裁量も委ねられている以上、“博士”の心理をこれ以上、読み取るべきではない。「―――わたしはたんに、精巧な人形に魂を入れてみたかったのさ。脳の代わりに、人工知能を搭載することもできる。現代は二五三二年、霊界と交信も出来、四次元も発見された。宇宙開拓も順調に進み、様々な異世界人との話し合いの場もある。けれど、わたし達は魂を入れることができない。魂のようなものなら―――いや、何だったら魂よりもはるかに高度な、もっと様式美を持ったものを授けることもできる天使の羽根のようにね。でも未熟であるばかりにかぐわしい魂とかいうもので、すべての話が通じている、かのローマの言い伝えみたいにね」「でも“ぼく”に魂があるかどうかはわからないんですね」「哲学と一緒だよ。見えている現象だけでは説明しきれない。数字や記号を使って、これから“ホモンクルス”は研究されてゆくのさ。そしてわれわれは食事の後に、かの中世の時代、パラケルスス先生様のもとへ届けようと思う―――といって、それはそのものの時ではない、また違う時だ、様々な時と呼ばれるステージの中の分岐点の一つだ。無限回廊―――は、霊界とコンタクト時に発見された･･。もはや、時の声さえも、破られた時代なんだよ」「“ぼく”は何をすればいいのですか？」「君が想う通りにやればよろしい、パラケルススを殺害したいならそうすればよいし、パラケルススを使って時代を傀儡したいならそうすればよい。君には時を操る力もある、人を動物に変換させたりする力もある。手を銃にマテリアルチェンジすることも出来る。進みすぎた現代科学により、たった一瞬で惑星を滅ぼすことも出来る。フラスコの中に入っている必要もない、すべてありのままにさ。何より、今までの時代の情報が君の頭脳の中にある。―――神のようにね」「･･････なるほど、“博士”や、その協力者のしたいことが、いまの発言で、わかったような気がします」テーブルに並べられた料理に口を付けると、本当に美味しかった。生物としての喜びは、エネルギーを摂取することではなく、その食事の味にある。錬金術ではエリクサー、賢者の石、煉丹術では仙丹、日本では変若水、古代ギリシャではネクター、インドではアムリタ、ソーマ･･････。それらはすべて、嘘っぱちだと相場は決まっていた。だが、それは“存在った”のだ･･･。“博士”はやり遂げた後人特有の溜息をにこやかに、吐いた。そして、申し訳なさそうに前時代的な異物のシガレットをくわえて、火を点けた。―――二五三二年、“ぼく”の瞳を通して、神を探す旅が終わったことを告げた。神が何を考えていたのかではなく、神をも一つのタイプとして、様々な時代を総合的に判断する時代が始まろうとしている･･･。生きることにも死ぬことにも、何かであることも、何かでないということにも、そもそも意味や理由をなくした―――瞳の向こう側のシナリオ･･。「―――世界に完璧な情報がないという根拠は存在しない、神というものがいないという根拠も存在しない、ゆえに―――ゆえにだ、ホモンクルスのイエス・キリストのような君、仏陀のような君、何もかもをすべて変化させてしまう資質とは、どのようなものであるのか、世界とはそれを入れうる器であるのか、たった一つのゼロ、究極のゼロ、進むことも戻すこともできるものが、本当に何をなすべきだったのかを見なくてはいけな―――い。わたし達は期待している、今日、すべてを夢見た神が死にゆく時のように、あるいはすべての宗教が滅び、すべての嘘が破られた時に、本当に望むべき、“進化の道”とは―――」

１３５

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​背中合わせの嘘と本当をつなぎながら――、バグってる。不良品には罰をつけてゴミ箱へ。「社会不適合者の、」花溜まり。馬鹿黙り。蛆貯まり。発車オーライ!!!宙に浮く爪先で、会話する。小市民。ことなかれ。大市民。わけわからん。小市民。ことなきをえた。大市民。わけわからん。綺麗ごとやめるべき。「人生は二十歳の時点でゴールがまず決まる」「三十の時点でやり直しの最後」「四十になればオウンゴールしかできない、それが、サダメ、シャダコ、マダコ、シャダメ」オーダメダメ、まったくダメ、生きているのが既にダメ。きつい重大キルミーベイベー。きつい十代キルミーベイベー。きつい渋滞キルミーベイベー。グルメ気取って珈琲飲んでも、眼が既に死んでる。大体死んでる。やる気が起きたいから、駄目。何もしたくないから、駄目。ベイベーベイベー、重体、重態、なんというか―――。かんというか。満員電車さ。アデデデデデデデ。ガチャ。カンコンソウサイ。雑魚ってる交差点。人のいない世界がいい。ズゴーン。曖昧な境界線のサハラ砂漠へ。大量生産。ピコピコ。チッチッ。（＊＊＊レッサーパンダが、立ちながらくるくる前脚をまわしておるところの、SCENE）―――ユウシュウ。アンタ、空っぽなんだろう。吊り橋ゆらゆら楽しいな、ニュ。今日は何月何日だっけ、ハッスル、パワフル忍びのともえ。アンタ、中身ないんだろう。電力会社​って​何​であんなに​デカ​いんだろう​。ニュ。シャーロックホームズが死んでるような、路地裏で、蟻が缶ジュースを飲んでた。ぜったいぜったい。飲んでた。「東武練馬は好きですか？」毎日出鱈目さ。スウジ。スムージー。シーソー。毎日我慢限界さ。寿司。ニュ。ご覧よ無様、人の話を聞かないケセラセラ。皿に皿に。レット・イット・ビー。昆虫、昆虫、昆虫記。ニュ。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

１３４

１３３

冬が来る世界は愛であふれているんだ。大人たちはそうじゃないと言うけど、愛は心の中で編んでメビウスさせて、固結びになってからが勝負なんだ、きつくしばりつけても軽くほどけるし、広告みたいなことを言う奴は、片っ端から嘘つきって言うんだ、愛はみんなのためにある方がいいけど、愛は心の中にしかないんだ。

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地獄の蓋雨が降って埋葬される泥の星。触れる女から、草が生える。瞬間、樹の枝を生やす。他愛ない好意でエンター・キーを押すほど餓えてないし、興味もない。堅固な比類なき高楼のアイデンティティ。生における化膿と、死における腐爛。多様な石材のごとく組み立てて、いつの日にか新生児を産む胎盤となる。フェイクｰライアー、偽装する、欺瞞する、僕等の契約。死の踏み絵、濡れた泥の道も、紫陽花も、段ボールの子猫も、心の中に届かなくなってしまうぐらい、ひどいことがあった時はどうすればいい。殺人があった。イジメがあった。家庭内暴力があった。そして頭ではなく、心に従って動いている。ノイズだらけの壊れた心の領域は、新しいタイプの自分を創造する。荒らし行為を始めたのだ。何度注意してもアクセス制限しても悪意は止まらず、居心地が悪くなったのか、次第にブログの訪問者も減り、犯人は押し寄せて来る孤独に恐怖した。またしても自分の居場所がなくなる、そう思った。追い詰められた犯人が、その恐怖を払拭する方法を考えた。―――それが殺人だ。毒と薬くらい違う、でも対象方法の前で、サイレント映画のように静まり返る、遐い遠い世界の出来事だったんだ。明日も。昨日も、おそらく、今日といういまこの瞬間でさえも、人間である限り一段階高い天国を目指すのだろう、「もしよかったら僕の家でシャワーでも浴びていくかい？」それが生きる免罪符、エゴブロックであり、悟るための、楽園へのパスポートになる。「傘に入りなよ、そのままだと風邪をひいてしまう」でも僕等、小さな崖を望む、灰になったんだ、そして何もかも燃えちまったんだ。眼の前の人物が何を言っているのかわからなかった。「わたしあなたのこと、ずっと好きだったの」言葉の意味がわからないのではない。唐突過ぎて実感がわかないのだ。たとえるならテレビドラマのワンシーンを見せられているような、俯瞰して眺めているような、そんな感覚。「ありがとう」そう言った瞬間、膝を曲げて嬉しそうに両手で小さくガッツポーズをし、短い髪を靡かせ、バレリーナのように回って振り返る。精神の奥に生成変化を促す灰色の菌糸層が見えたよ。僕はこの女を殺してから中 出しして、山に捨てるんだ。（〇〇という名前に聞き覚えはないかい？）背中を向けた瞬間に、あらかじめ用意しておいたナイフを突き立てる。（××、それから△△、□□という名前に、聞き覚えはないかい･･･？）成熟の表情のアドレッセンスが光学的変性を促すけど、僕は“お前のこと”なんか一切信じていない。ずっと見てきた。愛想良く振舞ってきた。化けの皮を剥いでやろうというつもりで、どんな言葉も、一言一句、メモした。背中を向けた瞬間に、お前の背中にナイフを突き立てることが出来る。生き物じゃないんだ。たんに遺伝子や、環境や、生きる上で取捨選択するもんが、人とはちょっと違うんだ。だって僕にはこいつが“人間”に見えない。「（首を絞めてみたらこいつどんな顔をするのかな？）」だって僕にはこいつが“人間”に見えない。「（優しい人だと思ってたのにとか言ったりするのかな？）」―――愛、あるいは神、そんなものがもしあるなら、僕と君は絶対に会わなかったんじゃないかな、顕著な発展を遂げるために、一体化する、一致する、完成するまで弛まず結晶を目指す。絵にして音楽的なリズミカルに奏でて構造的な絶妙なコントラスト、最後の瞬間はもうすぐ訪れ―――る。血糊で染まれば、もう虫の音もたてられない、最高だね、世界で一番好きな人―――が。最高だね、世界で一番好きな人―――が。お前の“生きている意味”を完膚なきまで奪うんだ、あの日のお前がそうしたように心は変化を始めた、世界は常に釣り合いを保つように出来ているのだ。

１３１

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ナイル川へエジプトでは毎年七月から十月までの間、ナイル川が増水を続け、十月には水位が五月より約七・五メートル高くなる。増水期にはナイル川は氾濫し、沿岸の土地に肥沃なシルトを堆積させる。これは肥沃な土壌を形成し、余分な塩類を洗い流し、農耕の繫栄を約束した。―――逆転の発想というのは、こういうところにもある。お芝居のような感覚で、ね。けれどエジプトではまったく雨が降らないのに、ナイル川が毎年定期的に増水する。何百年間も人々はこの謎を考えてきたが、やっと十九世紀になってそれを解明することができた、―――というのを、あなたはどう考えるだろうか、僕もとある情報に則って書いている。僕はおそらくこの情報は嘘だと思うのだ。一つには誰もが想う通り、氾濫期がきちんとわかっているのに、その氾濫する理由について考えないわけがないというものだ。そしてこの明確な答えは土着的な宗教の存在だ。あるいは支配構造によるお触書で、それについてそれ以上述べてはならない、これは神の御業であるというというような、現代的には到底納得できるものではないが、あなたが会社ならずとも学校などのヒエラルキー構造を知っていれば、当然この意見の正しさがわかると思う。たとえば地球平面説という神話、あるいは誤解の経緯を、ジェフリー・バートン・ラッセルは、前近代文明、特に中世西欧を攻撃するための作り話として、地球平面説が使われたのだと述べている。つまり簡単に言ったら、差別だ。かがやく歴史的現実だと高々に旗をかかげても、それは古い皮袋の中身にすぎない。古代人と近代人、近代人と現代人を比較すればそれは様々な差異が出て来る。けれど、一部の人は有り得ないほど優秀だったろうし、その証左は、ピラミッドの建築にまつわる様々な手法に見て取れる。世の中には盲点、灯台下暗し、先入観などによって、もちろん真実をどうしても直視できないということはあるだろ―――う。けれどこれについてわざわざ取り上げたのは、世界の何処にでも残っている差別の痕跡を見出して欲しかったからだ。別に古代人を持ち上げてUFO話へ着地しても一向に構わないのだけど、ラフマニノフする疾走する夜の野生。僕はもちろんおばあちゃんの部屋の本棚にあった、月刊ムーを読んで想像力を逞しくした過去がある。まあ、とはいえ、何となくはわかっていても、ちゃんとわかっていないので、謎ということにしておいたということもあるだろうな。なお、別に面白くも何ともない補足だが、ナイル川は世界最長の川で、全長約六七〇〇キロメートルある。アフリカ大陸北東部を南から北にかけて、主にスーダンとエジプト国内を流れている。ナイル川には二つの本流があり、それがナイル川の水源になっている。白ナイル川と青ナイル川がそれである。白ナイル川はウガンダのヴィクトリア湖に源を発している。年間を通して水量は一定しているので、毎年の氾濫の原因にはならない。四月と五月にナイル川下流の水位が最も低くなった時には、水量の八五パーセントが白ナイル川からきている。では、青ナイル川はどうだろう。青ナイル川はエチオピアに源を発している。エチオピア山脈には沢山の雨が降り、雪解け水も多い。その水が毎年流れ込むので、ナイル川は増水し、氾濫する。こんなことがもし、十九世紀までわからなかったというのは、僕にはちょっと信じがたい。この説の文献を出して欲しいと思う。聖書の出鱈目かくのごとし。完全なる欠如のための音楽―――だ。ただ、遅ればせながら、ここからが本題である。不可能なことを試みるという意味を持つ古代ローマのことわざに、「Nil caput quoerere(ナイル川の頭を探す)」というのがある。そうなのだ、ナイル川への関心は古くから高かった、紀元前五世紀には古代ギリシアの歴史家のヘロドトスが、その源流の謎について言及していたり、紀元前三世紀にはプトレマイオス二世が源流を探す遠征隊を派遣したり、といった記録が残っている。ただし、いずれも源流を見つけられたかどうかは不明だった。ナイル川を遡るといくつかの支流が現れ、前述したように、主要なものは青ナイル川と白ナイル川の二つ。青ナイル川の水源は既にエチオピアのタナ湖であることが、明らかになっているが、ヨーロッパ人で最初にタナ湖までたどり着いたのは、イエズス会司祭のペドロ・パエスで、一六一八年の出来事。この後、ヨーロッパにおける遠征のほとんどは、白ナイル川の水源を見つけることが目的となっている。一八五五年、「千夜一夜物語」を翻訳した、大英帝国を代表する冒険家のリチャード・フランシス・バートンは、イギリス領インド陸軍の将校であったジョン・ハニング・スピークと共に、白ナイル川の源流を探す旅に出発。現地の部族に襲われ、マラリアなどに苦しみながらも冒険を続け、二人でアフリカ大陸東部のタンガニーカ湖に到着する。スピークが病により一時的に眼が見えなくなった為、バートンがヨーロッパ人で初めてタンガニーカ湖を目視した人物となるが、すぐにタンガニーカ湖にも大きな川が流れ込んでいることが明らかになり、スピークの視力は回復したが、今度はバートンが病で倒れてしまった。なのでスピークは単独で冒険を続けてタンガニーカ湖に、流れ込んでいた川の源流に到達。それをヴィクトリア湖と名付け、この湖こそが真のナイル川の源流であると主張したが、ヴィクトリア湖全体を地図に収めることはかなわなかった。物語とはかくもこのように重厚であり、冒険というのはもはや病魔や、怪我と戦い抜いてなお、ロマンを追い求めるものでなければならぬ。みじめな僕等は堅い葉にくるまれて育つ･･。十九世紀にヨーロッパ人により行われたナイル川の源流の探検は、「最暗黒のアフリカ」の、「未開のジャングルへのヨーロッパ人の到達」として盛んに宣伝されたものだ。チェス盤の模様みたい―――だ。その後も数々の冒険が行われたにもかかわらず、白ナイル川の源流はいまだ明らかになっていない。白ナイルの本当の最初の一滴が流れ出す源を、本気で調査しようとすれば別だろうが多額の費用はかかるだろう。危険も付き纏う。ロマンの為に死ぬる覚悟のあるのでなければならぬ。とか悪ノリして書いちゃって本当にすみません。アフリカを探索した際、ヴィクトリア湖にカゲラ川が流れ込んでおり、さらにカゲラ川がブルンジ共和国とルワンダ共和国の湧き水から生じていて、スピークが源流であると主張したヴィクトリア湖の水は、アルバート湖を通って白ナイル川に流れるものの、アルバート湖水のほとんどはコンゴ民主共和国の、セムリキ川から流れているらしいことを確認し、源流とされる河川が複数存在していると考えられている。僕は一人の失踪した人間を探すミステリー小説を思い出していた、タイトルを忘れた上、作家名すら忘れてしまうやり手の僕だが、どんでん返しや、ストーリーよりも、様々な場所で偶然出会ったり、何年もかけてその人へと辿り着くという感動の瞬間を思い出す、―――どうでもいいことなんだと思う、源流とされる河川が複数存在している、はい、おしまいで片付ける人が大多数だろう、しかしどうしてどうして、想定している座標には存在しない人間的感情があり、その熱量というのは時折おかしなほど、世界の画素数を上げて来る。たとえばどうだろう、ウロボロスは蛇や竜だとみんな思っているけど、場合によってはそれが鰐だったとして、あなたにはそれを説明できるだろう―――か。ちなみにウロボロスの起源となる、自らの尾をくわえた蛇の図の原形は、紀元前一六〇〇年頃の古代エジプト文明にまでさかのぼる。エジプト神話で、太陽神ラーの夜の航海を守護する神、メヘンがこれに当たり、ラーの航海を妨害するアペプからラーを守るため、ウロボロスのようにラーを取り囲んでいる。これがフェニキアを経て古代ギリシアに伝わり、哲学者らによって「ウロボロス」の名を与えられた。けれど、鰐のミイラが明かす古代エジプトのワニ信仰や、その崇拝の一方で野生のワニが生贄にされていたという話がある。他にもエジプト「テーベ・ネクロポリス（死者の都）」にある位の高い貴族の墓二つから、九匹の鰐の頭部の遺骨が発見されたという話がある。本当にそれは蛇なのだろうかは純粋な疑問―――だ。立ち入る反証の余地はないか、ひとえに絶対への屈服が強いられ、飄々と風が渡るこの秋の夜のようであるか。さりとて聖書の林檎はユダヤ人には馴染み深い、柑橘類のエトログだと主張する記述がある。見たことがあるだろうか、バランスを崩した蜘蛛が、糸で緩慢に揺れるさま―――を。僕等はまだまだ、謎の中に嘘や誤解が含まれていることを、上手く認められない時代の中にいる。進む、馬鹿さ加減、二分法的比喩表現のコントラスト。だが、消えかけている部分が失われてゆくパズルは蟻だ。

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襲撃ルパン三世を始め、アニメや漫画や小説や映画なんかでも、頭脳明晰な犯罪者が緻密な計画と周到な用意を持って、主にチームワークで攻略不可能な標的に挑み、現金や貴金属を強奪する、というのは割とよくある話だ。ルパン三世と言えば、 TV第2シリーズというイメージがあるけれど、全155話、以下チンプンカンプンな人もいるけれど書きます。―――書くったら書く。脚本は『TV第1シリーズ』から引き続き、大和屋竺、山崎忠昭ら日活などで活躍した実写畑系ライターが顔を揃え、その人脈から、映画監督の高橋伴明、後に東映特撮で活躍する、浦沢義雄（本作で脚本家デビュー）、杉村のぼるも加わる。シリーズの途中からは、監修として映画監督鈴木清順も参加した。特筆すべきは、会議には、アイデアを出すため、青山学院大学推理小説研究会が参加していた時期があり、放送中期から後期にかけては作品の向上を目指し、マンションの一室を借りて、メインスタッフでアイデアを出したり、シナリオ初稿を基に討論しあう企画集団「分室」が存在していた。また、ここでは古今東西のピカレスク小説を読破した上で、ハードボイルド小説なども研究し、ストーリー作りに役立てていたという。―――というような長い話が一体何の為かといえばだが、強盗・襲撃をテーマにしたケイパー・ノベルは、大体こんな感じだと思うからだ。（羽根が生えたみたいだ、）悪党パーカーシリーズのように悪人側がうまくやって終わるか、それとも悪人に正義の裁きが下されるのかは別として、だ。そういえば全然関係ないけど、インドには子供に窃盗の手口を教える、「泥棒養成学校」があるというね。乾いた雷鳴のように滑ってゆく。この泥棒養成学校に通う子供たちは皆、貧困家庭の育ちで、親たちは二〇万～三〇万ルピー（約三五万円から五二万円）の、”授業料”を支払って闇の技を学ばせていると伝えられている。子供たちは掏摸や窃盗の技だけでなく、銀行口座を盗んだり、警察の追跡から逃れる方法、万が一捕まった場合の暴力に耐えるコツなども教わるらしい。何だか、乞食をやっている人も、下手に働くよりも報酬がいいみたいな話だ･･。おたまじゃくし、網目、花粉、――とてつもなく快活で、じつに滑らかで、明るい、それは、のこぎりのごとく穴を開けるように･･空気――。遠い呼び声と、自分のひそかに隠れている感情を見つける瞬間。あるいは、犬の吠える声ではない、犬の吠える声を発見する瞬間。そしてこういう楽して稼ぐ構造は、寄付金の話にもある。犯罪っていうのが単純に悪だというのは、戦隊ヒーローを観ている時だけだったと思うね。時折には僕だって面白ければそれでいいじゃんと、ポップコーン喰ってコーラ飲んで頭空っぽでいられたらいいなと思う。僕でもそうなんだから、みんなだってそう思う瞬間がやっぱりあるだろ―――うね。一筋縄じゃいかない、取り締まれば済むって話じゃないからね。絶望の終わりの最初のページをひらく。そしてそれはいつも、掴めそうな、気がする、長い夜の始まり―――だ。世間を騒がせた強盗・窃盗事件といえば、日本では何といっても「三億円事件」が有名だ。現金輸送車に積まれた約三億円の現金が、白バイ警察官に扮した男に奪われた。外国では、「イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館の強盗事件」が有名ではないかと思う。一九九〇年三月一八日の深夜、警察官を装った二人の男が美術館を訪れ、警備員に美術館への入館を求めた。当日はアイルランド系移民の多いボストンで盛大に祝われる、「聖パトリックの祝日」の夜であり、警備員は「騒音の通報があった」という二人の主張を不審に思わず、やがて二人は警備員に手錠をかけて拘束し、地下室に監禁した。その間に犯人らはレンブラントの絵画三点、ドガの絵画五点、フェルメールの絵画一点、古代中国の杯、ナポレオンの軍旗の先についていたタカの彫刻などを含む、計十三点の美術品を盗み出した。この強盗事件による被害総額は五五〇億円以上というから、スケールも凄い。「アントワープのダイヤモンド窃盗事件」とか、「モナ・リザの盗難事件」とか、「D.B.クーパー事件」とかね、こういうのを本当に誰かが考えたミステリー小説だったら、一度は読んでみたいと思うほどだ。でもリアルに、物を盗んで刑務所に入るというリスクに、見合ったものだろうかという気はする。会社をクビになった、天涯孤独になった―――。じゃあ、銀行強盗するか、というのもおかしな話だけれど、紙幣の話よろしく、「すぐには使えないお金」や、「闇で捌くといってもその換金だって難しい宝石類」を抱え、その上、「いつ捕まるかも知れない追っ手の幻」と戦う。巨大犯罪シンジケートの一味ならいざ知らず、しかしそれだって警察の捜査で芋づる式にやられる可能性だってある。大きな報酬にはそれ相応の罰がつく。やっぱりルパン三世みたいな軽いフットワークがないと無理だ。ちなみにアメリカではポピュラーなジャンルで、あちらでは「会社の乗っ取り屋」いわゆる、会社を喰う人間なんかがいる。だからというわけではないが、そこに僕等日本人が感じられない、快刀乱麻を断つような要素があぶり出されるのかも知れない。的外れかもしれないが、ふと思った。ただ日本が時代劇や、ヤクザ映画が一時代を築いたように、そこにもやっぱり日本的な精神のようなものを感じるのだ。しかしそうかと思えば、「一ドルだけ渡せ！」という銀行強盗がいるのも、アメリカだ。よく知られているようにアメリカの医療費は非常に高額で、日本のような国民皆保険制度は存在しない。病気や怪我で治療をすると、その費用の支払いができずに、人生が詰むというパターンも珍しくない。アメリカでインフルエンザにかかると病院へ行かず休暇を取って自力で治す、という滅茶苦茶な話をふと思い出す。こんな歩調や接近法がある――。ケイパー・ノベルの読みどころといえば、「作戦の意外性」「計画の論理性」「実行とアクシデント発生のサスペンス」「標的や警察との攻防」というように、倒叙ミステリに似たところがある。標的は銀行、遊園地、イベント大会、現金輸送車、賭博場、競馬場などがあるが、目的は主に現金だ。それも大金がある場所。もちろん金銭目的と見せかける手法もあるだろうし、逆に一見金目当てに見えない病院や学校や警察署で、実は金目当てなんていうこともあるかも知れない。中には、造幣局を襲撃して欲しいだけの紙幣を印刷してしまう、という手口もある。また主犯の目的によっては、ワイン・セラー、豪華客船、美術館などを襲撃する例もある。たとえば夕暮れにしなやかに揺らぐブラウスの奥を眺めいったりする、たとえばすらりとした―――足の曲線に、ね･･。ちなみに信用金庫の見学なんかをするとすごいよ、窓は鉄格子で溶接済み、裏手にある通用口と、その通用口とは違う大きな入り口がある。巨大金庫は分厚いし、ロックするための穴がいっぱいあり、扉は二重だったりね。やっぱりルパン三世でもなかったら入ろうとは思わない―――ね。ドリルで穴開けるとか、硫酸で穴あけてバキューム・カーで吸い込むとか、そんな話の断片が記憶にあるのだけれど、しようとは思わないよ、それが出来るってリアルに思えたら、もう天才じゃないかと思う。星新一あたりなら、「盗みの才能があった」とか、あの独特の調子で書いてくれそうだ。至る所に、警察へと通報する110ボタンがある。銀行でもし犯罪があったら、内部犯や、内通者がいると疑いたくなる心理は、何となくわかる。孤独や絶望は、その時間の中で、不安定な、まったく別の、時間というものにすり替わ―――る。「これなの？」「まだなの？」――これからさ、いまからさ。さて、こういうのはやっぱり映像だと思うが、リメイクされた、『オーシャンズ11』などがやはり有名だろう。記憶が正しければ映画を真似た中学生窃盗団が御用になったり、外国でも模倣犯がいて、犯人が詐欺のために挑んだのは、トランプゲーム。カジノのセキュリティーシステムに入り込み、監視カメラを用いて遠方から手札を確認。イヤホンでそれを伝え、違法に三,二〇〇万オーストラリアドル（約三〇億円）を稼いだとか。映画の影響力は凄いといえば、かの昔、高倉健のヤクザ映画を観終わって出て来る客たちは、みんな渋い顔をしていたってね、ハマりこみすぎだよ。そして、やっぱり全然関係ない話をするスタイルでいくわけだけど、アメリカ・カリフォルニア州にあるビバリーヒルズと言えば、セレブの大邸宅が立ち並ぶ、全米でも有数の高級住宅街だが、ロサンゼルスの窃盗犯罪の波を受けて、ビバリーヒルズの小売店や銀行、レストランなどが次々と閉店したことを示す様子が映し出されていた。いまはどうか知れないけど、ね。日本でいうところのシャッター通りのようになってしまい、ゴーストタウンと化しており、ディストピア、ならぬポストアポカリプス感が漂っている、と。本屋が閉店している、峠で店が潰れている、パチンコ屋が潰れているといって中へ入ったら不法侵入だけど、僕は廃墟というのが好きだな。ホラー的な連想力は抜きにしてもね、ただ、犯罪で店が潰れるというのはやっぱり後味が悪い。ヤクザ映画じゃないけど、地上げ屋に店を潰されるのも辛いけどね。まだ見たこともない樹々があり、そこには、鰐や蛇がいる。首輪のない獣がいる。そして暗闇―――が、月も射さない夜が･･･････。

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多汗症の話多汗症は、日常生活に支障を来すほどの汗が自然と出る疾病だ。子供から大人まで、日本人の十人に一人ほどが発症し、日本には三百万人もいる。脇の下や手の平など特定の部位に症状が出ることもあれば、全身に汗を掻く場合もある。とはいえ歳を取ればいくらでもやりようがあるわけだが、思春期に多汗症だったりすると、どう考えてもトラウマ案件だ。精神疾患リスクだって高まる。なお、ふざけて書いているわけではないと前置きするけど、偏見をなくしたい。太っているからとか、カレーが好きだからとか、コーヒーを僕みたいにガブ飲みしているからとかではない。神経障害や遺伝が関係することもあり、明確な原因がわからないことも多い。暑くもないのに汗がわけわからないほど出る、という多汗症の人を多くの人は理解できないんじゃないかと思う。夏場に肉体労働をしているような環境で、僕も汗っかきの方なので、一人だけ服やズボンがベチャベチャになっていることがある。―――みんな程度の差こそあれ、汗は掻くわけだけど、やっぱりそういうのを恥ずかしいなという気持ちはある。今年はひどい汗疹になって膿みみたいなのが出てきて、大人なので泣かないけど、あんまりにも痒い上、眠れなくて、何で今年はこんなことになったと想うと本当に泣きそうだっ―――た。いや、泣かないんだけどね、呆れて笑ってた。一時期からずっとそうだ、色々やりようがあったんじゃないか、あれも出来た、これも出来たなってね。勇気を出してというわけじゃないが、同僚に汗疹とかあると聞いたら、背中とか、足とかね、やっぱりあるんだ、そんなの尋ねないと、肌トラブルなんか何もないみたいだけどね。多汗症だって、もちろん同じだ。理解者がいないと相当生き辛い。わかってもらう、自分だって多くの人と同じなんだという小さな一歩は、何をする上でもけして欠かすことのできないものだ。ところで散歩している犬を見ると、舌を出して「ハァハァ」と呼吸をしているのがわかる。犬のエクリン汗腺があるのは足の裏くらいだから、発汗によって体温調節ができない。そのため、ハァハァと呼吸するパンディングによって、舌や口の中の水分を蒸発させることで体温を下げている。多汗症だってそういうものだと、考えてあげなくちゃいけない気がする。回路遮断、ショート、火花が散って、ヒューズが飛ぶ。―――行こうぜ、人でなし達のために。紙にまつわるトラブルは基本的なことなのでよく覚えておこう、ノートに何か書こうとするだけで汗がポタポタ落ちて来て、テスト用紙も履歴書も願書も、すべてフニャフニャになる。糊みたいに、肘に貼りつく。汗でスマホの指紋認証が機能しない、切符が濡れるコンパスなど、金属製の器具を握るとヌルヌルして滑って作図どころではない鉄棒や登り棒に嫌悪感を抱く、恋人と手を握れない、といった具合だ。ちなみに人間の汗が出るメカニズムを、ざっくり言えば血管から血液の成分を受けとって濾過し、汗の成分だけを体外に放出する、ということになる。汗の原料は血液。体温調節や精神的な影響などによって、「汗を出せ」との命令が脳から出されると、自律神経の一つである交感神経の末端から、アセチルコリンという神経伝達物質を分泌する。それが汗腺の受容体にくっつくと、血液内の血漿から汗のもとを作り出す。ここから汗腺の導管部を通る過程で、ミネラルなどを再吸収しながら皮膚の表面へ辿り着き、最終的に汗として放出される。あなたが知っている汗っかきの人を、おそらく太っている人かも知れない、水飲みの人かも知れない、その十倍、場合によっては二十倍ぐらいにしたような状態の、多汗症の人がいる。あなたって人と違うことって、人と同じと思っている人には、永遠に理解されないんじゃないかと思っているかも知れない。僕も思春期の頃はそう考えていた。人が大嫌いだったし、ね。根本のところは変わらないよ、どうして僕が人を信じたり、人に優しくするのかといえばだけど、こんなまともじゃないところでまともなことが一つもないようなら、生きている意味なんてまったくないと思ったからさ。でも人嫌いは残ってる、同病相憐れむじゃないけど、好き好んで傷つけようと思ったことは一度もなかった。小さな波紋、水溜まりの上の小さな虫だよ。「あなたは本当にわかっていないので、ここまで強調して書いておくけど―――」あなたがその人にふざけたことを言うだけで、SNS的な面白さ、テレビの漫才の面白さ、友達同士の面白さをするだけで、心に傷を負うことになる。つまんない人間は一生かかってまともになるとも僕は思わない。はっきり言って無理だ。輪廻転生を否定する人がいるけど、はっきり言って、そいつが屑だからだ、あるいは、そいつ自身が認めたくない理由の反対側が存在するのを、無意識に認めているからだ。そしてそいつはそれを犯しているのさ。人嫌いも何十年にもなるとありえないほどの能力になる。―――そいつが言っていないことの裏側ぐらいちゃんと読めるようになる。程度の低い人間は、他人の違いばかりに着目する。それをして僕が文明四流国、IQ三〇と言う。そういうのを辛いとか苦しいとか思う人もいるだろう、でもそういうのってとてもとても普遍的なことだよ。だから小さな理解から始めなくちゃいけな―――い。小さな一歩を踏み出さない限り、社会変革なんて夢のまた夢だ。ところで多汗症を治す手術もある。ETS手術（Endoscopic Thoracic Sympathectomy）だ。胸腔鏡下胸部交感神経遮断術と呼ばれ、手の平や脇の下など特定部位の多汗症を治療する外科的治療法だが、完全な治療というわけではなく、背中や太腿、お尻などに代償性発汗というリスクがある。とはいえ、「ヨガの呼吸法」だったり、汗腺を塞いで汗の分泌を抑える、「塩化アルミニウム液」を患部に塗るだったり、「漢方薬」なんかもある。「イオントフォレーシスやボツリヌス注射」なんかもある。そしてそういうのも本当に信頼できる両親や、友達に相談するのもいいかも知れない。色々あるけれど、「言われても許せる人間」と、「言われても許せない人間」というのがいるものだ。関係ない話だけど、歯の治療へ行ってその歯科医院は、治療したあと、消毒しました、一週間後に来てください、その時に蓋します、を二度ほど繰り返した。挙げ句が、レントゲンを撮らせてください、とわけのわからないことを言った。僕は基本、もうええわ、とかいう関西弁は使わない。僕が関西弁を嫌いなのは省略するけどね。使った、堪忍袋の緒が切れる状態。人生で頭にきたのワースト三つというのがあるなら、ランクインしそうな出来事だよ。僕はさすがに頭にきてお金叩きつけて怒鳴りつけて帰ってきた。我慢できなかった。でも僕はそのことを深く心に刻んだ。歯科医院では好き勝手に喋ることにした。治せるまでちゃんとスケジュール調整せよ、すぐにやってほしい、ちゃんと言うようになった。社会生活をする上で、こんな奴等ごろごろいるのさ。逆もしかり、何であいつ怒鳴ったんだろうって思ってるのかも知れない。馬鹿馬鹿しい話さ。足りないことや出来ないことを通すために人がいるのさ。寄り掛かってお互いが腐り合うために人がいるわけじゃない。―――知性だって見栄をはるためのものじゃない、沢山の困った人を見抜くためさ。公然と抑圧するもの、憎悪が際限なく、むらむらと込み上げてきた――そう･･殺しても飽き足りない、これが――出口･･吐き気に似た、嫌悪感がかすめる――。小さな社会でも、大きな社会でもね。僕はもう蟻の話しか出来ない。「蟻なんだよ、この世界･･････」僕は学んでほしいと思って書いている。言いにくいことも正直に書くのはそういうことだ。別にそういうのって人生のどんな場面でも応用可能だ。人と違うことで悩んだり苦しんだりするっていうのは、精神方面のことならやりようがある。最低、僕の場合はそうだったからだ。けれど、外にまで出てきた時は汗疹のくだりじゃないけど、色々きちんと考えなくちゃいけないことだと思う。尋ねる、いいことさ。無視する奴もいる、挨拶できない奴もいる、いちいち考えちゃいけない、屑は沢山いる。僕は病気をすると沢山の原因を考えることにしている、みんなは一つや二つかも知れない、僕は違う、有り得ないほど多くのことからそれが導き出されたという風に考える。それはさておいても、考えてもわからないこともある、あるいは死角だね、灯台下暗し、どうしても考えてもわからないようになっていることがある、人間誰にでもそういうメンタルブロックみたいなのがある、人が一人では生きられないようにさせる何かがあるのを僕は知ってる、―――多くの人にはわからないこともわかるようになる、だから多くの人は書こうとしないことも僕だけはちゃんと書く。「泣きっ面に蜂とか、悪循環みたいなのが、一日や二日じゃない、何か月、場合によっては何年、僕だったら二十何年続いてる、そういうのを対処する方法に躊躇うぐらい嫌なことはある」と。普通のふりした人間ぐらい始末におえないものはない。最悪に気持ち悪い奴なら、駅前のラッシュアワーと共に見つけられ―――る。犯罪者より、世の中で叩かれてる連中なんかより、もっと気持ち悪い奴が誰かってそこら中にいるのさ。言葉を持たない者は、言葉を持つ者よりはるかに罪深い。そいつら本当に何もしないんだ。世の中の為にもならない、YouTubeのコメント欄埋め尽くしてるような奴等さ、一緒さ、僕も考えたのさ、考える以外ないと思ったのさ、こいつらは有り得ないほど馬鹿だ、何も考えていない、なんだったら自分のことしか考えていない、それがまわりまわって自分に返って来ることもわかっていない、屑って沢山いるのさ、なんだったら病院の先生にもいるさ、警察官にもいるさ、学校の先生にもいるさ、政治家だけじゃないぜ、何処にだっているのさ、勇気を出さなくちゃいけない―――よ、だから僕はいつでも一人の人間を想定しながら書いてる。鳴いている鳥を射た、間延びした顔のような造作、でね。優しい人はいるものだし、きちんと話を聞いてくれる人はいる。「人生は我慢だよ、僕の言っていることなんか、誰もちゃんと聞こうとしない、こいつら全員頭おかしいのさ、日本語がわからないんだろうといっても、日本語話しているらしいんだ、え、じゃあ、人間なのっていったら、どうもこいつ人間らしいんだ、面白いだろう、げらげら笑えよ、全然面白くないけど、げらげら笑えよ」あと、脅しているわけではないけど、全身に大量の汗を掻く全身性多汗症は、他の病気が原因の可能性もゼロというわけじゃない。歳を取って来ると様々な病気のリスクが高くなるわけだけど、つまり身体機能や免疫機能が下がることに由来するわけだけど、だからといって、子供の内でも、そういうことがゼロっていうわけじゃない。例えば、結核などの感染症や敗血症、糖尿病やバセドウ病に代表される甲状腺機能の異常といった、内分泌・代謝疾患、体温調節をつかさどる視床下部を含む間脳の腫瘍や、パーキンソン病といった神経疾患などによるものなどだ。本当に悩んでいるならまずは疑えだと思う。戦う上でよくわからないというのは辛いところがある。

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ライターという仕事ライター、それは無職というのが正しいのか。自宅警備員になる前の文学部で、知的な仕事がしたい、そして出版社に眼をかけられてなんていうシンデレラストーリー、―――というのは、お伽噺である。クライアントから「●●についての記事を書け」という依頼を受け、原稿を書き、原稿料を貰う。ライターの仕事は主に、出版社とメディア編集部に直接雇用される場合と、クラウドソーシングサイトに登録し、そこに出ている案件を請け負う、「業務委託」の二種類がある。動画や音声メディアが隆盛を極めても情報収集は、文字でしっかり読みたいという需要は今後も絶えないだろうと思う。それがクリエイティブで格好いいとは口が裂けても言えないが、記事や書籍を読んでもらうことでビジネスに貢献する、顧客の問題解決を手助けするわけ―――だ。もちろん、サービスや情報の提供、他のサービスや商品と比較検討する材料、購入してほしい、沢山の人の眼に触れて広告料を得たいなど様々だが、一方で、読者はメディアの「ビジネス的な目的」には興味はなく、あくまで自分の「知りたい」という欲求を満たすために情報を探す。たとえば、お金を払ってでも欲しい情報でなければいけないわけだ。もちろんあなたもご存知のように、検索エンジンやSNSなどを通して広く読まれているものに、中身のないもの、文章もひどいもの、情報もいい加減なものなど、様々な弊害があることを知っているはずだ。ここから一歩抜け出して、「特定のスキルを得たい」といった実用的なもの、「暇つぶしに読みたい」といった趣味のものまで、ノウハウをマスターし、何だったらライター講座などを受けて、独学でも日夜奮闘し、一段階高いところを目指す、あるいはそうすることによって収入を得ていく、それがライターである。さて、雑誌やメディアが直接出している「ライター募集」や、求人サイトに載っているライター業務アルバイト募集に応募するのが、手っ取り早いと思う。業務委託の場合は登録したクラウドソーシングサイトに出ている案件の中から、自分が書けそうなものを選び、エントリーする形になる。またライターとして実績を積めば、企業側から原稿依頼が来ることもある。ライターの給料だが、直接雇用であれば時給制が多く、ライティングだけでなくWEB制作や事務作業などを兼任する場合もある。対して業務委託は、時給ではなく、一記事に対していくらなどの成果報酬となり、報酬額は文字数や内容によって異なる。ただ、編集者は二重三重に締め切りを早く言うし、場合によって無茶ぶりをした上、ちゃんと報酬を払わないこともある。インタビュー相手の話す専門用語を後で調べようとしたら、全然ネットに情報がないとかね。御存知でしょうがといわれるが、全然、何一つ、つゆほども、まったく知らなかったりとかね。「人によります」「時と場合によって違います」「ケースバイケースですが―――」と記事内容について言われたりね。そしてそういうのが人前に出されて、重箱の隅を楊枝でほじくるみたいな真似をされることもある。荒らしもいるしね。私生活を切り売りしてナンボなのがライターだ。体当たり取材みたいなのもあるしね。専業ライターは作業時間を作りやすい反面、スケジュール管理を怠ると、生活面での堕落や仕事のモチベーション低下に繋がる。そのため多くの人が作業時間のメリハリを意識していて、タスク管理を重要視している。「あの時は出来たんだけど―――」みたいな夢はすぐ捨てよう。徹夜して会社に行ってというのは若い時にしか出来ないようなものだ。深夜作業は効率がいいという見方もあるけど、睡眠時間を削ってはいけない。本業の度合いにも寄るが、副業ライターはやはり稼働時間に制限があり、上手く作業時間を捻出する必要がある。通勤時の移動時間や本業の休憩時間、帰宅後のプライベートの時間を作業時間に当てている方が多い。さて、「お金を稼ぎたい」という人の多くは足場が弱い傾向があるし、実際セミナーで誤って変な宗教や、マルチ詐欺の仲間入りするかも知れない。「何か思ってたのと全然違った」というなら入念な下調べをした方がいい。こういう時「百人調べるという方式」をおススメする。百人いれば誤差の範囲がかなり緩くなる、有効な情報、共通見解、みんながその仕事をどう考えているかまで、ちゃんとわかるものだ。最低でも「文章を書くのが苦手という人」は向いていないと思う。「自分の意見や好きな文章を書きたい」とか、「納期に追われたくない」「ケアレスミスが多すぎる」「簡単に稼げると勘違いしている」「年収数千万円レベルで稼ぎたい」「成果報酬で稼ぎたい」などが該当するなら向いていないと思った方がいい。あくまでも一般的な、常識的な、当然みんなが考える類のことだ。とりたてて文章なんか苦手どころか下手糞でも、それに代わる能力や特技があれば問題ないと僕なら考える。ある分野について専門知識が半端ないとか、イラストエッセイをバリバリ書けるとか、フットワークがメチャメチャ軽いとか、色んな人がいるものだからね、ライターって。ところで僕も創作界隈にウロウロしていささか迷子気味ではあるが、スランプというか、大きなアイデアが湧かない時や、書きたい気分ではない時もある。僕が言うと信じない人もいるが。しかし、だからといってつまらないものを書くことはいつでも可能で、何も書けなくなるわけではない。それでもコンピューターや鉛筆を手に取る気すら起きない日もある。そんな日は読書をしたり、自分の作品や執筆能力を相対的に客観視する。さらに、読書すらする気になれない日もある、それでも考え続けることを執筆の一部と思うより他ない。多分みんな信じないと思うけど、「立って文章書けるんじゃないか」とか、「服着てシャワーを浴びる」とか、「服脱いで裸になれば文章書けるんじゃないか」とかまで、追い詰められると普通にそういうところへはまり込む。ドアの閉まる音、袋小路、あえぎ声、しのび笑い･･･、いまの描写必要でした･･･？「とりあえず甘いジュースが必要になった」とか、「とりあえず飯食えば何とかなるに違いない」とかね。一切根拠ない、その後やっぱり書けなくて爆睡して、普通に書けたりする。色んなモーションがあり、沢山の幻と戦う。ただでさえ僕は完璧主義者の傾向があるからね、ハードルが滅茶苦茶高い。そういうのって必ず反動が来る、そしていつも持ちこたえられるわけじゃない。あと、そんな方法でクリアできた試しは一度もない。電車に乗って逃亡、わざわざ遠くの場所まで飯を食いに行くとかね、でも不思議なものでそういう時のことって絶対に忘れな―――い。やっぱりストレスを無理矢理解消しようとすると楽しいんだ。ほかにも、文章を仕事にすると、書くことが嫌いになる人もいる。ケンタッキーや、ピザ、選挙のおしらせ、スーパーのチラシ、パチンコ屋のチラシに泣けてくる――。「文章を書くこと」と、「人に見せること」と、「人に評価されること」と、「お金を貰うこと」の釣り合いが取れない時は、必ずやって来る。コスパ滅茶苦茶悪いし、場合によっては不法労働にだってなる。何やってんのかわかんなくなった時に神様助けてくれるか、言っておくよ、一切助けてくれない、ぶっ殺してやろうか、神様。猿のタイプライター、叫ぶしかない。そしてお前は人間だ。（何で急に洗脳なんですか、マインドコントロールですか？）―――銀河の凍る夜の庭で。猿のタイプライター、イエスしか認めない、ここは軍隊だ。（働け働け、書け書け、できないなんて一切認めないぞ、パワハラ･･）―――おお、母音はあくまで直線的な資質にして、子音は幾何学的な変幻自在な写実。とはいえ、未経験でも努力や、やり方次第でやれる人もいるものだし、前向きな気持ち、諦めない気持ちを持って、じっくり腰を据えて取り組む、人と比べて駄目でも、それは長くやればかなりの特殊能力になる、人より上手い人がどれだけの確率で辞めるか考えてない証拠だ。最初はどんな業種でもしんどく、その先に安定した報酬というのがある。才能なんて必要ない、嫌なことでも楽しんだもん勝ちかも知れない。だってこれは人生におけるちょっとしたことにすぎない。それにWebライティングのスキルは一生モノだし、汎用性が高い。また、向き不向きあるにせよ、ちゃんとやったら次の何かに活かせるものだと僕は思う。病も、生きていく素晴らしい衝動も、生の空間を空回りする要素だね。知ってこそ深みが出る。あと、缶コーヒーで一番腹立つコクは関係ない、だのに飲んだ瞬間「コクがあるな」って言いたがるのはもっと関係ない、ネタなんだろ･･？活かせなくても、人生は学ぶことだ、お金を稼ぐことは後の話だと考える。しかしながら、疑うっていうのは悪いことじゃない、信じるのは信頼に値する人だけでいい。それぐらい、孤独な仕事を志向する人っていうのは視野狭窄の傾向が強い。自分の書いた記事が世間から思いがけない高評価を受ける場合もあるが、それで変な勘違いをしてしまう人も沢山いる。人の意見に振り回されていると必ず手痛いしっぺ返しが来る。過去は必ず追い掛けてくる。―――肝に銘じてほしい。

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関係夏休みの宿題に勤しむ。健全な精神に健全な野望が宿る、だったろう―――か（？）たった一週間で宿題を片付けて夏の風物詩と戯れるべく、刻苦勉励。一心不乱。疾風怒濤。すばらしい黎明のような牢獄の夢。自分で言っていて―――ちょっと胡散臭いが。「蝉は今日も元気だなあ･･･」お、そろそろ合唱コンクールの季節なのかな、と軽くポエムる。何かをすることがないと人は怠惰に暮らす。けれど夏休みは終わりのないものを想起させて、まるで無限に窓が続いているみたいに、時々は怖いような気持ちにさせる。体感時間は時計の通りだと思っている、でもひょっとして、眼を瞑った瞬間から、瓢箪なりの池みたいな別の時間の感覚が、スッと流れてくるような、そんなことを想像して肝が冷えたりする。あるいはそういうのって、平和とか、毎日が同じように続くという前提がそもそもの麻痺であることを、無意識は知っているために起こる一種の補正なのかも知れない。―――まあ、僕だけかも知れないが。「市民プールとか海へ子供達は行くんだろうなあ･･･」毎年、溺れる子供達がいる。どげんかせんといかん、夏は高速道路のサービスエリアみたいな雰囲気で、自動販売機が根を下ろしたようだからな、まったく、とその同じ年頃の癖に父親フェイス。コロコロ表情が変わって、見ようによってはこの人間の多面性で、面白いのだが、いわずもがな、―――男にはあまり需要はない。晴耕雨読、やり場のない不満が心の中を駆け巡る･･。「デパートは人が多いんだろうなあ･･････」そしてファイナル、ラスト―――だ。定年を迎えたオジサンみたいなことをぼやきながら、居間のテーブルで夏休みの宿題に勤しむ。扇風機の音がして、風鈴が鳴っている。そして何かの目的を持っていて不意にぼんやりすると、日々の営みが世界であるというピントがズレて、けれど、元々ブレていたんじゃないかと気付いて、生まれてはじめて眼の前のものをちゃんと見れたような、そんな気がす―――る。テーブルの上には、丸型のコースターと麦茶。背後には桐の箪笥。しばらくすると、玄関の引き戸が開く音と、板張りの廊下を走ってくる足音が聞こえ―――。タッタッ、という、スプリンターさながらのうるさい足音はいうまでもなく、一歳年下の従姉妹だ。そしてどうもこの従姉妹、何故か僕のことが好きらしいのだ。いや、いまだったら自意識過剰と言われたあとで、まあ、アンタが好きっていうことにしといてやるわ、とか、生意気言われるのかも知れないツンデレに育ちました。もっと彼女が幼い頃、直接言われたことは幾度となくある、従姉妹と家が近かったこともあり、たまにお守りした。それはきっと誰でもそうだったような気がするのだが、たまたまそれが―――僕だった。醒めてると誰かに言われそうだが、僕は神様をシバきたい、できるならトイレの大便器で顔を洗わせてやりたい、僕は年上とか、年下に何故か好かれる。三十とか四十ならいいだろ―――う、あのすみません、まだ、十代なんですが･･。―――同学年にモテたい人生でした（？）「どう似合ってる？　褒めてくれてもいいんだよぉー？」夏にぴったりの涼しげで可愛らしい青が基調の、フラワープリントの、肩出しのワンピース姿。髪にはキラキラした髪留めもある。ガキのファッションなど気にもならないが、彼女は顔の輪郭もまだ子供らしい固い線を見せているものの、パッチリした眼のヴィジュアルもさることながらスレンダー体型で、その中にも健康ではちきれるような肉体の喫水線のようなものがあり、独特のモテオーラを放っている。五年後はもっと美人になっているだろ―――う。だからぶっちゃけて言えば、別にジャージ姿でも、彼女にはよく似合う。実際その格好で駅前をうろうろしたとしてもナンパされそうだ。でも催促して来る。あのさ、似合ってるって思うならそれでいいじゃん、どうして俺が褒めなくちゃいけないわけ？「ああ、はいはい、似合ってるよ、馬子にも衣装だな。今世紀最高の衝撃を感じた、プリチー！」「はっ倒すよ」お前だって俺に褒めろと言ったくせに。でも雑な褒め方は許せないお年頃、あるいは主義―――。「やめてください。あと、ナイフは血が出るんで、銃はやめて、毒薬はちょっと、首吊り偽装はあの･･･」「言ってないのに、この死にたがり！」冗談もここまでくると、漫才になる。いや、漫才なう！一緒に帰って来た姉貴が言う。従姉妹の様子を見れば一目瞭然だが、補足すると、服屋の紙袋を持っているので、姉貴が従姉妹に買ってやったのだろ―――う。あんまり高い服はやめときなよ、自分のことに使いなよと正直言って思うが、面倒見のいい姉貴は夏のボーナスを、従姉妹に課金するつもりらし―――い。姉貴は僕と違って出来が良く、すごい研究所で働いているらしい。親父の眼ん玉ぶっとぶような給料で、この人も家庭のため、頑張って何とか課長にまでなったわけだけど、初任給の時点で姉貴に給料を抜かれてしまったらし―――い。まあ、世の中そんなものさ。ただ、複雑だけど、父親にとっても、もちろん俺にとっても、もっと身近に尊敬できる人間だ。お金が人の価値を決めるみたいな言い方だけど、違う、彼女が人知れず努力を、生活の基本的なルーティンにして、本当に何気ないことのように積み上げてきた姿を見てきたからだ。自分は出来損ないだってひがむわけじゃないが、シスコンとか比較対象の鏡として、引き摺られる所まで引き摺ってゆかれた、それでも姉貴が出た偏差値ヤバすぎる高校はどう頑張っても無理だった。―――という、拒否する意志の働くのを断念する･･･傾き。むしろ、お金のように正体のわからない、イメージだけの紙切れならまだ対処のしようはあ―――る、でも、能力とか有能さとか姿勢っていうのはもっと彼女を言い表す。その原因をあれこれと指摘するのは無様だ、真実の姿を素直に肯定したい、卑屈もある、日和見主義もある、臆病な苦労もある、だけれど、いまの倍の時間勉強しても前例のない花は咲かな―――い。ふっと、停車する停留所名を、バスの録音テープ合成音声が順番に告げるみたいに声が響いた。「あ、やっぱり、女の子はいいよねえ、洋服じゃなくて、水着とか髪留めとか選んでるだけで楽しいもの」多分姉貴、買ったな、と思った。でも思うに、従姉妹は、姉貴の理想形なのかも知れないな。姉貴はボーイッシュな髪形で吊り目、弟だからという贔屓目は抜きにして、顔は整っている方だが、いかんせん、可愛らしさが足りない。少女の心の乱れというのを同じ屋根の下で感じるのは難しいが、思うに一番残念なのは女ながら百七十八センチもあり、スラーッとしているところ。宝塚に電撃入団できそうなのだ。カッコいいと言われて嬉しい女性ならそれもよかったのだろうけど、姉貴は自分がそう見られることに、コンプレックスを感じていたようなのは知ってる。ただ、それが勉強に跳ね返っているのかも知れないわけだが。対して従姉妹は百五十三センチ、アイドルといっても通りそうな顔立ちで愛嬌が凄い。そういう姉貴にとって、女性らしさっていうのは、一種の、手が届かない、反面の憧れのようなものがあったのではないか、と思う。顔は化粧や整形をすれば変えられるかも知れないけど、スタイルや性格は変えられるものじゃない。声だってそう―――だ。あと、妹が欲しかったというのも本音だろ―――う。「着せ替え人形か、リカちゃんハウスで満たされなかった亡霊の仕業か」などと言ったのは従姉妹を甘やかすな、という意図以外は本当ないのだが･･････。「何て言った？　はっ倒すよ」うちにいる女は、やたらと好戦的だ。「でも、アンタなんて、買い物へ行っても、『ああ』とか『うん』しか言わないじゃない」「あのね、それは―――照れ」「照れ？」二人は繰り返した。見事にピッタリだ。宇宙的な流れと反復を導くための、ビックリハウス――白い被覆材･･。「多分、それは―――はにかみ」「はにかみ？」二人は繰り返した。しかし、なんでこの二人、こんなに息ピッタリなんだろう。ナイアガラの滝の暗い洞窟に棲む蝙蝠みたいなもの――。笑い、風刺、パロディー、スラップスティック。あまりの肩身の狭さに、何だか女系家族を持った父親の気分になる。とはいえ、今年もやっぱりこんな夏休みを過ごすのかも知れない。高校一年生の従姉妹は、僕の家へと入り浸り。従姉妹が入り浸るので、もしかしたら姉貴が入り浸る。そしてそれを僕だけが知らぬ存ぜぬできないので入り浸る。悪循環のような―――けれど、確かにそこには僕の居場所がある･･。宙に浮いた亀裂のように――煙が漂うようにも見えた、陽射しの屈折した、夏の窓の向こうを見ながら姉貴が言った。空は水のように晴れてい―――た。ちなみにそれは提案ではなく、決定事項であったりする。抑圧の開放、それが夏休み。そしてそのヴァリエーションもアイディアも、そしてもとになるイメージも、尽きることはないのだ･･。―――彼女はそして、ひそかに車の免許を取得している。「今年はみんなで海でも行きたいね」

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ワープ航法あっ、と彼女が立ち止まる。うわっ、な、なに･･･。むお～っ、とか乙女らしからぬ奇声をあげる。そんな発声器官だったのか、お前の声帯･･。たとえるのならば、服の袖の下から寄生虫が入って、彼女の頭へと行き、精神を則ったのではないか―――。と、考えるのは無理があるな。あるね･･応じてくれる―――。（侵入していく回路で、）（そう確かに侵入していく回路で、）隣を歩いていた彼女の変調。彼女の耳の産毛や、ピアスの穴――を見て･･る。そうすることで高架線の下を歩いているような気持ちがする。あるいは、哀川翔とカブトムシ。織田裕二とホモセクシャルな見方をする世界陸上。人それぞれ、そんな風に精神の安定のさせ方がある。それから―――。「ネ･･････ネネネ･･････」「ネギ」「マグロ」それは違うとわかりながら、ノリがいい。でもしりとりはしてくれない。「―――ニャコォーッ♪」ヒャッホ～みたいな言い方だ。あと、ニャコというとシャコみたいだが―――。あのね、マサハルフクヤマが芸人に真似された時じゃないけど、ね・こ、ちゃんと言おう。けどね、ロケットスタートでバビュン･･。ウオッ、足が速いというもんじゃない、ないったらニャい、もう、世界記録叩き出しているんじゃないかというすさまじさ。スピードもそうだけど、土煙が、アスファルトだけど。あの、土煙が。エフェクトのある世界なんです、ここ。女子陸上の世界記録を出すにはゴール地点までに随所に猫を置くのがいい、と進言しよう―――か。この特級脳内トリップアドバイザーにお任せいただければ、ディズニーランドさながらの誘導視線で、最短タイムを叩き出してみせましょう。詐欺師の物言い。普通なら鼻で笑われる、自分でもそんな話など一笑に付す。だが、彼女を見て俺は女の子には、男にはうかがい知れない、性による様々な隔たり、違いがあるように、いま、間違いなく猫エネルギーなるものが存在すること―――を、知った（めっちゃ、知りたくなかったけど、）あるいは、ワープ航法を信じられるレヴェル。（ばちくそ、知りたくなかったけど、）マイナンバーカードみたいな糞みたいなものと、保険証廃止―――この一連のやりとり、ワープ航法（？）ディジタル言ってる国民なめてる政治家、それに反発して不信感募らせる国民、デモする医者、それらをして不当とか、強制執行とはいわず、これはあくまでも任意だと言い張る面の皮の国。会社型導入手法、免許を人質にとりながらの再三再四のお役所仕事、未練など即身成仏となるがごとしよ。―――すげーぜ旦那方奥方様方、うやむやな話、何だかよくわからない話で、電波何本よ、ネットに上手く接続できない時、それは、思うにアメリカに命令されたんだろう、対立や、干渉や、共振の間を･･転換――する、属国マーケットの見晴らし。違っていてもあっていても知ったこっちゃない、操り人形の国、日本なんてたかだか、そんな国。笑っちゃうよね、めっちゃ困ってるよ、いやその、ワープ航法（？）「（あなたの知らない世界･･･）」ともあれ彼女、道端を歩く野良猫を発見して走り出した。突進である。擬音があるとすれば、ぬおおおお、である。猪突猛進ってどう書くんだっけと考えながら、もはや、線でも引かれているよねフォーリン・ラァヴ、ふんがーといわんばかりの勢いで、猫まっしぐら。ラブずっきゅん、それが彼女を走らせているまぎれもなき原動力。恋は盲目、その類の奇行。その姿はさながら獲物を見つけた動物の先天的な行動であり、反応速度が違う、さすがの人懐っこい感じに見える野良猫も面食らい、行動が全停止。ダンプーカ―とどっちが怖いかって、それはもちろん、―――こっちだよね、わかる･･よ。車の前で身動きが取れなくなる猫は最後蹲ってなすがまま。アルマジロ的防衛本能。自転車で轢きそうになって止めた時、目撃した。だが、車ではなく人。あるいは、捕食者？　化け物？猫なりに表情で色々語っているが、その無防備の隙を狙ってスルッと抱きかかえ、その場に座り込んだ。足を斜めにするいわゆる、女の子座りで。女の子の綺麗好きは知られた話だけど、もう、綺麗好き云々より猫が好き。これに対抗するには苺パフェとか、ケーキ食べ放題みたいな、超パワーワードが必要になる。「きゃー♪　なにこのモフモフ具合、気持ちいぃー♪」傍目にはウヒョウヒョしているうえ、随分だらしない顔をしている。いや―――きっと一定数には、こういう女の子の顔を好きという人もいるが、アヘ顔っていうの、あるいは一周廻って気持ち悪いものも可愛く見える顔っていうの、美人って得だねっていうけど美人ほど落差が大きいという向きもある、でも若い頃は痩せてモテていた女が年を経て太ってもモテるというのも、やっぱり遺伝子の戦略なんじゃないか、―――とはいえ、世間体とかをかなぐり棄てさせてしまう、もうポイッと棄ててたからね、躊躇なんか一切なかったからね、それ、レフトフライを万歳しながら、何故か一周廻っていた外野手だからね、何してるのよ、でもね、表情が明らかに何かを諦めていながらにしてウケを取ろうとして、―――もうね、俺はネコウィルスを疑ったね、もうね、何だろうね、これ。前脚をぷにぷにしたり、頭をつつくみたいに優しく触ったり、某アイドルみたいに食べようとしていたからね、わかるよ、人間誰でも羽目を外しちゃうことがある、箍が外れちゃうこと、ね。殺人にせよ、車で人を轢くにせよ、そりゃ理由があるじゃん、あっちゃいけないよ、こんな軽いノリで言っちゃいけないよ、でも、起こりうることが想定できる限りは自然に確率論的に起こる、悲しいよね、でも、まだ、理由があるじゃん。けど、ネコウィルスにはそれがない、何で感染したの、半狂乱になるしかないよね。けど可愛いものを見てハイテンションになっている内が花、もう認識を改めなくちゃね、猫はいつから麻薬とか、脱法ハーブのような扱いになったのだろう。ここまで脳っていうのはやられちまうのか。おそるべしだぜ―――キャット様。いまとなっては無知を呪う他ないのだよ、改まって言うようじゃもう俺も長くないね、あのね、それは指定麻薬となってしまった動く草。あるいはモフモフの悲劇。―――などと、馬鹿なことばっかり考えてないで、やっぱり、彼女も年頃の女の子なのだよ。「はぅー、猫さん可愛すぎるよぉ～、ぬふふ、ずっと触っていたいよぉ～。連れて帰りたいよぉ～、名前教えてよぉ～、近頃楽しいこと、ベスト3教えてよぉ～」ラリっている。ラリっている。明らか、ラリアット喰らっている、ほんの二分三十秒前まで、普通だった女。「ネ･･････ネネネ･･････」「ネクロマンサー」「サーチライトピンクパンサー」それはズルだよ。でもしりとり、してくれた。欲しいものが手に入った後ではおおらかになる。お金持ちが寄付するのは、おおらかだからだよ。名誉欲でも何でもいいよ、おおらかで救われる命があるならね。空が綺麗、ようやく天気予報も視野に入る。でも、ノリがいい。猫は僕を見つめて、お前の相方どないかしてくれへんか、もっとソフトな触り方とかあるんやないやろか、という眼を一瞬した。何で猫と話せるかって、それは俺が昔、猫を飼っていたから―――だ。飼うと喋れる、ナーゴナーゴ、ニャーゴニャーゴ、じゃなくて、テレパシイ、その一択。女性が血に強く、ちょっと道を踏み間違えると、ヤンデレ気質になったり、リストカッターになったりするのは、まあ大体その為です。嘘だけど。でもね、猫さん、弱者は強者に従うのみ、ワープ航法のようにね、全身まさぐられてやってください、もみほぐしもみほぐし魂とりだし、―――キャット様、グッドバイ！その内、国の医療システムに変更があったり、政治に対するテコ入れが行われるだろ―――う。俺はあれは本当に大きなニュースで、もし廃止撤回できないようならこの国は終わりだぐらいに思ってる。そうでなければお前の頭の中は猫なのか？お前は猫なのか？「―――ニャコォーッ♪」と嬉しそうに叫んでがっつり抱き締めている彼女を見ながら、女の子は猫になりたいのかも知れないなと本当に思った。―――それと、ワープ航法。

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流れ星夜空、流れ星がキラッと光った。まるで華やかな蝶の群れが聖なる儀式のように飛び立ち、羊の毛がコートが作ったみたいに･･････。　　＊彼女の笑った顔が。からかわれて怒った顔が。照れて赤くなった顔が。悪戯っぽい顔が。驚いている顔が。泣いている顔が･･････。　　＊日は傾き、夕暮れ時となっていた。うるさいくらいに鳴いていたミンミンゼミは、ヒグラシへと変わり、汗は完全に引いていた。ハイキングや、バードウォッチング、キャンプ―――。生きた山水画の郷みたいな景色―――で･･。虫の鳴き声と、森林が多い場所特有の涼しい匂いがする。フィトン・チッド、甘くて優しい香りだ。そんな遠く、折れ曲がりながら、すり鉢状にも見えなくはない、木道を歩いた。　　＊真っ赤に光る夕陽が消えたのは、どれぐらい前だったろうか。額にうっすらと掻いた汗を拭う。世界を朱色に染め上げていたあの時、地面に映る二人の影は長く伸び、その中でたまに手が触れ合い、その光景に胸の高鳴りを覚えて、妙に恥ずかしかっ―――た。逆行する光は寒々としていて、それでお互いの距離を近くす―――る。そして日没後の夜空に、流れ星がキラッと光った―――のだ。「ねえ、見た？」「ああ、見た」流れ星なんか別に珍しいわけじゃない、ここは田舎だ。何年とか何十年で天体望遠鏡したくなるような流星群は別だ、あの時期、人はみんな天体部に入りたくなるのかも知れない。そんなことはない。でも、そんなものさ。ロタ島や、フローレス島、モルディヴ―――。星空が綺麗だっていうならそちらの方だろう。でも二人がそこにいるだけで、それは特別な魔法への仕掛け装置になり、楽園へと続くパスポートになる。空っぽ？　これは、空っぽじゃない、何もないというものが歪んだ形であらわされている、神経への刺激―――だ。気障な言い回しの一つには想像力を喚起させること、そしてそこで起こる日常の雑多で煩雑なことを省略する機能がある。それをして、病疾も正しいかも知れない。そうだよ、空港の前とか駅の前の広場みたいな、看板。では、夜も？　そう、これは、夜じゃない――･･。「（心の中で対話をしたいと願った二人だけの世界･･）」美しい夢を土足で踏み潰されないように、角砂糖みたいに音を立てて崩れてゆく、弾頭部品のシルエットのような僕等の脳内は無煙爆薬中･･。長い沈黙のなかで、声のない激情の火、狂気の灯火が、見えたような気がするの―――だ。“信じていいこと”―――と。“感じていいこと”―――が。うまくわからなくなったような時代だ、他人を信じる必要はないのかも知れない、一人で生きていけるのかも知れない、お金を稼ぐ方が価値があるのかも知れない、間違ってない―――よ。何かを手に入れて何かを失うというプロセスが、ありえないほど下らなく思えない限りは、見せかけのこと、誤ったことは、個性にな―――る。「願い事が叶うって言うよね」「ああ、俺は―――」もちろん、トバしておく。絵の向こう側へ、たとえば悲しみのない世界を探して、音の反射する先へ、―――先には、展かれたその入り口には、涙が海を造ったような、愛のドラマツルギーを知る。まだはっきりと心に決めたわけでもないのに、どういうわけだか、ぎしぎしと――階段を降りているような･･。抽出される――抽象･･。一歩一歩、のぼっているはずです。天国、ヘブン。ステップ。タラップ。ステヤー。ステヤーウェイ･･。言／っ／た（あるいは･･･？）言／い／や／が／っ／た「お前と結婚できますようにって願ったよ」「な、ななな、なに言ってんのさ！」もちろん、両肩に手を置く。本音なのに、冗談ごかさないと言えな―――い。「世界中で一番好きなお前と生涯添い遂げたい、お前の声や言葉や仕草や立ち居振る舞いまで、俺の心の宝箱にもっと増えてくれますように願っておいたよ」ドヤァなのだが、お互い超顔が真っ赤になった。トマトでも蟹でもいいが、案の定すぎた。しかし彼女の反応が面白い。「バカなの、アホなの、っていうかバカなの」「二回も言わんでも―――いや、そう、二回も平等に、バカとアホを言って欲しい（？）」「自覚があるのね？」「でも大事なことなので、二度ちゃんと言って欲しい。クーッ、マゾヒズムの血が騒ぐぜ！　あと、マヌケとデクノボーとトンマを追加してくれ（？）」というがもちろん、冗談であり、照れ隠しだ。だけれどそこで、不意に真顔になったのは何でなのだろう･･･。「ううん、一つだけでいいよ」―――と彼女が瞳に力をこめて言った瞬間、世界は確実に停止した。自由と平和そして繁栄という名のぬるま湯に、どっぷり浸かると人間は情も言葉もふやけてしまう。鋭くない、言葉も柔らかく、丸くなる。でもこんな時、人生というものがイージーモードか、ノーマルモードか、ハードモードだったか分かる。彼女は、そういう人だった。どうしようもなかったあの日のうすい空気の方が、正しいと信じられたりも･･して、でもそれぞれ行く先で、あの日に見た何かがつながっていて、一つ前の記憶が巡る、そしてまた同じ満足を違う表情で眺めている。　　＊彼女の笑い声が。励ましてくれた言葉が。優しい香りが。抱き締めた時の温もりが。重ねた唇が･･････。どうして遠い記憶を引き寄せようとするのだろ―――う、阿片に酔った遠いアジアの森の光景のように、見覚えのない人や、聞き覚えのない声なのに、（―――何かが半分残っている）どうして脳裏に浮かぶ彼女は、こんな懐かしくてたまらない気持ちにさせるのだろ―――る。（―――進行過程が内部の回転面に照射されて、自意識という思想が自己と他者の間に存在し･･、）一つ浮かぶたびに心の奥底が温まって。それが心地よくて嬉しいはずなのに、それなのに―――。不思議と悲しみも押し寄せて来る･･････。「（何か言おうとしていたことは覚えている･･）」気が付くと、彼女の顔は息がかかりそうなくらい近くにあり、パターンを特定のコマンドに決定づけるみたいに、こちらを覗き込んでいた。検出する、天然のプラネタリウムの中、古風な幽雅な趣き、無感覚的な、神経的な、―――世相が対立項として俎上にのぼる。　　＊「一つだけでいいの」恋の病は、少女みたいな一面を作る。場合によっては女性より男性の方が、少女みたいかも知れない。ふとそんなことを想う。愛と信念と尊敬がなければ、うちのめされた人々の涙を拭うことさえできな―――い。真っ直ぐ見つめて、一つ肯くだけでいい。笑い合った時間も、今日どんな風に過ごしたかも、何を見ていたかも、必ず意味のあるものになる。名前のない、言葉のない、音のない、夜のなか、風が巻き起こった――。風が髪を巻き上げ、木の葉が激しくざわめいた･･。それでも息をしている、息を、しながらの―――生命活動。コントラスト変化に起因するフォーカスエラーの発生･･。BMWが走りTOYOTAが走る、埃と共に。巨大な胃袋を持った支配者に得体の知れぬ食欲がある。そしてその意識の奥には、影のようにひそむ民衆がいる。意地をはらず、肩肘もはらず、しんみり生き、ひっそり暮らすこと―――だ。ユニークな開閉動作による、メッセージ･･。磁気を帯びたように近づく。「二人で･･････」　　＊夜空、流れ星がキラッと光った。まるで華やかな蝶の群れが聖なる儀式のように飛び立ち、羊の毛がコートが作ったみたいに･･････。青い石を拾えば、静かなる奔流のなかで海沿いの土地ができあがる―――。　　＊時々思うんだ、いつから始めたっていいこともあるって、変われないでいること、滅入っていくこと、それでも十分な暮らし、ないものねだりはやめたんだ、だけど、（振り返った―――森、僕等が歩いてきた道を･･。壁画や装飾にもまさる陰影と光彩の世界に幽玄味があり、まるで夢の中のような光景だったこと―――を、）明日から風が吹くなら、僕等はやっぱり何かに辿り着こうと願うんじゃないかな、（却って闇に跳ね返されながら、視力を鈍らせている、光のほのじろい反射が、知らぬ間に年月の流れ出てゆく証･･）ドアはいつでも開いてる、臆病な僕等はそれに見て見ぬふりをするけど、いつかきっと変わり始める、そう信じているん―――だ･･･、コーヒーに映った自分の顔だって好きになれるさ、いまでも駆けだして作り替えたいものが、ある･･。夢の欠片を拾い集めてさ、また元のジグソーパズルに戻すんだよ、何処から始めたっていい、そう思うんだよ･･。「「「―――僕だって･･･。

１２３

スマイリーデビル神社で行われる夏祭りへ行く。一つの眼で過去を捉えて、ひとつの眼でノスタルジアを捉えて、一つの眼で外部と内部の中心を捉えて、ひとつの眼で行為と思考の結末を、―――ふわり、する。「何故行くか、それはいい問題だ―――何しろ、一定数の人にとっては、鍵や財布やスマートフォンを落とすイヴェント（？）一種のフリーフォール、落ちてゆくだけ（？）」「いま、一定数の人を敵に回したよ、あと、フリーフォール一応のぼるからね、関係ないけど」「まじめんご」「殺されても文句を言えないと思うな」「スンマッセンシター」「あぁー、いま、あなたの靴に画鋲を仕掛けろって、頭の中から声が（？）」―――夏祭り。大規模なものではなく、数件の出店がたちならび、祭り櫓の周りで、みんなでボーンダンスする。時々太極拳やキョンシーポーズを決める。誰も文句言わない、何でもいいからだ。型がないのが型っていう、そんな小さな祭りだ。店にはガスボンスや発電機が見える。りんご飴の“ガリッ”という音。the林檎捕食型動物の咀嚼音（？）椎名林檎は関係ない。それが言いたかった？ねえ、言いたかったの･･･？花火もする。それを仕切っている村の自治会で、店の営業も自分たちで行う。村の活性化。しかし本音は大人も馬鹿騒ぎしたい、羽目を外したい。下駄やサンダルの足音。はぐれた子供を呼ぶ親の声と、迷子になった子供の泣き声。ジャパニーズグラフィティ（？）土方巽が暗黒舞踏を始めるのはこんな時（？）「―――カーニヴァルファンタズウィアロメオサーティワン（？）」「ねえ、お願いだから空気吸わないで、死んで。そのネーミングセンスごと死んで、そしてもう生まれ変わらないで」「ひどいことを言う」と、何処にでもいるアルパカのような素朴な顔をして見つめた。「ひどいことを言われるような人が何を仰いまするか（？）」祭り。しかし村なんていう田舎では一大イヴェントだ。子供の頃は祭りが大好きだった。スーパーボールすくいというのが何故楽しかったのだろう、人にぶつけるぐらいしか使えないのに（？）え、他に使い道なんてあった？広辞苑、脳震盪、え、それ以外の使い道あった？百科事典、飛び道具、一種のかめは波、先生に怒られる（？）くじ引き。購入行為が有する高度の投機性、および射倖性は余暇の娯楽。ちょ、ちょっと、競馬とか競輪みたいになってるよ･･･。プラスチックのパックや紙コップで提供される料理。値段と量が合ってないだろとは口が裂けても言ってはいけない決まり。でも女の子がこれぐらいしか食べられないって言ったら、絶対嘘だって思う―――（？）家帰ったらそれを最低でも十個は食べてるはず（？）どすこい。あと、買う前は美味しそうなのに、実際食べてみるとそんなに美味しくない、なんだったら、微妙だったりした時の残念感でフルマラソンできる（？）「じゃあ、走ってよ」「あとでな（？）」「それ、永遠に訪れない類の台詞だよ」「永遠は長すぎるからいつかきっと訪れるさ、多分な（？）」「狡い子供の言い訳」古来綿々と受け継がれてきた保守的、土俗的、一子相伝の決まり（？）あと、コカコーラ1.5リットルを一気飲みしていたい（？）「一子相伝は関係ないと思うな、あたし。あと、本当に関係ないこと言うね（？）」それに、輪投げや射的のワクワク感･･････。「―――そしていまとなっては、どう考えても残酷としか思えない、金魚すくい（？）」「育てろってグッピーが言ってる、あたしはマッピー、俺はドッピー、そしてあなたはヤッピー（？）」「名前つけるな、やめろやめろ（？）そいつは、シャッピー（？）」そこで、彼女がこちらを向いた。なんか企んでいる感じの不敵な笑みだった。トライをはじめ･･る――エンジョイ！　ハブ・ア・ナイス・ゲーム！そこから何故か選択画面へと急速移行した。【問1　このモンスターの名前は何ですか？】解、このモンスターはスマイリーデビルと言います。チャームとか使いますがまったくききません、レベル99の俺には。女の子だもん涙ぐらいでちゃうを使いますが無視できます、レベルカンストして究極進化を果たした俺には（？）【問2　スマイリーデビルことスマイリーヒンニュウは、何をしたいと思うでしょうか、百文字以内で答えよ】解、人間の言葉では意思疎通が―――。「できるよ！　あと誰がヒンニュウだ！」「じゃあ、キョニュウって言っておく」「あのごめん、それもムカツクやつ（？）」で、何だよと言う前に握り拳を出してくる。ハッ、と鼻で笑いそうになる。野蛮な女の考えそうなこと。「いきなりステーキ、この高速パンチで俺を人間サンドバッグの刑。Gガンダムならマシンガンパンチっていうところ（？）」「って違うわよ、ねぇ、じゃんけんしよ」「―――いいけど」よからぬ企みをしているのはわかっているが、百歩譲るまでもなく、百通りのよからぬ企みがあることなど千も万も承知しつつ、こういうのって、普通に嫌だけど、絶対に嫌だけど、と言うやりとりになり、最終的に、やってよやってよと幼児帰りするか、一生のお願いというお前それ何回一生あるんだよ、命無限かよ、みたいな不毛なことをすることになる。「じゃあ、景品にパンツを差し出すとか、ブラジャーを差し出すしかなくなる。―――よし、じゃあ、やろう」「あの、普通にキモいんですけど、警察署へ自首してもらっていいですか？」「てへっ（？）」というような馬鹿なやりとりをしたあと、じゃんけんと関係のない要素であるのだが、いきなり手首のストレッチや、首まわしをし、挙げ句、グッグッと屈伸までしている。あのごめん、それ、喧嘩の合図だから。「ごちゃごちゃ言わず、やるよ。最初はグー･･････」そして―――負けた。そして―――笑った。スマイリーデビルじゃなかった、スマイリーヒンニュウが（？）「じゃあ、今日はおごってね、あのふわふわのわたあめ食べたい」シロか。クレヨンしんちゃん語。全然関係ないけど、クレしんって略すと何か卑猥な感じになる。ノルウェイの森という小説がある、ノル森、だからあいつはポルノ作家だ（？）しかしなんだろう、この上目遣いに弱い。わかっていてやってくる、それは、メスの証拠である。オスはそれを黙って受け入れる（？）心の中では、雲食べてこい、仙人のようにかすみ食べてこい、一緒だと言いたいお年頃（？）腹が膨れないもの、可愛らしいもの、それは、中身の外側だけが強調されたファンシーと相場は決まっている。ただ、わたあめ、自分の分も買おうと思うふぁんちー（？）「わかったよ、でもちょっとだけだぞ」「あのね、こっちの金魚すくいやりたーい！」「だからちょっと待て」「あとねあとね、射的と型抜きとくじ引きと焼きそばと、たこ焼きと、かき氷と、チョコバナナとラムネ―――」破産。財布が悲鳴をあげる、緊急事態だ。そんな破壊攻撃、侵略戦争は予定されていない（？）「あっ、ヨーヨー欲しいかも、あとお面も！」「アホか、そんなに買ったら金が尽きるわ」「じゃあ、アコム行って！　近頃はLINEポケットマネー」「黙れ」「ええーケチー！」「ケチじゃない、倹約家といってほしいところ。あと、すべて手に入れると考えるのが人間の悪い癖、一つや二つで、いい。それが、いい」「じゃあ、人間じゃないなら猫さんですか？」「犬ではなかった気がするな」「狸？」「レッサーパンダかも知れないな･･あのさ、これだけは言っておくよ、ホウレンソウいくら食べてもポパイにはなれないし、ミッキーマウスを繰り返しても、ネズミにはなれない。けど、レッサーパンダになりゅことはできりゅ（？）おお、歩いたー歩いたー、立ったー立ったーふぁんちー（？）」「ぶっ飛ばすぞこら」祭りの夜は長い。間違いなく俺の有り金は全部持っていかれるだろう、それだけはわかっていた、享年十七歳。死因、財布への侵略戦争の犠牲によるもの（？）いたわりの言葉で包んでやれなかった、女の子もいる。埋め立てるしかない、苦い記憶もある。大人になっても地団太を踏む、馬鹿なことはやりたくなるし、わざと人に騙されてみようという心理はいつまでだってある、遠さや、速さについて考える、この国で困難なことは、自己そのものを他者と感じる意識の説明。果てもなく沖からミサイルが飛んでくる、そして、井戸水のようにひややかに、今日の死が簡単に訪れてしまう。見ている、雲を。眺めている、雲が。その内に後ろからどんどん削られ、消えてゆく、何も生まれないし、何も消えていない、通過する、一瞬の形。バタフライエフェクト、消えてゆ――く･･･も、の、は･･･。　「いつだって、鬱くしい国、イエー、それはローリングなスプリングなサンダーストーム（？）」「普通に言えない？」「イエー、クローゼット爆発（？）」―――さあ花火のプログラムを知らせるアナウンスへ、俺達の、俺達の、俺達の―――祭りが始まる。おいしい。まずい。キラキラ。色も形も、馴染みも、そうじゃないものも、近付いてづいてきては、遠ざかる。「（ピースマークは、写真撮影の時の仕草だよ･･）」「（なんで笑わなくちゃいけないの？）」「（ねえ、なんで笑わなくちゃいけないの？）」時間が止まってしまったように見える夜の公園のブランコが、軋り音出してたのを思い出す―――祭りさ･･･。

１２２

flour――灰に種子――花が咲いた、四分の一世紀ものしずかに食い込んだ白癬とも疥癬。憎悪をこめたルサンチマン、フラストレーション最高潮の銃口から、不快な副次的作用･･････。（平等）トイウ「嘘」―――を、（平和）トイウ『嘘』―――も、（自分）トイウ「嘘」―――が、（世界）トイウ『嘘』―――に。一瞬忘れて、笑って怒ってすましていて、弓なりの唇が放つ、焔に包まれた、等身大の弾丸。バズって、ラリって、タッタカタカー、（――できるものではない、）相手の良い部分を全部消すモラハラヒモ彼氏さ。人間喜劇、エンターテイメントという瞬間の気分の作用。見てはならぬ夢を、見てしまった。「牛が横木のまぐさ桶装置を覗き込んだだけさ」（近頃じゃ全員がノストラダムスという役職に、立候補しているような滑稽な構図すら想像するのさ、）それでも自分の顔は、仮面さながら、水の上の油のように丸く固くなりながら、いま、その上に差し向けれられた継ぎ接ぎの異界の言辞。―――退屈が、凶暴な、本能的操作の道徳をする。【既存のページ】に上書きする。食いちぎるつもりだ、このトロイ―――を！【曖昧さ回避】の追加の仕方をする。ぶっ壊してしまうつもりだ、このバベル―――を！“眼に浮んで消えない熱のある日”それは夢の中で大きく口を開けた魚を何故か連想させ、めりめりと頭部のすべてが裂ける、自意識だけ肥大したド痛。飲み会で大声ではしゃぐだけでひとつも面白くない。ぼうソウ／さつリク／きかいグルマ／くらくらくション神に捧げる、祭壇では牲の腐肉に湧き、白い蛆の塊りが宇宙を鍍金する。エイリアンのようにも思え―――た。（フランケンシュタイン博士の怪物のようにも思えた、）素っ裸で飛びだした人間の感覚は、ながい風濤に晒らされ、「奴隷」になったかも知れない。『物言う家畜』になれたのかも知れな―――い。そのくせ、図々しい蟻のコロニー界隈では、小鹿のような蹠でこの地上に最初の生を漂わした。「自分も社会人なんですよ」（低俗な不安、質疑応答･･）「政治見て経済のネジやボルトにならなきゃね」みたいなツラしてショーケースに並びそうなことを言う、愚か者のその図々しい神経を疑う。―――【死ね】日本は第二次世界大戦で敗戦し「この国に将来は無い」といわれ、それから四十年で、世界第二位を誇る経済大国に。･･･でも、そこには確固たる起源や根拠に基づく物語はない、だが、構築の重みや、解体に基づく流線はある。ペニススを切り取ったような不思議な印象は尽きない。てんで品のない、この夜、炸裂する光明の発現の疾走、エレガント・エレクトリック・パレード。皮下脂肪に食い込んだランニング・シャツのような一冊の本に、月が、ムーンが、車道が、shadowが建設される。誰、誰にも―――見せたくな―――い･･。ひとつの恥部が心の奥に影を落とすか、ら。得、得体―――など知れな―――い･･。後ろめたさばかりの塊が密かに疼い、て、る。目薬をさし、五秒か、十秒――、眼をしばたたかせる･･。梅雨らしい陰鬱さ、で。「「「イマハモウ“秋”ダ。（平等）トイウ「嘘」―――を、（平和）トイウ『嘘』―――も、（自分）トイウ「嘘」―――が、（世界）トイウ『嘘』―――に。ヴァギナを切り取ったような不思議な印象は尽きない。てんで品のない、この夜、憂愁の虚飾に狼狽える濁世の急行列車、エレガント・エレクトリック・パレード。君は眠って老人になって、赤ん坊になって、それからすべて忘れて見ず知らずの人にでもなって、いまベッドの横では、心電図などのモニターが置かれ、モニターには波形が表示され、規則正しい心拍、呼吸数、血圧を示してい―――る。「奪われた人間」（ガ、）「奪う人間）（ヘ、）惹きあい、捜し合い、歪んで、汚れてもつれあっている、二つの魂―――は、二つの魂―――は、「あの日のことが、昨日のように還って来ます、愛しい人、震えるこの胸に、確かに花は咲いたのだ･･」「泣いてもいいかな･･」「こんなこと、誰にも言えない―――ことだよ」それでも夢の中で大きく口を開けた魚を何故か連想させ、めりめりと頭部のすべてが裂ける、えぐれた抜け殻のわびしさと異臭を放つ、漿液、膿汁、腐り水の楽園。ぼうソウ／さつリク／きかいグルマ／くらくらくションぼうソウ／さつリク／きかいグルマ／くらくらくション

１２１

音の切れた場末の映画館のフィルムのように疲れはてた時の刻みが聞こえるばかりの静けさ―――。街街　街　ボクにも、見つけられるだろうか？キミがそうであったように･･･。―――人らしさって何だろう眼を奪われている何も変わらない―――のに、「美しい」とか「面白い」とか言うんだ･･。空気の循環I wonder if the sun will rise again, and if the world will shine like that, even within me.周波数、人の声の響き、機械の音、鳥の鳴き声、信号が変わる、ああまた信号が変わる―――。繃帯なんだ、くちさきには異国性の頑丈な猿ぐつわ、洗脳は完了したんだ、島国は陸地に座礁したまま動かない鯨。手足の一つ一つには感覚だってないん―――だ。長い長い間、そのあたりを彷徨った、その断層を。あるいは「空洞」を探していたのかも知れない。ほっつき歩いたんだ、くたびれるまで歩いた、裂け目の底から湧いて出るのは、呻きや、鳴き声、怒りや悲しみの苦々しい傷口の成分･･･。愛とは―――。

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頽廃双面は、恍と絶え入り、魔法の洋燈をくぐり抜ける火神さながらに、洞窟の影の比喩とて悲しく、他の条件が同じならば、円規が素描を始め―――る。否、窮みなき慾情に満つ、邃き潭――行為も、欲望も･･･。說明責任とは何か？装飾品は膠條を敷く、愛自ら詞藻の上に。狂気、忘我的、楽屋裏を。動物から人になるという、意識が減圧弁の調圧操舵―――で。身体のすべてがそこに集うという、大歯車や小歯車、滑車、かかる白い透けるような掌、蝶となりて風の吹きゆくを、緊と覚えぬ。それは扨措、片足は敏捷に顰蹙の、隨時隨地的服務の世界から、もう一つの世界に触れるだろ―――う。我が人間の血･･。我が蝋人形―――。常住不断の眩暈に憑かれ、提琴の旋律は貯古齢糖と小酒を攪拌する、凄まじき魔力に如かじ。夢を見ている魔神の鼓翼き･････････。

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花の踊りローマを取巻く丘のような、花畑の道を進む、印章派という透明な翅をして、またロマン派の結晶的な雰囲気をして、一きわ花やかで美しかった、霊的神経網の影、三千年来の若さの薫りが滴る。消化機能は信じられないほど遅延し、最小限に落ち込んで、蟻となる。そしていま、花は、ちょうど猫に足のまわりを、うろつかれる―――。聖なるしずくから生まれた、百合の物語。（まず、それが―――）強引に、済し崩し的に、見初められたクロリスという花の女神。アポロン的な。あるいはラミア―的な。花は「萼片」「花弁」「雄蕊」「雌蕊」といった要素で構成されていて、その構成を記号式で表したものを、「花式」構成を示す模式図を、「花式図」というのを、ふと思い出す。表裏一体あるいは不即不離の、根と花と茎。記憶から現代的なものが消滅しはじめ、（水力学、応用熱力学、電子光学、幾何学、材料工学などにおける植物のインスピレーション･･）最期に残った、忌まわしい死という名の四肢さながらに。ねじ廻しで卵に穴を開けるように、蜜蜂や天道虫―――も、太陽と月の夢を見る、まだ味わい得られぬエレメントを、孵化させようとしながら、香水壜と一緒に飾られよう。“夢”と―――。“電気”と―――。タンポポの綿帽子の拡大写真を見たことがある。パラシュート構造の種子は、吹いてくる最初の風で旅立つのではなく、よい風を待つようにできている。（蝙蝠の羽根を持ったニスナスのようだ、）ピナクル・グルウスは、翼が一つしかない鳥。円錐形の丘の頂のまわりで弧を描く、まるで人間のような鳥。ミルメコレオを思い出―――す･･。幻覚剤をのんだまま映画を見ているような、アナザーワールドには熱病のような魂の遍歴がある。「美しい」というのは簡単だ。でもそれは本当の美しさではない。「（見えている／見えていない）美しい」というのも間違いだ。何故ならそれは禅問答や哲学にすぎない。歌うことができる、踊ることができる、それが生命の感覚を著しくさせる。リズムから裏拍をとって、より大きなグループを見つけ、昔のピアノの調律がいまとは少し違っていたことを、音色のいい口笛や、砂漠の中のオアシスのように、思い出す―――。世界は十二分な条件で、若い雲に試練を出したのだろう。噎せるような匂いが、夕闇に沁みるとしても、自然は世界心情そのもの。ウィリアム・モリスも愛した、アカンサス模様。ダンテならシンメトリーな、幾何学文様のパターンシェイクスピアは、エリザベス朝時代の、トランプのようなパターン。しかしそれらも、植物のめくるめく多様性の、ほんの一部。形作る摩天楼の輪郭線も、ここでは魔法陣と円周率と黄金比率。羞恥の影もなく、理解、暗示、示唆、誘導、提示を経て、一つの感動の色が、内から皮膚をかきむし―――る。奇術団の千万無量。ピサの斜塔の無数大数。色づいた層雲の隙間から一条の光が射せば、頂点の像に幻想的な後光が輝く。あたかも「夜の闇の長さ」によって蕾を緩ませ、植物学ではこれを「限界暗期」という。この限界暗期が植物によって異なっていて、それが蕾の成長に関与する。何年か以前の記憶が、ラグジュアリーな調度品や、軽やかでデリケートなアロマを、映し出すみたいに、知恵の実がいつしか、品種改良されて甘さを追求したように、共進化の道が豁然と開かれている。“光”にも―――。“風”にも、まだ―――。

１１８

闇歴史ハロウィン最高、カラコン入れたった、クレタ島のミノタウロス感、ギザった仕込み歯つけて、刃物のように変形した右腕、をつくりだす――。めっちゃ邪王炎殺のムード。ドラキュラたった、アーモンドの芯。モテまくりっしょと想ったら、ガチすぎて引いたわーって、言われたった、「時代が早過ぎた」シグナル伝達経路。転換線。「可愛さポイントが足りない」黙れ。キャラ崩壊は、駄目だから、不気味な笑み浮かべながら、心の中では泣いたった、それ、宇宙的規模の飢餓の入り口。終わりのない惑星の雪は砂に変わり、咽喉を塞ぐ。（渇きを覚えるお年頃ティーン！）やけくそでトマトジュースを、哺乳瓶に入れて飲んだった、インパクト重視のアトミックなハート。あと蛇のおもちゃ、噛んだった、すでに思い込みという主観的な、一形式から純化された純粋な一形態。変っていうか変。おかしい。狂ってる。総じて、気持ち悪いって言われたった、知ってた。「中二病じゃん、それ」けど、黙れ。最高の誉め言葉、ガキは死ねって、言ったった。思考の始まりが中心的位置を占める、邪馬台国的巫女の血筋。切ないような胸のときめきは、眼のくらむような知的なスピード。うちは超イケてる、ハイセンス、横道、回り道、逸れてゆくたびに、何かどんどん変なことになる道。盲目で敵意に満ちた世界の真ん中の、疎外論的構図、愛なき世界にマシンガンをぶっかましてくる。いっちょ。メスダチは、みんな最高に、「カッコいい」言われたった、ついでにもうジョジョで鍛えた、変なポーズしたった。枯れ枝の折れる音におびえながら、小兎のように飛び上がる、ハイパーマーケットイオソで。なんでイオソで。棄てるもんがなくなったら、同性愛とか、多様化とか考えて、「かめはめ波じゃん、それ」萎えそうになったった、釈迦に眼潰し、キリストに膝蹴り。なんか違う。でも大体合ってる。コスプレと遊びの境目、来年は、ゾンビメイクして頽廃の時代を演出、もっとメスダチにモテようと、思ったった。ウルトラマーケットイオソで。なんでイオソで。多様な夢思想の圧縮された、エッセンスのトワイライト。「じゃ」「でも」「･･･また」「はい」心の中に絞りを開け放した、レンズがある。　ビジュアルコミュニケーションの、空間でマインド・トラベル、男なんて女に夢見過ぎ。「ってか、超ヤンキーじゃんお前」って、幼馴染に言われたった。性の･･･いまにも――蒸発しそうな、遭難者の列に混じれども、街燈の光は、ウィンチェスターへの巡礼。

１１７

Kamome studio「dämonisch」やすやすと握りつぶせそうに見えた卵からどろりとした黄身は流れ、（･･･でない、）という、（――なしつつあるものの、）のアンバランスさ、秤の根幹を折れ、荒々しい目つき、内側に怒りと暴力。ひとつの時間は消え、昼を迎え、夜を迎え―――た、そして曲がりくねった枝の合間から、紙のような標的。見知らぬ花が飾る･･宙吊りの痕跡。暗闇を―――不吉を･･呪いを―――

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空の上揮‘‘‘‘‘‘‘発‘‘‘‘‘‘‘あゝあゝ衰退する宿場――で...は...I'm just stirred up by unpleasant emotionsヒューーーーーー（火星と木星の間にある特に微小な小惑星や、　　　　　　　　　　彗星が崩れていく様子。）人、の、耳、に、は、聞、こ、え、な、い、ド、ラ、マ、ツ、ル、ギ、イ、が、そ、こ、に、　ウ　ウ　ウ　ウ　ラ　イ　ク　・　ユ　ーきかい･･･じかけの･･･「パチッ」という音がした、（失　速す る失　速　す る！） 「バチバチッ」という音がした、　　　　　　　頭の中に届いた映像のイメージは、​​　　　次の映像がやって来るまでの間は保存され、​​　　　次の映像が重なることで動きを感じとれる。　　　―――​​残像​​･･･。​ガァッギヤァッとグチャッとブチャッとヌチャッとブツッツとブチイイイイッツと（だった、）（だってね、）進 ん で い く だ け だ ･･。***傘はいらない***傘はいらない

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Skinnyすべての記憶が、無造作に杭を打ち込んでゆく視線、Oh genius, Oh genius!「Möbius...血液は二十秒で心臓―――さ」STOP‼ゆらゆらと縞模様を描き出す、鏡の中の自分。 （窓のない壁、隙間のない隙間、）しずかに、破れている、皮膚･･が。さらけだされた、戦車の部品であるような、確率･･を。大勢の人影、くちなし色の駅、貧しい街の澄んだ夕暮れ、そうして浮かんだ世界の風景――。（様々な人間が通る主要幹線、路地裏･･）風が抜ける、光が透る、そして声を彩る。それはジャン ルやエリア、キーワ ード ――。心のない人間は――歩く幻･･････。浮揚シソウダ･･飛びそう――ダ･･･、不純物が――必要なんだよ･･非接触状態に――しながら･･。複合的反応こそが――絶対的な解決方法。平板な、表面的な、しかし無限の遠方に拡がる屈折のように、ヴァリエーションの彼方、、、いつでも何処かで、フラッシュバックして。る。ストラヴィンスキー色の音楽･･。時々間違えたステップで･･繰り返される、歩行。（Ah...）（uh...）早すぎる･･。なに、それ、おかしい。その緩急は何？　ああ――夜の帳･･。きんきゅうけいほうのはつれい――。か／ら■question「眉つばもののジョークなら、いつのまにか始まった」君の後ろ姿が･･とても好きだったんだ――。「そうとは知らずにいつのまにかガラパゴス諸島」苦い散薬が、口の中に残る。･･･階段を登りきったその場所は、シャッターが切り取った白と黒の場所でも。―――よかった。極彩色の地獄絵に魅せられたように、「 『永遠の現存』だ･･テスト..光の作用で“No love? No job? ”babababa...dabadabadaba...「真空の中の不動のドグマ･･･。蜘蛛の巣、夜の邪悪な魔物が積乱雲のように湧けば、」雨が降り出すのか、にわかに晴れ渡るのか予測のつかない空を、眺めている、心の中全部覗かれても平気な顔していられたら、―――いい。亡霊の唇に触れた。ユレテ――る･･ココ、ロ、トケテ、ク ･･スベテ･･･。（埋葬される前の空虚――）不老不死の夢を？movie starの夢を。　（であるのだが、）―― し／な／や／か／な／What’s the matter?「（ 響 きを変 えてゆくリズム）」自分の姓名から始まって宇宙にいたるまで―――の、夢想と孤独の城壁を築きながら、飛行機雲が視野を掠める。「息を吸って吐いて―――止めて、笑って、泣いて･･」･･･持てなくなった、、、『ガラスの向こうの乗客』はいつだって、動物園の檻を覗き込むような格好で僕達を見ている･･。―――四桁の数字錠･･それで地球上のすべてを解き明かせるみたい―――に。単純に。もっと単純に。もっともっと単純に。思考停止、理解不能、脳味噌はゼリー状、ルーレット、ブラックジャック、クラップス、味気ない心理のがらくたに剥がれたイメージの断片、苔の滓、蒼褪めた紙、不快な澱。ここは、濃厚な化学物質の匂い、倦怠･･アンニュイ、怪物。アンダーグラウンド――。酒、混沌として騒々しい受信基地。けれどそれは不可視境界線。＞＞＞遠景からのクローズアップ誰かが作った不可侵条約。＞＞＞歪んだ魚眼レンズ ―――（you...）愛を信じている心――。愛を感じ感じている心――。〈異国の遊歩道が見えてくる―――ここは誰もいない、　（ケッサクだろ？）･･･････あなたのもうひとつの世界（風呂上がりの夜空っていい意味でシークレット）...蚊に噛まれただけ。...蟹に。不完全な魔法と、知る由も無い正解をトワイライト・トーン･･――[サド＝マゾヒスティックな惑溺]that's a shame you know fly away スターウォーズの「カークーンの大穴」を連想する･･）[アメリカでは二十一階建てのビルの非常階段が、スプリンクラーの誤作動で凍結している]―――違いマスか？Alright さあ、行こう。「偶然に作り出す音楽が鳴りだした―――」―――『光』イカれた、パロメーター。labyrinth...一歩手前。トランス状態。（暗い部屋に音が響いた、 （「みずからが作り出した世界の夢 「機械」だった「金属」だった「無機」だった、そこには『cute』も『lovely』も『happy』もない。水晶体や網膜を突き抜けて、鳴っている、見えてくる。鞦韆、滑り台、ジャングルジム、蛇口、白い街の青む時間。か／ら■question「きっと僕は一つの遊星にもなれないことを知るんだ」　枯れ葉じゃ･･なくて、気分 ････。（Ah...）（uh...）早すぎる･･。「地球の一部だって空洞だって具合が悪いんだ」････涅槃の境地のfoam。は、で、――STOP‼【s.t.a.t.i.o.n】ゆらゆらと縞模様を描き出す、その隅々まで花開くような気がする、オーイエー、それでもうそんなに、レーゾンデートルを、はちきれんばかりにしてたんだ。本当の自分を隠して、いつもカムフラージュしていたんだ。シュガータイム。ヴァージニア。その器楽的幻覚に、運命のカード―――道･･。 ―――（you...）崩壊と喪失という現象をくぐりぬけ―――。＞＞＞遠景からのクローズアップ何か空洞のようなものが、ぽっかり口を開け――。＞＞＞歪んだ魚眼レンズ〈心の中には綺麗な花畑が見えて来る―――ここは誰もいない、　　（記号が浮遊してるって思う――･･）･･･････あなたのもうひとつの世界（認識を超える速度の攻撃―――･･）

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Kamome studio「your power」ミュージックの回転速度が■プリーズ、フリーズはぁ...ハァ...何だってんだ「一方の鏡のなかにもう一方の鏡がうつるというのは、無限ということですか。」枝 葉 末 節 領 域 ま で 、天国よりも地獄に近いこの場所で、鳴ってんだ、find a way in　電流　アツクナル･･･心臓を抜き取られたような虚脱感の中で、Do you know?雲の形　（Oh...woo...oh...woo...）セクシーに、mode...愛を嘆く僕の頭はおかしい。　cry...replay...retry...“MY”...“my”どこまで逃げても一緒さ、スピーカーのヴォリュームを上げてしまう。Open The Doorハァ、Xを求めcall me　満身創痍で七転八倒で砂だか錆びだかを噛む。find a way out　爆発トオクナル･･･防衛本能のもと麻痺した疑問のように閃きすぎる、ポージングを決めるグラビアI don't know魚の骨･･羅針盤に、興味はない――。「Ｙ」になれ劣等感。「Ｉ」になれ...風の動き　（Oh...woo...oh...woo...）リアルに、（に、）mode...

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神様がいらない世界ねじれ、ひきちぎり、うねり･･横滑り、旋回、ブラックホールみたいに吸い込まれてゆくんだ！成長と現状維持とかいう歪みが救いようのない精神を作るのさ、醒めた見方やペシミズムは極端に嫌われる。現実逃避、負の思想、ペシミスティック、メランコリイ、―――空っぽはすぐ、亀の甲羅のような脳味噌へ、羽毛のふりした羊毛の布団に入りたがる、耳ざとくなる。インターネットでは誹謗中傷や名誉棄損が起こる。いじめ、個人情報の流出やストーカー被害、詐欺や、SNSにおける炎上。どうしてこんなこと起こるんだろうかって考えたことがある、みんな色んな考え方や答え方があると思う、―――僕は、人がいる限り、多かれ少なかれ起こることで、これがリアルでも、フィールドが違うだけで、同じようなものだろうと思った。解決策はないのか？ないだろう、犯罪者は一掃できても、警察官の見回り、罰則の強化などはできても、悪戯をする子供はなくならない。そしてその子供を利用する大人はなくならない。絵本の想像力をくすぐられる話なら、したい。解決策はなくとも救済措置はある。マナーやルールを少しでも増やすことは出来る。可能だろう、でも根本的な解決なんて一つもありはしない。悲しい話だ。それは人同士が他人で、心とかいう不確かなものを持っていて、自分ではわからないことを相手がする可能性を、ゼロにできないから―――だ。地震の対策はできる。海で溺れないように浮き輪をつけて泳がせることはできる。けれど地震でビルが倒壊する可能性をゼロにはできない。溺れるのは防げても、毒のある海の生き物に刺される、そういう可能性をゼロにはできない。論点がズレてると言う人もいる。けれど、僕等はまだインターネットという名の、グリム童話を読んでいるようなもの―――だ。歴史は繰り返し、人間は成長しない。極端に速いテンポやめまぐるしいコード進行の、注意を喚起する手法なんかでかりそめの蜘蛛の糸･･、ニューピープル、トランスヴェスティズム、ユニセックス、まだまだ好奇心が浸りきらない狂気の沙汰の中で、無作為的抽出標本、綱引きが長引けば、ちょっと緊張を緩めただけで内部変化と矛盾が溜まって、負荷寸前の窒息寸前。「人手不足」というけど「働く人」はいる。安い労働力が欲しい、ブラックだから次々に辞めていく。「募金はいいこと」というけど「困っている人に届かない」のだ。中抜きの構造、表面上はどんなに心温まるように見えても、豚を育てているのと同じだ。養豚場は大変だよ。でも人間の皮を被った豚は誰が困ろうと平気なん―――だ。それでも、穴が開いていた棺のような暗闇･･へ、足を掛けたのさ。蒼白い月のクレーターを思わせるような、精神の欠落。悪意――あるいは、不安というもの･･。色んなことを書いてきたよ、毎日が準備さ、虎視眈々と革命の準備を進める。世界を引っ繰り返すために何が必要なのかちゃんとわかってる。でも毎日これでいいのかと考える。人間というのは面倒くさいものさ、必要なことを必要な分だけでは足りないのさ、専門の知識も、一般の知識も、応用や関連の知識も、人間自身の知識も必要なんだ、毎日こんなことでやっていけるのかって問い掛ける、何にもわからない人間の病というのは日毎侵蝕する。

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The Salt幅0.5ミリ。塩粒ほどの大きさでフルカラー撮影できるカメラが開発されるとか、塩と水を使用し人間の脳細胞のように動く、バイオコンピュータが開発されるという時代における―――塩。地球上の97パーセントの水は海洋に集中し、いわずもがな飲めない。飲める水が足りないというのも肯ける数字だが、この塩にも様々な表情というのがある。ダンテは人が蛇になると書き、カフカは昆虫になった。ゲーテは自分を一時的に殺し、ニーチェは狂気に溺れた。ぼんやりと白い銀河を大きないい望遠鏡で見ると、沢山の小さな星が見えるけど、略奪と栄光と冒険の話をでっちあげている内に、いっこうに見当がつかなくなった神話みたいなものだ。「多数決の原理」と「民主主義」みたいなもんさ、入り口は仏がいるので入っていくが出ようとしたら税金さ。生きろ、余計な誘惑に囚われるな。知っている人もいるだろうが、塩には賞味期限が定められていない。これは塩の経年劣化が極めて少ないためだ。開封後に食べられる期間は、保存状態が良好であれば、無期限なのだ。ちなみに、砂糖も同様に賞味期限はない。とはいえ、湿気を嫌うという性質を忘れてはいけない。固まり易く、臭いがつきやすい、ということだ。しかしそれが霊に有効な説明にもなっている。結論から言えば、塩程度で何とかなっているなら、世界中みんな浄化されているわけなのだが。お経とか、スピリチュアルスポットもその方程式に当てはめてよい。何かって？　スピリチュアル詐欺師列伝に気をつけよう、だ。一定数、上手くいく人がいる、一定数ドツボにはまる人がいる。誰かって？　あなたのことだ。心が綺麗になりたいとか言う人がいるなら、それでいい。思い込みの内に時間はすぎる。もう一人のあなたは、こちら側を見ている。もちろん、自分が見られているなんて都合のいいことを考えるな。自我は、もっと素直だ。ただ、心の中の変わりゆく景色を思う存分眺めている。開いた窓の前で立ち止まってはならない、退屈な夏の扉は開けっ放しにしておけ。そういえば何処かで聞いたけれどマクドナルドのポテトは美味しいが、医者が考える適当な本数は六本ぐらいなのだとか。らっきょうでも数個とか言っている人がいたな。野暮の極みだけれどね。誰が守ってるんだ、そもそもその本数で出てこないと野暮は言いっこなし、もったいない精神で、下腹がちょっと大きくなったっていいじゃないですか、ドスコイ。実はこのフライドポテトというのは人間にって一種の麻薬みたいなもので、人間にとって必要不可欠な栄養素であるカリウムと塩分のナトリウム。この２つの栄養素は適切な割合を保つことで、細胞や血圧を正常に機能させるが、ジャガイモには、カリウムが豊富に含まれていてこれを食べると、身体の中にカリウムがどんどん増加する、そうすると、正常なバランスに戻すために塩分が欲しくなる。塩の付いたフライドポテトを、とても食べたくなる状況が生じる。―――という無限ループが生まれるという理屈もわかるが、僕はハンバーガーの方が普通に好きだな。ちなみに、このポテト原価がすごく安いので、店員さんは、セット商品を薦めてくるのだが、何しろ、マクドナルドへ行く野郎の大半は、ポテト中毒と相場は決まっているので仕方ないところはある。そして原価自体が存在しないゼロ円とかいう、スマイル注文以前にスマイルだったコーラで咽喉を潤したくなる。やれやれ炭酸はまったくたまらんぜ。マクドナルド国が繫栄するのはこのようなわけなのだ。不自然な一生。世間には自分の半分の優しさも持ち合わせていないのに、のうのうといい暮らしをしてる人がごろごろいる。身を粉にして働いても、その反対側で遊んで呑気に暮らしてる。ルサンチマンとは何かといったら比較だ。現状と理想に困惑するありさま。とはいえ、ある領域、ある概念、ある傾向に対して、いちじるしい浅慮、脱落、歪曲、無知、逸脱があるわけだ。誰にでも、である。灯台下暗しどころじゃない、消失している、それは。何が正しくて何が間違っているかなんてあまり重要ではない。プライドなんかいらない、毎日きちんと努力することだ。誰かじゃなくて自分にとっての努力なら毎日続けられる。そこにはたとえば、「コーヒーにひとつまみの塩を入れると、苦みがやわらぎ、味がまろやかになる」という説だったり、「スイカにひとつまみの塩をかけると、甘くなり、美味しく食べられる」という説だったりがある。両方とも本当だが、後者はあまりに有名だけど、前者にも、科学的な理由がある。塩（塩化ナトリウム）には苦味を抑えて、中々感じにくいほかの風味を引き立てるパワーがあるのだそうだ。ただ、ちょっと勇気がいる気はする。四方に分岐した複雑怪奇な脈絡が―――ある。とりあえず服を着たままシャワーを浴びればいい。僕は何度もしている。パソコンを使う時は寝転がる。絶対に誰にも冒せない僕のルーティーンである。僕が徹底的に破壊したいのは常識、あるいはその甘えやゆとりやもつれ、だ。英語をしゃべらなくてもいい、けれど英語の歌を歌えるようになれないのはおかしい。人生って変化だ。変化に対する考え方を躊躇する人にまともな明日なんかない、値札のついたシールが昨日と同じようにつけられるだけだ。二本足で歩く生き物も、四つ足で歩く生き物も、腹部をこすらせる生き物も･･消化しにくい、こんなおぞましい、垂れた、腐った舌を持つのだろ―――う。さて、塩は古代ギリシア人が奴隷を買う際に使われたのが、「塩」だったと言われ、奴隷と同じ重さの塩と、奴隷を交換した。また、サラリーマンの「サラリー（salary）」という語は、「塩」を意味するラテン語「salarium」に由来があるといわれ、古代ローマ時代は、塩が大変貴重であったことから、兵士に塩を渡し、もしくは塩が給料の代わりに使われるということも、あったのかも知れない。有名なところでは、サハラ縦断交易だろう。西スーダンでは別名塩金交易とも呼ばれる。サハラの塩（主にタガザ産）とサヘル以南で取れる、金との交換が交易の柱であった。とはいえ塩というのは存外馬鹿に出来ないもので、たとえば塩分濃度に敏感なマテ貝の特性を利用した方法だけど、砂浜にある巣穴に塩を振りかけると、こりゃもうたまらんと、マテ貝たちは砂の上に現れる。ニョキニョキと大量に生えて来る感じだ。頭を出したマテ貝をつまんで砂から取り出せば捕獲完了なのだが、『Ecology and Evolution』（2024年3月12日付）に掲載された研究によると、蛙の進化をうながしたのは、人間が無害だと思って長年使用していた、道路にまかれる凍結防止剤の塩だという。これは化学の実験でみんな知っていることだろうけど、水に塩を入れておけば冷凍庫に入れても凍らない。もちろん凍結防止剤や、融雪剤に使われる塩には、塩化ナトリウムは－20度や、塩化マグネシウムは－30度、塩化カルシウムは－50度。路面の温度や気温、降水量、霜の状況とあわせて使い分ける。そんな道路にまかれる塩から身を守るため、ウッドフロックと呼ばれるその蛙は、わずか10世代のうちに塩に対する耐性を身につけたという。塩みたいな身近なものでも大きな変化を促すことがあるのだ。ちなみに草に塩をまぶすと、草の外側では塩分濃度が高くなり、水分濃度が低くなる。すると濃度の差によって水分子が移動しようとする圧力（浸透圧）が生じ、植物の内部にあった水分子は、外部に流れでてしまうのだ。その結果ほとんどの水分が浸透圧によって外に流出してしまうと、草は垂れ下がり、やがて枯れてしまう。実は蜂蜜が腐らないのも、死海では生物が生きられないのも、112メートルの高木が乾季で生きられるのも、淡水魚が水分補給する必要がないのもこの浸透圧が関係している。ところでバベルの塔がバビロンの国を意図していたように、塩の塔が神聖なものを意味していたことを忘れてはいけない。ちなみに触れた生物を石へ変化させる、アフリカの死の塩湖「ナトロン湖」の影響もあったのではないかと思う。そういうのって衒学みたいで野暮なのであまり言わないけどね。純粋な想像力なんてありはしない、想像力を固定化させる働きはこの世界中の何処にでも満ちている。さて塩は儀式における重要な役割を持ち、神聖な場所では周囲に撒かれた。空間を浄化し、ネガティヴなエネルギーを追い払うもの。部屋の四隅に盛り塩を置いておく、またはバスタブに塩を入れて入浴する、靴に塩を入れる、肩に撒くなどというのもある。塩はけして料理用のスパイスの一種ではない。塩は中世では大変高価で、その塩をこぼすことは経済的な損失を意味した。その塩をこぼすと悪運を引き寄せると信じられ、その悪運を払うには塩を右手で持ち、左肩から塩を投げなくてはいけないと言われた。これは左肩から悪霊が来ると信じられていたからだ。ある夜、僕は白い影となって、船を難破させた、セイレーンの現象に遭遇した･･。鋭敏なる神経のその背後で妖しいものが踊り狂っているわけじゃない、世界は昔から、そう･･生きている世界もあれば死んでいる世界もある、君が外国人だったり、年齢が別だったりする･･。鏡の中で、ハンマーで鉄を打っている、小人が見えて、本当に胸が震えた、白昼夢――。人生とことんまで、精神を追い詰めると、本当にわけのわからないものが見える･･。天気のいい、夜、散歩に出掛けたら、ふっと寒くなって、あたりを見回したら、蛇のように這いまわる人がいる。蟻のコロニーから這い出て来た巨大化したみたいな兵隊さ、国民の声さ、民意の声さ。でも絶対に耳を傾けるなよ。生きているのか死んでいるのかわからな―――い。そんなナイーヴな人達がいる――死神が吐く息に怯える繊細な魂が、ここは煉獄だと言う。塩の世界とでもいうのかね。僕は世界で一番夜の二時頃の世界が好きだと思うね、自分でも驚くけど、半月あたりが一番好きなんだ。満ちては欠けてゆくということはエレメンタルの感じを強くする。頭上の朧ろな月のように、ぼんやりとしてどこか捉えどころのない夜に、月は塩の塊さ。太陽にはそのような効果はない、あれが僕の魅惑の砦さ。自分の影でも探すみたいにね、焼き付けてしまおう、瞳に。永遠に、歩き続けて――るみたいさ･･。そういう蜃気楼が僅かに残っている、一歩下がって、一歩前の自分を手に入れるんだ。さまざまな行為者が自由な選択を可能にする市場の秩序、それは制限の罠さ、新しい言葉のパスワードさ。影像さ、空気や光やイメージがその僅かの中に残る。優雅さ、まだ何かをうまく認められないんだね、君は？長くは続かない･･無理だな、そう思う。城壁のように四方八方からの攻撃。生きてる理由に気付かない人の顔は暗い、そして、人生を繰り返してる意味がわかっていない人の言葉は浅墓だ。「もっと暗い気持ちを前向きにしてみようぜ」「そこから本当に見えて来る光でなけりゃ街燈の光とおんなじさ、誰かが点けて消してくれるもの、この街も世界も宇宙もそうさ」沈黙の裂け目に忍び寄る饒舌を･･。たちあらわれてはきえてゆく夜明け前のさみしい町――だ。もっと暗い気持ちを前向きにしてみようぜ―――そこからさ。

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ＨＵＪＩＹＡＭＡ御存知の通り、富士山は、静岡県と山梨県に跨る活火山。最後に噴火したのは1707年。標高は3776 mで日本一の高さを持ち、整った円錐形の形が特徴。2013年、ユネスコの世界文化遺産に登録された。2,300万年前～500万年前に海底火山が噴火して以降、4回の大噴火を繰り返して現在の形ができた。ところでグーグルの面接試験でこんなことを聞かれたらしい。「カナダには何頭の牛がいますか？」僕はもちろん答えた。「僕も含めていいんですか？」言わずと知れた日本のシンボルだ。―――最古の歌集『万葉集』をはじめ、『竹取物語』や『伊勢物語』などにも取り上げられたほか、江戸時代には浮世絵師の葛飾北斎や歌川広重によって、さまざまな姿が描かれた。それらの絵は海外にも伝わり、ゴッホやモネなどの西洋の芸術家に、大きな影響を与えた。近代では夏目漱石や太宰治の文学作品の題材にもなるなど、富士山は時代を超えて多くの芸術家を魅了し、インスピレーションを与えている。富士山に対する信仰、富士山に題材を得た芸術は、富士山の山体だけで生まれたものではなく、「世界遺産富士山」は山麓に分布する湖水や神社などを含め、25の構成資産から成り立っている。ところで100年以上の歴史を持つ、アメリカの大手建設会社、あの「クラーク建設グループ」の面接では、「今、この部屋にペンギンがソンブレロを被って入って来たとする、このペンギンは、何を言うと思いますか。また、何故ここにいるのでしょうか」とても簡単なことだ。「思うに、そのペンギンは、スーパーニートペンギンで、俺にアロハシャツを着せたいんだ、仕事なんて辞めようぜ、毎日朝の九時に眠ろうぜ、漫画読もうぜ、アニメ観ようぜ、ゲームしようぜって言いたい―――でも面接官どの、それはまったくもってけしからんことです、じゃ、俺も用事を思い出したんで、アロハしに行くとするか、ハワイが俺を待ってる、奴もそのことに気付いていた」スタンディングオベーション、合格以外は認めない。富士登山例年７月上旬頃～９月上旬頃が富士山の山開きシーズン。特に週末や8月中旬の富士山は登山客で非常に混雑する。上級者なら他の時期に登ることも可能だが、初心者は山小屋や救護所が開いているこの時期に登るのが無難だろう。救急車をタクシー扱いする人のせいで有料化する可能性があるみたい、と思っていたら茨城県で、軽症者の場合は7700円を徴収するという試み。今後この輪が広がっていく可能性はある。タバコのポイ捨てで喫煙者のマナーが疑われる。そのせいで全面喫煙、値上がりムードを作り出す。だから僕等はユーチューバーから全面搾り取ってやったらいいんです、テレビタレント税とかいって搾り取ってやったらいいんです。みんな怒るはずだよ、何でかっていったら底辺が多いからだよ。底辺が怒ると全体にまで広がる。馬鹿な話だ。でもそこまではまだ馬鹿な話だでいいけど、消防防災ヘリコプターによる山岳救助活動は、無償で行っている。市町村消防の救急・救助活動の延長であることから、現状はそうだ。けれどDQNの川流れのようなことが起こり続けると、もうそいつから金を取ってやれというムードになってくる。いつもはちゃんとしている登山の人も悪天候や、急激な体調不良で、あるいは事故でヘリコプターを必要とするかも知れない。誰が困るって、みんなのためのものが、一部の計画性のない人のためにおかしな話が、いくつも出てきたら全力で止めなくちゃいけない。さて、東京にもオフィスを構える、アメリカのボストンに本社のあるコンサルティング会社。「ベイン・アンド・カンパニー」の面接では、こんなことを聞かれるようです。「ニューヨークには、どれくらいの数の窓があるのか予測してみてください」あなたにはこの意味がわからないのでしょう。何を隠そう、僕にもまったく意味がわからない。「だけどね、面接官、ちょっと時間がかかりますよ。もしかしたら何十年どころか、何百年もかかるかも知れませんよ。心の窓、瞳の窓、社会の窓、あるいは世界の窓、世の中の窓、生きる窓、死ぬ窓について、計算しなくちゃいけませんからね」日本にはその昔から山を神聖なものとして崇拝する山岳信仰がある。日本一高くそびえる富士山に対する信仰は、その代表的なもの。富士信仰は富士山が噴火を繰り返していた頃、激しく噴き上げる火に人々は怒る神の姿を重ね、崇拝するようになったのが始まりといわれている。噴火が鎮まってからは、富士山頂は仏が神の形となって現れる場所と考えられ、富士山の持つ験力や霊力を得ようと山に足を踏み入れ、山頂を目指して修行をする者が出てきた。室町時代後半には修行する者だけでなく一般庶民も登るようになり、富士山の神仏のご加護を受けようと登る富士登拝は、次第に大衆化されていった。戦国時代になると、富士信仰は、「富士を拝み、富士山霊に帰依し心願を唱え、報恩感謝する」というわかりやすい教えにまとめられ、庶民の信仰として広まっていった。そして江戸時代には、「江戸八百八講」と言われるくらい、たくさんの江戸庶民が講を組んで富士山を目指した。「富士講」は富士山に登るだけでなく、山麓の霊地への巡礼や水行などの修行も行った。巡礼には山頂を一周する「御八葉めぐり」や、中腹を一周する「御中渡めぐり」麓に点在する湖を巡る「内八海巡り」がある。ちなみに現在、御中道めぐりは一部危険区域があるため、通行不可の所があり一周はできない。ところでヒンドゥー神のレギンスというのがある。ヒンドゥー教の神々のイラストがプリントされたレギンスが、Amazonで販売されたとき、ヒンドゥー教の理解を広めるための組織で会長を務める、ラジャン・ゼッド氏は、Amazonに対して強く抗議した。その主張内容は、ヒンドゥー教の神々は寺院で崇められるべき存在であって、足やお尻に密着させるなど論外であるというもの。ちなみにイエス・キリストではそんな話はない。富士山の信仰とはまあかくもこのようなものであるが、一体化というコバンザメ手法の視点は捨てがたい。スピリチュアル詐欺師列伝にならうまでもなし。ネットワークサービスを行うアメリカの会社、「バンドウィドス」ではこんなことを面接で聞かれる。「自分を調理器具に例えるとしたら、何ですか」簡単なことだ。包丁、まな板、電子レンジ、フライパン、ざる切り、鍋。スプーンやフォークやナイフもいいのだろうか。しかし簡単なことだ、説明するのが難しいだけだ。「面接官、あえて言えば僕の胸が、電子レンジとしましょう。そして腕がフライパンで、右目が鍋です。想像して下さい、あなたはそこからどんな答えを得られますか、すべてを悟って言いたいです―――。俺は調理器具そのものだ、と･･」さて、年間二〇万を超える人が登る富士山。道は整備されており特別な技術は要らない。けれども、頂上の平均気温は真夏でも5度前後。風や雨の影響を受けやすく落雷も多い。高山病の恐れもある。やはり3000ｍを超える山。きちんとした山登りの装備と心構えで登ろう。防寒着や雨具を準備。ヘッドランプやひも付きの帽子、登山靴、タオル、水、ごみ袋、現金なども用意し、携帯用の酸素缶や、毛布もあると安心だ。荷物は登山用リュックにまとめよう。富士山の主要な登山道は4つあり、山梨県側（河口湖側）からは吉田ルートで登ることができる。 吉田ルートは、富士スバルライン五合目（河口湖口）から登るのがポピュラー（目安：登り6時間50分、下り3時間20分）山小屋が多くて安心だ。山頂からだけではなく、七～八合目からもご来光を拝める。溶岩の岩場や砂礫の道をひたすら登る。山頂にも4軒の山小屋がある。吉田口一合目から登る吉田ルート（目安：登り9時間、下り4時間40分）は昔の雰囲気を色濃く残す。富士山の大自然を堪能できるルートとして、近年静かな人気を呼んでいる。麓の北口本宮富士浅間神社や中の茶屋など登山道沿いの名所散策もよい。さて、アメリカのフロリダ州に本社を置くマーケティング会社、「アコスタ」では面接の場でいきなり無茶振りをぶっかましてくる。「５分間、私を楽しませてください。尚、その間会話は一切行いません」大抵の人は、いきなりこれを言われたら頭真っ白になるかも知れない。でもね、大丈夫、世の中は真面目に考えた方が馬鹿なんだ。じゃあ失礼してってスマホで片耳イヤホンして、僕は歌を歌ってやるよ。相手が無茶苦茶やってきたら無茶苦茶で対抗する、目には目を、歯には歯をね。そして僕は五分後あなたに尋ねよう。「それでは富士山についてどう思いましたか？」

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玩具の話世の中には色んな玩具がある。「見る」「聞く」「触る」「話す」の基本的な四形式があるとして、そこからさらに「どんな年代を通じても」という要素が出て来る。「積み木」や「ビー玉」なんて限られた子供時代しか使わない。でも積み木を踏んづけて足の裏が痛くなったとか、ビー玉を誤飲しそうになったことはないだろう―――か。「ウォーター・バルズ」は水に浸すことで巨大化する玩具だ。彩り豊かで可愛らしいデザインで、安価で手に入れやすく、両親が子供達に買い与えた。けれどこのウォーター・バルズを呑み込むと目も当てられない。誤飲事故だね。何しろ、一週間水に漬けておくだけで四百倍もの大きさになる。小人が巨人になるなんてドラえもんのひみつ道具みたいだけどね、それが腸の閉塞、臓器の圧迫、最悪は死に繋がる。死んだ人はいないみたいだけど、このウォーター・バルズの恐ろしさは、ステルス性ともいえる。体内に入り込むとX線にも映らない。ボールは臓器に密着する形で留まるから、医師の手術なしに取り出すのは不可能。ビー玉飲んだって死にやしねえよって昔の自分に言ってやりたい。「人生ゲーム」とか、「黒ひげ危機一髪」をここで出すと、揶揄する気満々みたいだけど、ね。でもこういう暗喩表現を使うと、聞き手の脳には、ある変化が現れる、理解力が高まるのさ。「レゴ」も痛いぞ。踏んづけるとさ、一種の地雷。灯台下暗しさ。あと、「けん玉」も認知症予防に効果的なのだとか。それはそうだよ、刺したり刺されたり、だからね。あの玉で金玉を狙う。そういうことじゃねえよ。もちろん、ボボボーボ・ボーボボではよくある話だけどね。さて、「キャベッジ・パッチ・キッズ」というのがある、1978年よりアメリカで販売が開始された、子供向けのぬいぐるみだ。かつては日本でも製造・販売されていたけど、現在では個人輸入などで手に入れる必要がある。「スナックタイム・ドール」はキャベッジ・パッチの、希少種みたいなもので、その最大の特徴は、本体に付属するプラスチック製のフライドポテトを「食べる」という点。食虫植物をあえて持ち出すまでもないけど、理解力を上げたい。想像して、口の中にそれらのポテトを押し込むと、中に埋め込まれたモーターが回転してどんどん飲み込んでいく、という単純な仕掛けだ。大人が馬鹿じゃないんだ、子供が天才すぎるんだ。子供というのはこういう玩具を手にすると、どういうわけだか自分の指などを入れたがる。それだけでも危険だけど、この人形を買っていたのは、女の子が圧倒的に多かった。痴漢ないしは迷惑行為の話には色々な衝撃的な話があるけど、電車で髪の毛を食べられるってね。そうさ、髪の毛が人形の口に触れた瞬間、容赦なく髪が食べられていく事故が多発した。そして恐ろしいことにこの人形、電源スイッチが無い。つまり、いったん指や髪の毛が巻き込まれたら、物理的に本体を破壊するしか手はない。。実際、この人形によって後頭部の髪の毛がゴッソリ持って行かれた、悲惨な事例もある。これに似ているのが、「イージー・ベイク・オーブン」2006年にアメリカで大ヒットした、キッズ向けのプラスチック製小型オーブンだ。早い話、オーブンで、普通に色んな食材を焼ける。聞いている限りでは危険な感じはしないけれど、この商品は、子供の小さな指が簡単に扉に挟まってしまうという構造上の欠陥があった。おまけに、オーブンの中は最高でセ氏200度にまで達するので、イージーな感覚で使えるものではなかった。販売が開始されてから合計で250件近くも事故の報告があり、そのうち16件は深刻な火傷を伴うもので、ある５歳の女の子は手術で指の切断を余儀なくされた。後にこの商品のメーカーは、約100万台ものリコールをする羽目になっている。だがメーカーは改良を重ね、新しいモデルを発売しているらしい。ちょっと考えられない話だけど、ね。世の中には信じられない類のものが玩具として売られていたことがある。『CSI:科学捜査班』といえば、15年間も続いたアメリカのテレビドラマで、日本でも放送され知っている人もいるだろうが、その延長線上に、「CSI指紋鑑定キット」というのがある。科学捜査班の一員になった気分を味わえるのが、この指紋鑑定キット。ここが怪しいと思う場所に特殊な粉をかけるとアラ不思議、べっとり付いた指紋が浮かび上がる。問題は、粉で、七パーセントのアスベストが含まれており、空気中に飛散したものを吸い込むと、将来的に肺癌になるリスクもある。といってもアスベストを吸い込んでからすぐに症状が出ることはなく、無症状が続いて十数年後以降に影響が出始める静かな時限爆弾。 この玩具を販売していたメーカーは販売停止を決定した。しかし信じがたいことに販売元はもうすぐクリスマスだからといって、商品を売れるだけ売りさばいてから販売を停止しようとした。自業自得だが、訴訟を起こされ敗訴、多額の賠償金を支払った。当然と言えば当然だが、この玩具を製造していたメーカーは倒産している。そういえば「スカイレンジャー」という小型のラジコン機の話もある。ドローンとラジコンヘリを一緒くたにしている人もいるけど、ドローンがGPSなどで自律飛行出来るのに対し、ラジコンヘリは「プロポ」と呼ばれる送信機などで、操縦を行う必要があるため、狭義的には全く別のものだ。見た目に違いがあるというほど詳しくないが、この「スカイレンジャー」に関しては一発で見破る自信がある。何故かって、それは簡単さ、こいつは空中で突然爆発することがあるからね。自爆モード搭載。45件もの爆発を起こし、その内5件は炎上した。ちなみに、ドローンテロの話があまり不謹慎な話題でした。不謹慎な話題ついでに話すとだけど、「ギルバートのUｰ238原子力研究室」という玩具がある。世界で一番危険な玩具という不名誉な通り名もあるけれど、場合によってはすごく価値のあるものであったのかも知れない。放射線源から放出される粒子の飛跡を、「霧箱（きりばこ）」という装置を使って観察したり、放射線崩壊を肉眼で観察したり、さらには放射性物質を含む主な鉱物、および鉱石の探査に行くための政府発行マニュアルを読めたり、人気のアニメキャラクターが登場するガイドブックで、原子力の基礎について学んだりできる。当然、キットに用意された実験道具も充実していた。上述した霧箱はもちろん、「スピンサリスコープ」（少量のラジウムを蛍光板のそばに置き、レンズで拡大して放射性崩壊のきらめきを見えるようにした道具）バイアルびんに封入された4つの本物のウラン鉱石、「ガイガーカウンター」（放射線測定器）も別売りで用意された。危険性については風評被害の方が大きいかも知れず、（でも危なくないとはどうしても言い切れないが、）価格帯がそもそも高かったので鳴かず飛ばす。いまではマニアが百倍以上の値段をつけているし、博物館で飾られるほど価値のある玩具だ。「銃型iPhoneケース」みたいなものさ。米国AmazonでiPhoneケースとモデルガンを合体させた商品が、販売されたことがあった。ちょうど銃身の部分にiPhoneをはめ込むようにして使用する。これが日本でも地域によってはちょっとと思うだろうけど、銃犯罪や銃規制が常に議論の的となるアメリカでは物議を醸した。発想はいいんだ、問題はドキュンなんだよ、それ。暗い木の上から蛇の玩具を垂らしていたら悲鳴を上げる奴はいるだろう、それと同じことさ。この商品にiPhoneを装着してズボンのポケットに入れると、グリップ部だけが顔を出す形になって、まるで本物の銃を所持しているかのように見えてしまう。実際、銃を持った男がうろついているという通報を受けて、警察官が駆けつけてみると、この銃型iPhoneケースだったということが、2015年８月に起きた。また、アムステルダムのスキポール空港では、このケースを持っていた、20歳のカップルがセキュリティで引っ掛かり、飛行機の離陸が遅れる事態が発生している。まあそれは販売する時点で誰かが気付いてもよさそうなものだけどね、玩具というのは気付かないものなのかも知れない。中二病心をそそるアイテムでもある、「ベルトバックル・デリンジャートイガン」ベルトのバックル部にミニガンが埋め込まれている。問題はこれ引き金がない。だからベルトを装着した状態で、お腹を伸ばして前に突き出すような姿勢で発射する。こうやって聞けばあれだけど誤射が多発し、火傷や怪我をする子供がいて、さらにこの射程距離は驚きの五メートル。知らぬうちにお前は俺のテリトリーに入っていたのだ、俺はゴルゴだ、後ろに立つな、みたいなことになる。ちなみにゴルゴ13の作者の兄が映画館で後ろの人を殴ったことに由来する。もう一つ銃の話がある。「オースティン・マジック・ピストル」だ。トイレットペーパーの芯にグリップを付けただけのような、簡素な見た目とは裏腹に、その威力は笑えないレベル。銃身の中に日本では第3類危険物とされる炭化カルシウムが入っていて、そこに少量の水（自分の唾でも可）を加えて化学反応を起こすと、爆発音とともにピンポン玉が発射される。あくまで子供向けの玩具だが、火花を散らしながら凄まじい勢いで、ピン球を射出する有様はまさに銃そのもの。販売停止もやむなし、だ。ちなみに世界のおもちゃコレクターの間でオースティン・マジック・ピストルは高値で取引されている。 その際には玩具としてではなく銃器として扱われているみたいだ。

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石を投げる、というような些細な出来事で、一瞬どんな変化が起るかも知れない。口の器官の運動に伴う筋肉の感覚を通じて生ずる、交錯している枝をつたって、一本の木から、隣りの木へ。地図だのカレンダーだの怪しげな曼荼羅･･････。本は、パラパラ見てはいけない。稲穂の揺らぎ、ゆっくり一ページずつを手繰る。ゆっくり一ページずつを手繰る。誰もいない―――森から、次々と人が生まれ･･。石かと思った―――老人が背を曲げているね、夜の不思議･･。“匂いが消えてしまう―――から･･････”（ニコライ聖堂あたりの教会のオルガンで･･）「記憶という方法」や「方法としての記憶」の中の―――『見出された時』へ･･。ホモサピエンスの悲鳴！（･･･コルカタの袋小路･･へ、）引き出しに見知らぬ時計があっても、disinfectantって君は言う、それは別に世界を掻き混ぜたりしない、evaporationって君は言う、いたたまれなかったはずの、あの痛々しかったはずの、「私」も･･････。「私」も･･････。「私」も･･････。そんなこと繰り返すたびに、心はさらに深くなる、長くなる、生きている意味が笑い興ずる眼の前に見え、て、―――いつ終わってもいい夢になる、よ、人生が美しく行き違っているということを、病のような世界で―――陰鬱は、いやまし･･･、幻想の面積の気色で、押しやる力ではない―――あとさ、き･･、求心力に似た引きこむ力で、今すぐ君の胸の中に落ちる･･よ―――。

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Things to do at night口元に指を当てて声を出さず、口の形を「し」の発音時の形にし、静かな水が流れるように、時には愛らしくさえ聞こえる旋律で･･。バーベルを頭上に持ち上げて静止し、三人の審判の中、二人が「降ろせ」の合図を出すまで。（―――夢の急角度の転換･･･）“みツけタ”あるいは、セットポジションで完全に静止しているつもりで、ボークを取られるみたいに―――。（人間の尻尾は何故退化したんだろ―――う、太平洋と大西洋は何故混ざらないんだろう･･････）口から息を漏らしやんわりと、「静かにしてください」と。ただそれだけ―――。でも、ただそれだけ、の不愉快･･。一冊のスケッチ帳と鉛筆と。むぎわらぼうしとミネラルウォーターと。水に落としたインクの雫･･。―――掻き混ぜ方の足りないココア。肩胛骨と横隔膜の役割のそれ。『とおりぬ・ける【通り抜ける】･･』ほのかな虹がたゆたひそめて･･････。前後左右する振り子･･。頭の中に集まってくる蜘蛛の巣のようないろんな問題が、几帳面で切れ目のない文字の羅列をし始め―――る。緊張は、モザイク模様をつくりだし、外面的な評価を与える･･。頭の中がお花畑じゃいられない―――し･･････。もっと言えば、いつまでも子供じゃいられな―――い。アリストテレスは墜落しつつある物体の背後には、空気が押し込んできて物体の運動を早めると考えた。（―――夢の急角度の転換･･･）“みツけタ”ガリレオはこれに反して、空気はただ落体運動を妨げるだけだということを証明した。という―――「孤立語」「膠着語」「屈折語」糸を繰る座繰りの音――。（言葉は脳でどのように生み出され、どう理解されるんだろ―――う、何故イギリスとアメリカでは、英語のアクセントが違うんだろう･･････）直観のうちに原的に、あらわれてくる―――もの･･････。好きな人が、自分を好きでいてくれる世界って、どんな―――なんだろう･･･。生の余白なのか、死の余白なのか、わからない――。その、わからないを、探すことが人生を一つ楽しくさせ―――る。模倣は本能だ。けれど、模倣には感染という要素が付き纏う。それは共感力というのを武器に、競争よりも協力や連携を理解しながら、見えない歴史と文化の壁を潜ってゆくこと、だ･･。『とおりぬ・ける【通り抜ける】･･』人さし指をまっすぐ立てたポーズ、「しー」神経や思索のもっともアニミスムな態度が、あらわれでる子供のクレヨン画。内緒話をする時の合図。澄んだものを胸に訴え―――る。調和を保ち、見た眼に快い流動の姿形。ハルポクラテスのポーズ。―――欲しいのは掴まえてくれる手だと思っていた･･。でもいまは自分から掴まえるための力････。落ちてゆく傍観者的賛意、その運動の輪郭的意義、いわば愚鈍な逆説的回答。社会の最も重要な紐帯ゾーンでは、―――“他者の表情の中に生きている”その質量の大小は同じ力の働いた時の加速度に比例する、夢の中のような内臓感覚。複雑な小さな錠前がついていて、注意深く鍵がかけられた。そして小さな覗き穴を覗いてい―――た。閉じた世界から無限宇宙へと莟が花開くように、そこだけ陽が射しているような明るい知らせとは違う。夏の雨がにわかに降り出して―――やがて･･、ぴたりと止まるように、息が生まれる･･････。

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The feeling of breaking普段よりコンパクトに丸まった背中は、ディオニソス的な世界への躍動。支払われた代償と叶えられた願い事の実験記録･･だ。知らず知らず、甘酸っぱい香水の匂いが立ちこめていることに気付―――く。もう一つの出口があるか、と、尋ね―――る･･楽園で。（―――目標追跡物を確認する･･）（―――日光の寄木細工･･）下着が見えそうな姿勢、膝に顎を載せた気だるげな様子･･･、通路における、ジョセフ・ホフマンのような視覚―――だ･･。「陶器的表情のための、詩情ゆたかなチャイム･･････」片手でボタン外されたんじゃないかって気がしてる、ペダル踏んで乱れた呼吸の痕跡―――。カメラは壊れて――る･･のさ、グレープジュースの入った、クリスタルグラスのシッピーカップ。そこは誰もいない世界･･･。ふかい静かな懊悩、何処からか愛しさや優しさがこみあげたなら、（やわらかい――）（やわらかい、って言ったのさ･･･）V・I・P...（僕等は飛び込み台の上で否応なく、背中を押され―――た･･）PARADISE...（生きていく上で幸せや光を求めること―――は、生き急ぐこと、争い合うことにすり替わってゆく･･）CLUB UNDERWORLD... 「動き」は停止して―――『重量』は消滅する、秘密のMANHOLE（へ、）.....グレートバリアリーフにも似た心を、大切にしたい――･･。リラックスしているのか落ち込んでいるのか、走馬灯は息の根、フィルムはスライド･･。その表情が気になる、立てた膝を抱えて座る体育座り。風に吹かれて、さざ波を立てて･･んだ――。デェンキスウィンゴウ･･。なまぐさいフォークを配る満月の夜を、思い出す―――んだ。イースター島のエッグ――に、君はなったんだろ―――うか。「コントロール」や「命令」のあとで、また一日が過ぎる、また一日が終わる、永遠に終わることのないような繰り返しを、また少しセンチメンタルに、噛み締めなが―――ら。Bewitched...

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right?ピチャッと足音がする。倒壊した建物群の中で。「発電所、建物はおろか、人の影すらないな」「それなら何であのビルに電力が行き届いているんだろう」　＞＞＞オランダの風車がまわる。＞＞＞パルテノン神殿あるく。塔を見る。靴が地面を踏もうとした拍子に、―――花になる。モノクロフィルム、クロロホルム･･懐ｰかｰし･･く――て、「･･･こんな場所に立ってる」それは物静かな想いの中に／中に／中にゆらめいている影のふるえ／ふるえ／ふるえあめが、、、きつねのよめいりでも、、、たいようが、、、ねずみのものでも、、、―――《声ガ聴コエタ》甲虫や羽虫を巻き込んで凝固した琥珀色の時間、計画的避難区域、縹渺、馥郁、燦然･･。そして、高い塔の上へと、踏み出す。星が遠く流れていくような、僕の悲しい声も、焼け跡の屑や、灰みたいな、僕の声も･･。時間が過ぎて。空白が流れて。夜が―――。昼が―――。―――負数である『零』がある日ひとつの『一』であったらそれは観念や認識の膨張でなくてはならない。こんな夜、木の枝を編み、こんな夜が･･木と草を編み――。雨が湧き出したように･･大きく――すごくなる･･。すりぬけてしまう、･･･おさえきれないおもいは、どこへゆくの、（ブレーカーが落ちて真っ暗闇･･。　　　　　　（（（千の蝋燭が一気に消えるような、真っ暗闇･･。　　　･･･ねえ、かぜ――。　　　＞＞＞フォレストガーデンへ、　　　西原公園へ、若松台へ、厚いガラスを透かしてせつない眠りの数々がつぎこまれ、工事が途切れたままのコンクリートの橋脚。蝸牛のように丸くなって、引き絞られてゆく、姿態が、屍体･･。なんびゃくねん、、、ひつようでしたか、、、なんぜんねんも、、、ひつようでしたか、、、―――《声ガ聴コエタ》ｷｭﾙﾙ、と音がした。「･･･ここら一帯は数千年前を境に、人間が住めなくなるのは知っていたのです、回線に接続できなくなってからは、完全にわからな―――い」ｷﾞｭｳｳｳﾝ、と音がした。「だからこそ希望を持って見えない確率にすがった。もしかしたらいつか人間が戻ってくる日が来るんじゃないかって」―――指を動かす、もう既に死んでしまったアンドロイドの積雪のような、やわらかい泥土のような記憶層に触れる。　濁音。濁音。濁音。濁音。　自動車。自動車。自動車。ゆっくり　と･･少しずつ眼が醒めた･･。「古い自我の新しい理想―――」いや。「虚無の扉かもね･･･」そうだよ。「心の殻の入り口･･」―――手が濡れていない。でも、手は生きてる人間の温度は保ってる、それは『家庭用アンドロイド』の証拠だ。「人工知能なのに不確定な要素にすがるなんて、矛盾だと僕だって思う。でも人間が作ったんだもの、希望という概念を学習した」「（そうだね、類型的な巣窟で、どんぐりの背比べ。原始時代の文化研究みたいなことをしてる――）」しテ、るン、だヨ･･･。しテ、いタ、んダ･･･。―――最後の日、世界はとても明るかった。世界はとても明るかった。世界はとても明るかった。　おとぎばなしを、、、はじめる、、、おおむかし、、、たいようは、、、しろいろ、、、でした、、、そのあと、、、みどりいろ、、、でした、、、、、、そのあと、、、にじいろ、、、そのあと、、、もとのいろになりました、、、―――《声ガ聴コエタ》「最後の冠できた」「さて」そーっと、動きはじめる。カチッと電気を消す。「この部屋の電燈も駄目になったか」（というか、誰だよ、ねえ、エディ、おやすみのチューして、トッポ・ジージョ。僕等って、カウボーイの王、ロイ・ロジャーズ――みたいだ･･）スッ、と花をいくつもの骸骨の頭の一つの上にやる。「遅くなってごめんなさい、でも自分で選びました」（Darling...　これ　は、これは、夢――ダメだろうな･･すごいよだれ掛け･･）―――不意に声が聞こえた。眠れぬ夜の旅の拍節曲調。未完結の心臓は疾風怒濤。ひ....が......ひかりはじ...め......むし-が-な･･いてる。（も　う　羽　ば　た　く　心　は　な　い）それは物静かな想いの中に／中に／中にゆらめいている影のふるえ／ふるえ／ふるえ「酒を飲んで、馬鹿な顔をして、時間を忘れて、そしてきっと、何もかも悟ったような顔をして。サイコネキシス、空中浮遊に、テレポーテーション･･。恣意的でドライな妄想、でもたぶん、即答できる、チーズのかけら。蟻がさ･･、うじゃうじゃしてるんだよ――。蝉の死骸にさ･･」　　　　今日が終わる･･。何処へゆくのかじゃなくて･･･。これは終わりのない夢――。―――言う。人間が好きって言った時は、そ、の、歪んだ輪郭の、底辺、静態的で規則的な意識の主題、 シーンとした真っ暗な気分･･。そ、の、「ああ、人が飲食できる基準値まで洗浄された水だから、口をつけても問題ないよ･･」さて、と動き始める。「ほら」光の向こう側―――。向こう側･･････。盤上の駒の配置、いま、言語は何をうつす鏡？ああ、そいつは、都会に疲れている満身創痍のSOS。ツルッ、と滑り、次の瞬間、雨の世界が戻って、身を投げて、吸い込まれていくのを―――。―――【“時”として】改札は眼の先なのに、切符を持たない、僕は、おそるべき哄笑、錯乱、不安な、夢の多い、浅い緊張した、ねむり、太い縄でぐっと吊るされて反りかえって、　声が針となり様々な角度から悦楽の坩堝を刺し、たとえば唇は、メッセージを伝える、刹那に消え失せる幻夢にすぎない、ハートウォーミングなチャーム。無色、忘却の、真夜中･･･。「それじゃ駄目なのか？」「それでは駄目なんだよ」―――今がいい。外の世界へ吸い込まれていく。すぐ、シルエットになった。もう見えなくなった。あけがた...の......さわやか...な......ほうせき...りっぱｰな･･むすうｰのｰじゅんれつ･･。むすうｰのｰかげｰとｰひかりｰのｰぞう･･が、あかるｰい･･くもｰしずけｰさ･･･。―――握り締めて掴んでいた手の形が、ゆっくりと、蝶の羽根のようにほどけて。変化と視覚の奇想･･。注意欠陥多動性障害――。それを見つめていた。このまま―――。このまま―――。“何になろう？”“何かであったことなんて一度でもあったか？”おたまざくしが泳ぐ、ざくし、ざくし、ざくし。そ　ん　な　こ　と　誰　も　聞　い　ち　ゃ　い　な　いそ　し　て　そ　ん　な　こ　と　僕　に　は　興　味　も　な　い（･･･世界は穴だらけの鍋底みたいだった）“テキストを フ ォームから抽出する、複雑なレイアウト･･“ah...AH...ah...AH...（――閉じられた窓からはラジオが流れていた）“ピアノの蓋が･･ひらかれ――るアレンジを想定した反射面と吸音面”ah...AH...ah...AH...おたまざくしが泳ぐ、おたまざくしが泳ぐ、おたまざくしが泳ぐ、ざくし、ざくし、ざくし。

１０５

We go on trips because they want to find their true self足に力が入らなくても、進む。街の中を歩いていて、お腹が減っても歩いている人は、どれだけいるだろ―――う。二日は？三日は？そして――たとえば、無気力で無関心な僕等は、地球は太陽を中心に回っていることさえ忘れている･･。真実は、シンプルだ。おどろくほど怠惰な僕等は、世界の謎を解明したつもりになる。ただ、教えられたことを学んで、手が届かないことに眼を瞑る。何者かになれるかとか、何かをしなければならないとかも考えず。野草の知識を身に着け、サバイバル技術のように、原始的な火の付け方を覚えている人―――は。コンパクトロッドで釣りをする人―――は。旅を続けていると純粋に思うことがある、たとえば何処に行っても大体同じような造りになっていることだ。誰がどう考えても当たり前のことだ。道路があって標識がある。建物は四角い、屋根がある。田舎であろうが都会であろうが、である。UFOの着陸現場みたいな家に住んでいる人はいな―――い。見慣れていて、一切発見がないその景色の中に、空は何処まで晴れ渡っていて、染めつくような青が澄んでいる。これが地上の重力なんだ。この国における湿度なんだ。固定観念はなくならないし、既成概念はなくならない。人は簡単に変わらないし、特別な物なんて十年どころか百年ぐらいではまず存在しない、そんなの天文学的確率に過ぎないということがわかってくる。見ることを止めずに眼を瞑らずに飽きもせず見続ければ、単純なことを突き詰めて何年も考えていればわかる類のことだ。無知であり単純であり、暗黒の扉の鍵を手に―――する･･････。「（人は所詮、利益でつながっているにすぎず、場合によっては動物にすぎない）」財布の中のお金がなくなる経験は？衣食住はけして生活をする上で重要な要素ではない、自然に溶け込んだものだから―――だ。でも海に向けて開かれている地平のずっと向こうに、ゆっくり落ちてゆくように、街から街へ、町から町へ、歩き続けていたらどうだろ―――う。一か月できる？二か月できる？とぐろを巻いていたものでさえ、銀色のへらにならされて、一刹那の違いで、死へといざなわれる、そんな肉体の不思議な化成を知って、そんな祝福にも似た狂気に、満たされる･･。車の中でもまだいい、公園のベンチや、バス停、冬の寒い時に段ボールと新聞紙にくるまって眠ったこと―――は？大きな店じゃなくて小さな店で、最低賃金を下回る時給五百円で交渉して働いた、新聞の三行広告の求人、日雇い、いざという時に身に着けたデータ入力能力、治験モニターもやった、こんなことばかりしていたらヤクの売人とか、特殊詐欺でもするんじゃないかと思ったことが―――ある。あてどもなく生まれては消える･･･、―――季節の異様な吐き気。「（自由っていうのは神と等しいもので、まず存在しない。対立概念なしに存在しないということを前提として、それは結局、強い者が弱い者を虐げる要素が成立する時に生まれる、階級的感覚にすぎないと思う、あるいはそこにおける磁場だ）」「（よく考えればわかることも、人はよく考えない、時間が色んなことを教えてくれ―――る･･）」旅をしていていざという時のために、預金通帳にお金を残しておかなくてはいけない。どんな人でも病気をする可能性がある。だのにそういうのが運悪く起こって、その後にすぐ取り返せないようなことがあ―――る。行き倒れて、意識を失って、何故かベットの上で目覚め―――た。面映ゆく、面喰って、認めてしまう･･。顔の上に光の蜘蛛･･。生理的な発作――。風邪のようにしつこく付きまとっていたものは、抑圧の腫物の瘡蓋。それからの日々は不思議だった、いまではもう一般人と変わらない、何年も世捨て人、浮浪者してきたとは思えな―――い。過去の意見と背馳する。行為があって結果がある過去の経験を肯定するほど、虫のいい性質を帯びていることに気付く。うら枯れた、見所のない、荒野がしらじらと残っている、どちらが本当の自分なのか思い出せないほどに、遠くな―――る。「黙って」それが彼女の最初の一言目だった。思い返して何度も笑ってしま―――う。助けられたのだろうと思って、お礼を言おうとして、すぐ出ていきますと言おうとしたのを遮られた一言。「風呂に入りなさい」それが彼女の二言目だった。「食べなさい」それが彼女の三言目だった。胸の底に雪が降りつむ。時計の針が止まったような執行猶予―――だ。小さいけれど温かい雰囲気のある洋食屋の真ん前で、僕は行き倒れていたらしい。クールな女性で、本当に口数が少なく、最初は難儀した、死神の腹痛のような精度を持っている眉間の皺、何考えているかわからないところがあったけど、困っている僕に人間らしい潤いを与えくれた。お返しをするものもないから、店の手伝いをして後にしようと僕に、身の上を聞いて、住み込みで働かせてくれた。いや違うな。「あなた、ここで、働きなさい」だ。シンプル・イズ・ザ・ベストの勝利かも知れない。お世話になってばかりで何をしているのだろうと思った、回り道を繰り返してる気がした、旅をしばらく続けられるほどにお金が溜まったのに、居心地がよくて半年が過ぎた。その間にクリスマスが過ぎ、一年を跨いだ。きらきらした根強い発熱と―――。放心の皺、ぐらぐらとよろけた足元、頭を刺すウィスキーのように、天然の強いしびれがひろがってゆ―――く。帰るべき場所がある、というのは、生き続ける理由、というものに、なるらしい。見知らぬ人から見知った人になり、無口だけど、言葉少なだけど、いつも良くしてくれる優しい人になり、好きな人になる。ライクだって旅の中では山の端に隠れる夕陽みたいなもので、味気ない生活は性的な要素を完璧に抑え込んでいた。通り魔のように来たる。愚かしげで――意味もなく･･通過する――もの。それは背中に鳥の翼を生やすような―――もの･･･。それが愛しく思えるようなラブになる、光を鏡のごとく受け止めてより暖かく、より柔和に、より朧ろに。表情筋が壊れていると評するしかないクールな彼女の、笑顔を見るようになり、不機嫌な顔、焦り、考え込む表情などが何となくわかるようになる。口数は少ないけど、それは犬猫に対するものとどう違うのか、誰にでもなのか行きがかり上なのか何となくなのか、つくづく考えるとわからないことが沢山ある、本当のところ、経営者と従業員、姉と弟かも知れない。曇りの日を歩くのに似て、花びらを集めて燃やす春の催しにも似て、思想と名付けるには形のなさすぎる、瞑想的感情――。でも彼女に別れを告げて旅に戻るというシーンが思い浮かばない、もうそんなこと出来るのだろうか、と思う。昔の自分に、こんなにも楽しいと思えることがあっただろうか。こんなに笑うことが出来ただろうか。今日は彼女の誕生日、偶然知ったもの―――だ。彼女と常連さんが話しこんでいて、何気なく口走ったのを耳ざとく記憶した。運よく休日だったのでケーキ屋で一番大きなケーキを買った。「こんなに食べられない」絶対に言う。間違いなく言う。そう言って眼を瞑って、次の日の朝昼夜にケーキが出て来る。そんな光景まで想像し―――た。いつのまにか内部を汲み取っている、僕の中に彼女が住み着いているのだ。ふと思った。僕がいなくなったら彼女もやっぱり時々は、僕のことを思い出したりするのだろうか―――と。いや、彼女は確かにクールではあるけれどドライではない。「元気で暮らしているだろうか」と仙人のように言う。絶対言う。多分そんな感じで言う。僕はといえば、やっぱり毎日思い出すだろ―――う、そのことで喜んだり悲しんだりするだろ―――う、生きてゆく上でなくてはならないものは衣食住だけではない、心の栄養、誰かに優しくされた経験、身体の芯まで届く静かな温もりに満ちた時間、それがどんなに少なくても、前向きに生きる根拠になる。彼女にとってどうだろう、僕は彼女にとってなくてはならないものになっただろうか、それはどうだろうと思う、彼女は強い人だ。でも彼女が辛い時や苦しい時に、ふとした拍子でもいい、優しく励ましてあげられるものであったら、と･･････。誕生日のサプライズは、どうしてもしなければならないことになっ―――た。「―――花、高かったんじゃない」絶対言う。間違いなく、言う。場合によっては、「―――これ、高かったんじゃない」だ。滅茶苦茶それっぽい、表情が浮かぶ、瞬きして眼を瞑る。でも彼女は、気を利かせて、「綺麗ね」と言うかも知れない。うわー、滅茶苦茶それっぽい。しかも、無表情とセットだ。僕は花について詳しいけど、彼女は花にまったく興味がない。個性というものは環境が形成するもの、後天的な学習型のものだ。何気ない会話も、何気ない仕草―――も、いまでは愛しく思っているから―――だ。「―――贈り物、どうしてわたしに？」絶対言う。間違いなく、言う。そういう顔を見てきた、彼女は一人で生きて来た女性だ、お酒を飲もうと何故か突然言ってきたあの夜、一人語りが始まり、両親が幼い頃に亡くなり、親戚をたらい回しにされたこと、中学卒業後に洋食屋で働きながら調理師免許を取ったこと、（食品衛生責任者と、防火管理者は講習で取れるらしい、）借金もして返済するのは大変だったらしい、でもどうして飲食店をと聞いたら、両親が洋食屋を営んでいたからだと教えられ―――た。あの日は両親の命日だった。「だから料理が美味しいんですね、DNAが」「DNA違う、努力、根性、あと、努力」―――そこは、情熱と言って欲しいところだが、二回繰り返すあたりが、彼女の業務態度、仕事に対する完璧主義な姿勢とも合致していた。一年以上、一緒にいても滅多に笑ったりするのを見たことがないのに、店では営業スマイルなのか、あるいは自然と生まれる類の笑顔なのか、おそらくは後者だけど、そういうものが溢れている。滲み出ている。プロってそういうもの―――だ。でもお世話になっている身としては、あるいは密かに恋愛感情を持っている身としては、全力でそれを崩しにかかる。きっと彼女を驚かせたいんだろう、悪戯したいん―――だ。そしてその夜、僕は彼女のサプライズ誕生日会をした。とりあえず、何でかはよくわからないけど、彼女に猫耳カチューシャをつけさせた。（何故かはわからないが、駅前の変な店に売っていた、）僕は犬耳カチューシャをしていて、サッと渡した。受け取らないと始まらない―――言った。受け取った―――無言で考えたあと、眼を瞑り、すぐ装着した。といって料理は用意できなかった、半年の間に僕も料理を覚えた、それを披露したい気持ちもなくはない、だが、そんなことをしたらサプライズがバレてしまう。ケーキと誕生日プレゼントという何とも情けないサプライズだが、僕は楽しかった。もちろん女性に誕生日プレゼントを贈ったことなどないから、二つのことを考えた。１、毎日使ってもらえるもの、たとえば香水とかだ。２、一生傍に置いておけそうなもの、たとえばぬいぐるみだ。そのようなことを踏まえて僕が選んだものは、オルゴールだった。滅茶苦茶、気障な感じもしたが、彼女の境遇を考えると誕生日を祝ってくれた思い出を、甦らせてくれるようなアイテムにしようと思ったのだ。候補としては他にもあったが、化粧品などはアウト、まるで彼女に化粧くらいしろよと言っているみたいだ。違う、僕は素顔の、飾らない、彼女が好きなのだ。ただまあ、目の隈をなくすクリームみたいに、女性特有の生理とかで表情がいくらか青褪めている時がある、そんな時に目立たなくするメイクはしてもいいかとは思う。アクセサリー類はいくらなんでも重いという気がした。最後まで迷ったのは、入浴剤だ。まだまだ関係が浅い僕と彼女にとっては、入浴剤を贈るぐらいが丁度いいのではないかと思ったのだ。「誕生日を祝うなんて変なものね、ありがとう」―――ありがとう、なんて彼女から聞き出せるとは思わなかった、おいおいそれ素直な言い方じゃないぜと大多数の人思うだろう、しかしまず、素直な言い方なんて彼女に期待するのが間違っている。ありがとうございました、またのご来店お待ちしております、という、結構大きな声で、普段あんなにロー・テンションなのに、ギア上げて、スラスラ定型文を読み上げるさまなら、聞き覚えがある。人は習慣や努力や姿勢や心構えなんかで大抵のことは何でも変えられる、でもそれは人やお金がいて成立する類のことだ。だから嬉しかった、彼女はどこかぎこちなかったけど、それでも、彼女もどこか楽しそうでいてくれた―――から。これからも、彼女のこういう顔を見られるだろうか。ふと思った。僕はこれからも彼女と一緒にいたい。彼女と一緒に笑っていたい。その想いが強くなっているのに、自分でも気付き始めていた。僕はどうして旅を始めたのかを話すだろう、近い将来に。そして傷口の断崖にいた向こう側に、こんな素敵な景色が拡がっていたことを感謝するだろう、もしかしたら旅の目的とはそれであったのかも知れない、いや、それであって欲しいと思える。そして到底受け入れてもらえるとは思えない、でも打ち明けたい、大体一体何をどうしたいのか、けれど口を噤みたくない、人をこんな風に好きになったことがない僕は、彼女にこの恋愛感情を口にするのだろ―――う。長い長い迷い道をして、物静かな想いが、朝の澄み切った空の底に揺らめいている―――普通の愛だ････。「そしてそれは―――誰も傷つかないまま･･････、好きな未来を―――考える時間だ･･････」

１０４

英雄は一人の中に詰め込むものではない件Heroes are always so busy that they tend to lose sight of themselves.やばい今、危うく必殺技名を間違えるところだった。―――深紅のヒーロー、テラレッド。そのキックが炸裂し、異形の怪物が数メートル吹っ飛ばされる人であれば顔がある位置に、何故かバナナがついている化け物、魚が腹を見せるように弓なりに反りかえっている卑猥な生き物。誰だって、悪魔やメフィストの表情をする一瞬がある。うらなりの糸瓜のしゃくれたような奴でも。―――獣鬼ジンジャバナナだ。獣神鬼、それは、この世をすべて縁切り神社にせんとする、悪の帝国・ジンジャ・スピ・サギの先兵たる怪物。「お前は本当に自分のことしか考えないんだな！」「黙れ、正義の味方に何がわかる！」どんよりと曇った膀胱のように、左曲がりな奴だぜ。色々な意味でな。お前こそ、俺の何がわかる。その力は常人など及びもつかないほど強力無比だ。おまけにこの世ならざるものの気を纏っているため、通常の攻撃では、かすり傷一つすらつけられない。それは警察や自衛隊では対応できない、武器や装甲車では意味を持たない相手を意味する。でもミサイルとか、原子爆弾撃ってみたことはない、さすがにそこまでいけば攻撃を喰らうかも知れないけど、多分それを許可できるのは他国のみだろう。―――アメリカとか。アメリカとか。アメリカとか。だから、俺達、寺小屋戦隊テラレンジャーが、奴等、人の心を忘れた獣神鬼と戦わねばならないのだ。鼻の穴のような二つの穴から碇が投げ込まれたように感じる。俺は思い出していた。ある夏の夜だった、俺がテラレンジャーにスカウトされたのは･･。俺は絶賛ニートだったから、TVではニートの華として紹介された。人助け、高給、そしてモテモテとはいえないまでも女の子にちやほやされ、両親に喜ばれた。選ばれた人間、それが俺。そこまではよかったの、だ、調子に乗っていられた。仲間とミーティングし、見回りをし、機械のメンテナンスをし、毎日が青春を取り戻すみたいに充実していた、とはいえ、朝方まで漫画や映画やゲームをして、「そろそろ眠るか」という日々に対する、嫌気がさしたわけじゃない、汚れた部屋というパワーダウンスポットにいる二十三歳、親の金ちょろまかして鋏で髪の毛切ってらんないもんな、ゲーム一本で五十時間は遊べるとか計算してらんないもんな、日本人ともうまく話せないのに英語力とか気にしてらんないもんな、それに毎日ふらふらくさくさしてらんないもんな、ニートしてえええええ―――。かつて太古の昔に邪悪な気を封じた高野山の力を受け継ぐ五人の戦士。何で頭に寺乗せてるんですか、と言われるが、黙っとけ、これは仕様ではない。この寺のミニチュアみたいなものこそが、法具、聖なる力のみなもと、ジンジャ・スピ・サギあるいはカネノ・モウジャ・マツリ・ウルサイを、撃ち滅ぼすことができる。でもだからここで、仮面ドットプリンターの必殺技を繰り出すわけにはいかない。仮面ドットプリンター、それは俺のもう一つの顔だ。ある秋の夜だった、俺が休日ばかり現れるので平日はオフに等しい、テラレンジャーの仕事と称して、映画館でサボっていると、間抜けにも、拉致された。コナン君の麻酔銃のようなもので。そこはUFOのように光が並んでいる、集中治療室な具合で、違うことといえば、鉄の枷が手足につけられていることぐらい―――。悪の組織『マッドサイエンティストクラブ』地獄の底から響いてくる皺枯れ声の小さなカラオケ屋さながらに、趣味で人間に改造手術する。それも、クマムシのたんぱく質をヒト細胞に組み込む研究とか、精神疾患患者の脳に電極を埋め込み思考を操作する実験とか、パワードスーツとかいうものではない。手足に動物の腕をつけるとか、機械を入れまくって人間をいじりたおすことの方だ。ツツイヤスタカが腸で縄跳びする、そういうところだ。あまりにもひどい映画過ぎて泣く、これは何だろう、何だろうって言ったらフランダース犬症候群の『ミスト』―――。昆虫、動物、ありとあらゆる要素を詰め込んだ人体実験大好きな奴らなのだ。そしてこういう要素はつまるところ優生学に等しく、それはつまり世界征服へと向かう。野放しにはできない。しかし改造手術された肉体に、テラレンジャーの強化スーツを纏えば、ただのキックでも怪人を即死させることは容易い。だが、そんなことをすれば俺の正体が仮面ドットプリンターであることが、バレてしまう。ところで豆知識。四十八の必殺技を持つというが実は二、三しか使わないのだが、愛車バイク・オウ・ゴー、頭文字略してボグは七七七七キロで走る。そんなに速い？設定では、ね。そこまでは出ない。言ったもん勝ちの世界。一突きしただけで汁が流れるトマトのごとき、トイレットペーパーと女の子は関係ない。ここはちゃんと、テラレンジャー五人で協力した連携プレイの末に、必殺技「ソトバ・バズーカ」で仕留めなくてはならない。引き延ばされ、静かに勝利へ傾いてゆく時間。最終的に相手は何故か巨大化して、こちらも何故か、合体ロボ「グレート・テラ・スゲー」として戦う。そこまでが手に汗握るやりとりだ。アンパンマンガチ勢にとっても、サザエさんガチ勢にとっても、という意味である。だが、そうしたいのは山々なのだが、俺には宇宙から来た愛と光と平和の巨人の戦士―――、天空の壮大な趣き、蒼天の奧処からの使者･･･、ジャイアンツ・ヨミウリ・マンと、融合した俺には、超感覚が備わっている。デュヤー、デュヤー。おっと、つい口癖のように出てしまう。仲間たちはたまに俺のこの奇声に、幼児帰りした疑いをかけている。何が辛いと言って、テラレンジャーの仲間はみんな女の子で、一種のハーレムなのだが、みんな女の顔といわんばかりの優秀な逸材揃いなのだ。心のドアにノックして、入ってと言われても、入れないドアがある。何でニートが選ばれた、と叩くネットの声は見ないことにしているが、仮に見ても生身の相手に肯定されるほどには傷つかないんじゃないか、相手というか、ダメージのポイントというか、ね。「男って幼児帰りするものよ」と、テライエローことIQ200のプロフェッサー嬢にして、世紀の天才発明家にして、幼少期からNASAの開発に携わっていたという子に生易しく言われ、「父親もそうだったわ、恥ずべきことじゃない、女だってふるえおののく淵の上の複雑な綾」と、テラピンクことアートの新鋭嬢にして、F1に出ているだけに飽き足らず、オリンピックの100メートルで金を取った国の顔みたいな子に、毒蛇を叱声にも似た具合に言われ、生きていてすみませんと言いたくなる、「可愛ソヨ、チルドレン、ナンテ」と、テラグリーンこと中国雑技団出身嬢にして、ピアニストであるだけでいいんじゃないでしょーか、会社を数百経営している億万長者の子にカタコトで言われ、もう幽体離脱しかけ。「―――ま、いいんじゃない」と、テラブルーこと格闘技世界一決定戦で男をたった一撃で、ぶちのめした剛腕嬢にして、YouTubeで女性の教養について語る新進の批評家だけでいいだろ、よくない、漫画家でという子に言われた俺、俺･･････。ニートの立場というのは何だろう。努力したことあった？　人生で頑張ったことあった？何なのこの無駄にハイスペックすぎる仲間、頼りになりすぎて、俺もう帰っていいよねっていうチートバグすぎる連中。しかもその仲間を仕切るリーダー俺って、さすがに無理でしょ。というか、俺が嫌なんだよ。こんな仲間、嫌なんだよ。男性社会の誇りをかけてとたまに言われるけど、いやそれ無理でしょ、男性社会の比率、低すぎるっしょ、それ。彼女達、控えめにいっても、神よ。識者、その天才的な分析能力から、何か新しい時代への構想を抱いているに違いない。才能っていうのは何処までいっても存在し、想定能力、人より二歩も三歩もいくと相場は決まっている。考え方が違う、話し方が違う。生きているステージが違う。選ばれた人と誤解していた幻想なんかいまじゃもう木っ端微塵よ。中身ありすぎて不思議の国のアリス始まっちゃうんじゃないかと、思うわよってオカマしたくなるわよー、女装しよっか、いいよそれも。これはさすがに無理でしょ。でも将来テラレンジャーが解散する日が来ても、このハイスペックな連中の足を舐めれば、乞食として生きていける。ニートって何だろう、俺って何だろう。死ねってことですよね、死ねってことですよね。生きていてすいません。あの、皆さん、インスタグラムで評判の、美味しいケーキ屋の限定商品買ってきました、お茶か紅茶かコーヒーかおっしゃってくださいね。ごますりおの完成。カッコつける、なにそれ、それは俺の知らない食べ物。人生が、何百回あっても、こんなどうしようもない俺がいて、その間にただの一度も、まともなことが得られないんだとしたら、なんて、失敗作で、欠陥品で、駄目な本体なんだろう。なあ教えてくれよ、子供の時の夢、俺が本当になりたいと憧れていたこと･･。でも本当は、運命とかいうたまたまで、偶然の成り行きなんじゃないかい。何百回もあったら、ぜんぜん違う、人生を選んだんじゃないかい。人生には沢山の失敗やつまずきがあって、それで、何だかよくわからないまま、こんな場所にいるけど――。ある冬の日だった、その下り、もうそろそろきついですよ。ってネタじゃねえわあああああ！俺が体力増強もかねて、山上りをしていると、空から巨大な隕石のようなものが降って来た。デュヤアアアアアアアア！気が付くと上の下の区別がつかない虹色の空間で、銀河警備隊の一員、崩壊する宇宙から様々な惑星の平和を人知れず守る、ジャイアンツ・ヨミウリ・マンと対峙していた。俺は死んだのだ、改造手術を受けた肉体ショボいな。しかし、命を共有すること―――つまり融合することで再び生き返る。その代わり、俺は三つ目の顔を―――。前方及び側方への動きにおけるバランスは著しく損なわれている。馬のように逆向きの足じゃないから、眠っている時も立ってはいられない。　バランスを崩したときには直立姿勢への回帰に手間取る。銀河系もまた、一瞬、一瞬、その速度を速めながら、その宇宙の果てへ向かって驀進している。この、宇宙の果ては何処にあるだろ―――う。この、意識の果ては何処にあるだろ―――う。この、自分の果ては何処にあるだろ―――う。そして今まさに別の街に、怪獣が出現したことを察知してしまったのだ。脳天を目指してうちおとされる光のシンバル。透視術の進化系、千里眼によってそれが宇宙晦渋オタキングだとわかる。尻尾の具合が何か気に入らん。そちらに向かわねばならない。一途を追うものは二兎を得ず。眼の前のことに集中せよ、それだけを考えろ。わかっている。しかし、しかし、しかし―――俺には勇者塔群「バベルカイザー」というロボットを動かす使命もある。ペンダントが先程からずっとうるせえ、ずっと、うるせえぐらい熱く高鳴ってる。おそらく地下からの敵『エドガー・ライス・バローズ』が、地球空洞化にしようと侵略しに来ている。恐ろしいのは奴等が、地球が平面であると信じる愚か者同様に、地球は空洞化していると信じて、それが自分たちの使命なのだ、と本当に信じていること―――だ。ミイラが納められた施設に、俺はまだ残念ながら行ったことはないんだけど、堂々と死体を観察するというのも不思議な一瞬のように思える。奴等はさながらミイラだからだ。包帯人間が正しい、か。ニホンザルとコイをつなぎあわせた人魚。エイなどを加工した河童のミイラ。一九世紀のヨーロッパ各地ででは、エジプトから輸入されたミイラの解剖が、研究目的だけではなく見世物として行われていたという記録がある。しかしこの中でも一番話がわかりそうな連中なので和解もできそうだが、それは北朝鮮やロシア相手に平和をやり取りするぐらい不毛だ。中国ならお金で解決できる、あと、一緒に飯食いに行けば大体友達になれる。俺はエログロのカストリ雑誌を考え、猟奇的趣味の不気味なアートを思い出す。人間にはしばしばこういう悲喜劇が見られる。そして俺は郊外のレンタルビデオ屋を入りながら、AVコーナーに入ってゆく男の賢者タイムについて人知れず考える。どくん、と覚醒したみたいに、そんな、イメージの言葉に、揺れる――。もしかしたら俺達は何かの付属品なのかも知れな―――い。もしかしたら俺達は何かの装飾品なのかも知れな―――い。ある春の日、ゴミ捨て場に小さなプラモデルを見つけた。きょろきょろとあたりを見回して、部屋に飾ろうと持って帰った。それがいけなかった、それが―――勇者塔群「バベルカイザー」の、試験だった。後で頭の中に聞こえる変な声に教えられた。勇者の資質を見抜き、心清く正しきことに使って欲しいと与えられた。もうこれ以上いりませんって断る前に消え―――た。まるで餓えたライオンのように、どないせえっちゅうねんと関西弁で言いたかった。四つもありえない能力を持って一体俺はどうしたらいいのだろう。こ、これも何とかしなくてはいけない。そして街には一体どれだけの脅威が溢れているのだろう、テラレンジャーにも、仮面ドットプリンターにも、ジャイアンツ・ヨミウリ・マンにも、勇者塔群バベルカイザ―にもわからない、ふっと頭上を見上げれば妖怪がこちらを見ている、天使と悪魔が格闘している、この街には、あるいは―――この世界には、奇怪なもの、異常なもの、謎めいたものに探りをいれさせる何かがある。突出した機能、ベクトルの方向、限られたバイアス、俺達は、急速度で色んな状況を乗り越えようとしてる、今日も低いかもしれない本当は高い壁を、あるいは高いかもしれない本当は低い壁を。でも何故俺みたいなプロニートプレイヤーに、こんなわけのわからない役目や能力が、与えられたのだろう。数え切れないほどの出動回数、ダブルバッティングならぬトリプルバッティングもある、シャア・アズナブルが、サングラスをかけて、グラス片手に「坊やだからさ」と言う場面を思い出し、ふと自分が本当は何をすべきだったのかを一瞬は忘れて―――いる。神はいない、とニーチェが呟いている。なるほど、電光ニュースがめまぐるしくきらめき走る、金縛りから解けたみたいに認識する、周波数の合わない通信機みたいに、さもなければ、広い面積の僻地であったみたいに、世界はいつもわけのわからない驚きを求めているのだ。神はいた、SMプレイの真っ最中だったと言った場面を思い描く、いかにもニーチェが言わなさそうなことだ、だから童貞でシスコンなんだよ、お前は。例外が常に生まれ続ける世界では常識なんて腹の足しにもならない。

１０３

戦争太平洋戦争（大東亜戦争）末期、伊号第五八潜水艦（伊―58）はフィリピン海付近を航行していた潜望鏡を覗いていた航海長が電気を帯びたように叫んだ。「空母らしき艦船１、駆逐艦5」航海長に変わって艦長が潜望鏡を覗いた。忙しく足を動かして上流を泳いでいく家鴨のようだ。「間違いない敵艦だ―――潜行開始」先任将校が真っ赤な重々しい銅鑼のように続く。「潜行開始！」空母の位置を確認し、駆逐艦に発見されないよう、伊―５８は潜行を可及的速やかに開始した。艦長が言う。「回天出撃よーい！」先任将校が続く。「回天出撃用意」伊―５８は六基の回天を搭載していた。回天とは先端部分に1550キロの爆薬を装填した、一人乗りの特攻兵器である。回天搭乗員は支度を整えると回天に乗り込んだ。先任将校が言う。「回天出撃よーいよし！」艦長が言う。「回天出撃撃てーっつ！」回天は伊―58を次々と離れ敵艦へと特攻していった。本当は回天攻撃で命を犠牲にせず、魚雷で沈めたいのだが、と、艦長は心の中でそう思った。皆死にたいわけではない。といって、誰にその悲哀を打ち明けるわけにもいかない。上に立つ者は全体の気概を削いではいけないのだ。しかし一瞬にして齢をとったような暗い気持ちになる。回天をすべて出撃すると、伊―58は敵艦から離れ、数分後に潜望鏡深度まで浮上、艦長が二つの黒煙を確認した。先任将校が様子をうかがいながら言う。「どうやら回天で敵艦を沈めたようですね」艦長が肯く。「うむ」水測士が事務口調で告げる。「敵駆逐艦、こちらに向かってきます」艦長が眉間に皺を寄せ、機鋒を折られた気持ちを味わう。「―――気付かれたか」アメリカ海軍、フレッチャー級駆逐艦が高速で伊―58に向かってきた。艦長がすぐさま指示する。「急速潜行！」先任将校が続く。「急速潜行」物凄い不動から奈落の底まで。伊―58は急速潜行を開始した。しばらくしてフレッチャー級駆逐艦は、伊―58上に到達。爆雷を投下した。水測士が言う。「敵駆逐艦、爆雷発射５発」爆雷は伊―５８付近で爆発した。艦内は爆竹を受けた落ち葉のように大きく揺れた。水測士が言う。「爆雷発射20、21、22･･･」艦長が言う。現実の世界は跡形もなく消え失せて、闇は重い不思議な瓦斯のように、力強くすべてのものを押しひしゃげていた。それは同時に沛然たる豪雨となっていつ止むともしれぬ気色である。「もうすぐ、深度が80メートルを超える。しばらくの辛抱だ」先任将校が言う。「回天をすべて発射していて助かりました」回天搭載時の深度は80メートルを超えてはならないのである。航海長が言う。「深度77、78、79、80･･･」深度が100メートル付近まで来ると、爆雷は伊―58の上で爆発していた。航海長が声色に心配そうな色を混ぜる。「深度が100メートルを超えます」艦長が言う。「大丈夫だ、この艦を信じたまえ」しばらくすると駆逐艦からの爆雷は収まった。艦長が独り言ちる。それは惑乱した懺悔の心が宗教的な光明にすがるような調子だった。「どうやら、完全に位置を補足して爆雷を撃ったのではないようだな」敵駆逐艦は、おおよその深さに爆雷を投下していたのだった。そして駆逐艦は、移動していった。艦長が言う。「よし、面舵いっぱい」先任将校が続く。「面舵いっぱーい」伊―58は駆逐艦より十分に離れてから、海面に浮上した･････････。兵曹長である私は、ディーゼル運転への切り替えの為に号令をかけた。ところが頭がクラクラとして、その場に倒れてしまった。三途の川が見えたといったら嘘だが、鏡に映る病特有の弱々しい眼は、頽廃し、疲れ切っていた。潜水艦は、潜水航行するため、空気が悪い。私は数日前から調子が悪かったのだが、今まで気合で頑張っていた。戦争中は気力で体力を補うのが通常運転だ。極限状態で戦う兵士の話は見聞きしていたし、死が身近にある現状で弱音を吐くことなど許されないと感じているのは、何も私だけではないだろうという気がした。しかし、遂に限界がきてしまった。私は軍医長の手当てを受けて、横になっていた。昭和20年、西暦1945年６月伊―58は呉に帰港した。私は呉海軍病院に入院し、伊―58の乗組員から外された。学校の除籍処分のように恥ずかしく、悔しい気がした。私が乗船できなかった伊―58は7月に呉を出港した。その日は月明かりが綺麗な夜であった。その頃、伊―58はパラオ諸島北方を哨戒していると聞いた。呉はアメリカ軍の空襲が激しさを増していた。連日雨のように爆撃されて、ついに呉に出航できる船はほとんどなくなり瀕死の有様と聞く。沈められた船の乗組員はフィリピンなどへ歩兵として、送られたと噂を耳にした。だから私は伊―58が無事に帰港してくれることを願っていた。どうせなら歩兵ではなく伊―58で死にたいからだ。8月6日に広島市にアメリカ軍の新型爆弾が投下された。甚大な規模の被害があったようだ。糸の切れた凧のようにふらふらして迷子のように見える生活、何を呑気に寝ているんだと思った。8月15日病気が完治した私は、海軍基地へと戻っていた。その日は、国民は必ずラジオ放送を聞くようにと言われていた。私はいよいよ、本土決戦が始まるのだと思っていた。ラジオの玉音放送が流れ、陛下のお言葉を聞く。そして日本が負けたと、皆が落胆した。日本兵はすべて処刑されるのではないかと憶測が流れ、皆散り散りに列車に乗って基地を後にした。私も故郷へと帰っていった。ここは、あまり被害がなかったようで、安心した。妻は元気でいた。私が家に帰ると、とても喜んでくれた。私も妻に会えて、夢のように嬉しかった。とはいえ現在の立脚地から見て、いかにもそのままに看過し難き拘泥を感ぜずにはいられな―――い。それから数か月が何事もなく過ぎた。食べる物はろくになかった。しかし妻が言うには、前はもっと酷かったらしい。ある日家に一台のジープがやって来た。私はいよいよ、アメリカ軍に連行され、殺されるのだと思った。アメリカ兵は私に一枚の紙を渡した。そこには日本語で呉市に来るよう書かれていた。どうやら連行ではないようだと私はほっと胸を撫でおろしながらも、気鬱ではあった。アメリカ軍の命令を断れるはずもなく、呉へ向かった。呉の駅に着くと、幌付きのジープが停車していた。ジープの前にはカーキ色のギャリソンキャップを被った二人が立っていた。その内の一人、青い眼で金髪の、何処から見てもアメリカ人の青年が、流暢な日本語で私に話しかけてきた。「ご足労お掛けして、申し訳ありません」完璧な日本語だ。咄嗟にさらりと出て来るのは、通訳だと瞬時に想った。「私はアメリカ軍で通訳をしています。あまり日本語が上手ではないですが、よろしくお願いします」敗戦というのでネガティヴなものもあったが、普通に接してくれるようだ。「こちらこそよろしくお願いします」アメリカ軍通訳の青年が言う。「まずはご覧いただきたい物があるので、こちらへどうぞ」私はジープの後部座席に乗った。通訳の青年は助手席に、もう一人のアメリカ人は運転席に座った。ジープは焼け野原になった道を走っていった。方向から考えると、港に向かっているようだ。そして海が見えてきた。それからしばらく走ると―――。「（あれは･･････）」そこには伊号第五八潜水艦が停泊していた。無事に帰港していたのか、知らなかった。そこでアメリカ軍通訳の青年から潜水艦での出来事を掻い摘んで聞いた。搭乗員は皆死亡した。武器を隠し持っていると疑われて全員射殺されたことなどを、だ。武器はあったのですか？不自然に武器が放り投げられていた、と言いにくいことを言う。日本兵のカミカゼ特攻、フレッチャー級駆逐艦の艦長は、真珠湾攻撃で妻を亡くし、度重なる･･････。その後は、もう言葉が耳に入ってこなかった。聞くだにおぞましいことだが、正直に話してくれてよかったと思った・回天出撃後、食事が一人分減るような心の置き所のない感じを、その言葉を聞きながら肯いた。「あなたには、この潜水艦の引継ぎと、海没処分の為に、我々アメリカ海兵隊と共に乗船していただきたいのです」内々の処理ということなのだろう。数日後、伊号第五八潜水艦に搭乗した。アメリカ軍の的になって沈むだけの船の最後を見届けるように、ある程度のデータを取ってから最終的に標的になる海域に移動し、伊号の船員は横づけされたアメリカ艦船に移動して退その後、魚雷にて撃沈する手はずだった。私は許可を得て甲板に出て海を眺めていると、緑色の軍服を着た乗組員たちの亡霊が見えた。皆、敬礼していた。アメリカ軍通訳の青年は霊感があるのか見て見ぬふりをしながら言う。「あなたを呼んだのは、この為でもあったのです」なるほど、と肯いた。不思議と怖くはなかった。こういう話はたびたび聞いていたからである。まるでまだ戦争が終わっていないような不思議な気分になりながら、視界の隅にアメリカ海兵隊が入って来ると、やはり日本が負けたという、現実に押し戻される。その亡霊たちの影響からか、いつか生活が落ち着いたら、靖国神社へと参拝したいと思った。充血した魚の眼のようにぐにゃぐにゃに押し潰されていくのを感じた。気が付くと、涙が溢れていた。酔った春夜の夢よりもさらに一層凄艶な夢で、気が付くと乗組員たちの心の中に落ちる、薄い日陰のようなものが入り込むのを感じた。膿んだ傷口に誤って落とした硫酸の一滴のようなもの。美しいことなどなかった。戦争に勝者や敗者はいない、とようやく言葉を出せた。船員、家族、友人など双方が多くを失う。これからどうしようかと考えることは、生きる上で最重要事項だと考えられた。―――大喜悦の体で、シナリオを捏造するとしても、だ。何十年も流れると、人知れず、アメリカはやはり日本を植民地化したのかも知れない。ハーレーダビッドソンの売り出しと高速道路、軍事基地、日米安保条約、米官僚の鉄の掟･･･時が来れば、様々なことが変わってしま―――う。日本の軍事や外交に、依然として重要な支配力を持ち、経済面でもつねに大きな発言権を行使している。もちろん―――『日米安保条約』の見直しや、撤廃は必要だろう。しかしそれは同時に戦争の脅威が取り払われ、平和や、生活というものが新しいステージに入った時にだ。どうせ戦争をするわけでも、核兵器を持つわけでもない。そんなことは徘徊する無頼漢や不良の物言いである。たとえ軍の保有力が、他国への牽制になるとしても、だ。どんなことにも結局、表があれば裏があり、関係には様々な圧力がある。結果のいいほど虫のいい性質を帯びている話なんか何処にもない。肉体が醸す幻想をデコレーションしたところで動物や本能は健在だ。平等なく、支配がお子様ランチする世の中に一切何の見所もない。繰り返すだけ―――だ。平和は広漠とした砂漠の中で一本の小さな樹を見つけるようなものだ。長閑な春の久しく続く国の恍惚、とでも言うべきかも知れない。しかし花の林を逍遥して、落花の行方を追うような境涯の彼方、大多数の人間の心のわからない人にも、変化に富み、時には沈痛な深みのある言葉が届くこともあるだろう。駅で電車を待ちながら、見知らぬ外国人を見かける。近頃、ホームステイしたアメリカ人を誘ってバーベキューをする。生き長らえているという同胞への申し訳なさから恥ずかしく想い、如実に、穴があれば入りたいという気持ちも切実にありながら、あの日の船の甲板から折り重なった鈍色の雲が見えた。戦争は終わったのだ。

１０２

遠い街―――サイレン。　アカシックレコードが、タイプライターを打っている。ねえ･･明日や明後日でもなけりゃ―――ね、色んなことがどうでもよかった･･本当さ、人類が滅ぼうが、世界が壊れようが、そして君が、僕が、星の寿命の消えゆく火花。永遠を夢見ながら、うまく掴めないものを感じていようが･･。思い出すのは――オルゴールの音色･･。黄ばんだ･･弾力のない―――その胸の苦しさは増すばかりで、小さな電球さえない、この部屋は･･･。･･･君の手、君の足、君の唇、君の声――で、まだ満たされて―――いる･･。「“愛している”って言葉で、澄んで、電気を帯びたように街を揺らめかせている」「時間が止まり、空間まで、閉ざされたように錯覚させる、この雨は、あばずれなふりをしたいたずらな女の子･･」君って･･････。君ってやつはさ、わからない･･よ―――。でも君がわからないんじゃない･･･。わからないのは、僕の方―――さ･･。魂とは何か、生命とは何か、心とは何か―――と。小さな痙攣を残して闇の中に消え去る、巨大な空間の多様な刺激･･････。答えは容易く生まれる、健全な知性の持ち主なら、ね。でも答えが無数にあることを別にすれば、さ。誰かの回答者は、平均点以上の点数の取り方を教えてくれな―――い。そんなの嘘っぱちだって気付かないほど汚れた視界さ。誰かのための駆け込み寺、愛だってそうさ、心だってそうさ･･。闃かな忘却の中に･･。signalとnoiseがkissをしてる･･。蛹のようなポーズ、最後に蘚苔類、凹凸のビルディングと、　家屋、羅針盤になることさえできないこの夜の街―――。バイクの進行方向に人影が現れて、急停止する。横断歩道を渡る。高速道路の入り口の看板が遠くの方に見えている。人間の占いはわからないって言う、だけど、全体の占いならある程度予測がつく、（たとえば陸上のトラックの上でピストルが待つみたいに、）都市の変貌を経験しているリアルタイムな時間･･。（交通規制に反した者が処罰されなければ、交差点の信号など無意味･･）（車は違反するためにある、人だってわざわざ撥ねられに危ない場所を歩く･･）sweet days...それは、戦った、信じた、向かい合ったもの、自分の全身の重み。sweet days...窓を舞台として、声は弾力の誠実、釣り合いを探しながら勇気と臆病、が、神と悪魔の出来損ないのように生きさせ―――る。他人と生活する上で人生の目標だけではままならず、男女関係の微調整を必要とす―――る。どちらかだけでは駄目で、どちらともでも駄目―――だ。犠牲の上に成り立つようなものは健全ではない。「でも最初期の僕等は多分そうだった、努力や頑張り次第で何とかなると本当に思っていた、宗旨替えもするよ、模様替えもするさ、建て替え工事間近さ、人間の奥の深さ、底の底、まだまだ見透かせないものを覗き込んでいる、深淵･･」馬鹿なことを言うだけで、何千枚の写真を撮るよりも有効な一枚を探せる、『対立主題』（美しい朦朧が街のざわめきに共鳴する･･････）必要なのはもしかしたら、“本当のこと”じゃないかも―――知れない･･。“真実”の方じゃないかも―――知れない･･。いつか歩いていた道がいつのまにか、別の道になっていた、なんていうことはないと思って―――た･･。それはそうだよ、でも、長い時間をかけて、そういうことも有り得るんだって、さ、気付いてる、きっと胸を痛めてる･･････。日光はアダプターに似ている―――。いま、それがアテネ風の官能的なうねりへとすり替わる。･･････想いを、焦がし て。心の中じゃ十二歳の時の夏の腕時計だよ、まだ･･忘れたはずの―――音楽のうつくしいメロディー。風に吹き殴られながら、燐光のように凍っている絶望の声。いまは、何も話せない、いまは、何も話したくない ･･。けれど冬が走り始める、全体重から脂肪分の重さを取り除く―――取扱説明書･･。情熱―――よ･･君の歩幅でいい･･よ ･･･。もっと張り詰めてくれ、（食物連鎖、薪が割れる音･･）（煮えたぎるように湧いてくる感慨―――）いつかの優しい古い感情の前で、身動き一つとれない僕を笑ってくれ･･････。

１０１

　Little girl 　「センパイ、デートしましょう」　大学の広場を歩いていたらサークルの後輩の女子が声かけてきた。　恋人はいないし、　お出かけをデートと昇華できるほどの間柄かは別として―――。　　こういう『不意打ち』というのは悪くないものだ。　潜像を形成する膨張の抽象化。　それに、デートしたくない類の相手ではない。　物語と幻想と現実が織りなす情景―――だ。　穴あき窓調整器もないし、角棒開き窓調整器もない。　「幸せな結婚を引き寄せる秘訣」　「願いを実現する方法」　「潜在意識の書き換え」　とかいう胡散臭い文字を、ひとしきり、つらつらと思い浮かべてみる。　日常という名の劇場の中へと運んでゆく、その、甘やかな馥り･･。　数本の広葉樹が突き出し、　葉を敷物のようにひろげた映像が凍りついている。　さざえのごとく疲れきった頭脳は、醗酵してきたような具合で、　それ自体が――時間の水底に沈殿する･･。　「いいよ」　と言った瞬間から、禅問答が始まるとも知らずに･･。　　「違うんです、デートしたくないんです」　甘い、脳を麻痺させるような、響き。肩透かし、空振り･･。　けれど、うるうるとした瞳で必死だ。　林檎の虫食い跡を疑いたくなるような謎に満ちた二つの瞳。　しかし何だそれ、と思う。　「えーと･･････」　「だから、デートしたくないけど、デートしたいんです」　「からってるの？」　「断じて！」　―――誘え、ということなのかも知れない。　　普段よりおめかしをしている気がする。　ユニクロ国民や、古着屋国民は、一万円を超えた服を認めな―――い。　でも可愛いは女の子にときめきや、勇気や、　鬱になりそうな時に励ましてくれる鎧を授けてくれ―――る。　空っぽだって馬鹿にしたものじゃない。　それに僕だって好意に鈍感なわけじゃない。　部屋で何度も鏡見て、化粧をしたのかも知れな―――い。　でもそういう特別感を女性が大事にする傍らでは、　男性というのはすっぴんがいいとか、自然体が一番と思っている。　ティーショップでクリームののったスコーンを食べたり、　ふわふわのパンケーキは外せない、 　都会のファンキーなクラブで遊んだ―――り。　―――という女性のファッショナブルな、　リサーチセンターとは別に、　こういう時は水族館、そろそろ遊園地、とりあえず居酒屋、　歌好きって言ってたなカラオケ屋、　大学生なら一度は行くだろボウリング場―――という具合。　酸素濃度が低くて、火が燃えにくいみたいなんてことはない。　男にも色んなタイプがいるわけだけど･･･。　線路の向こうの土地開発を謳っていた巨大な看板の背後に、　それは祝福された構築物としてのプロットが、　中身であったことを、　スナップ写真は毒々しくぎらつきながら説明していた･･。　　僕は、長い間ずっと、ひとりでいたんだということに気付く――。　ここはNYでもないし、TOKIOでもないし、　巴里でも大韓民国でもない、夜は悪化、靴下は濡れてる･･し、　自転車は壊れてる――。　風を通した中身のない空気を、　アートと呼んで、　生活は澄んだ水のようでいたいと願うのは何故だろう、　心の回路を通わせたいと思うのは何故なんだろ―――う。　違っているようで違わない。　似ていないようで似ている。　自我を含んだ認識仏教では、　言葉の数だけの個我宇宙が存在する。　ばらばらの手足が影絵のようにおよぐ。　ルノワールの“ムーラン・ド・ラ・ギャレット”を思い出す･･。　舞踏る―――転轉る･･･。　　彼女とは毎日いつもどこかしらで会う。　すごい確率だ、狙わないと外れるけど狙っていても外れることはある。　頭の中の模様替え、論理的な印象のある選択肢も、実は無難。　シンプルな喜びにフォーカスあてて、　主要ポイントから、全体像で、進捗確認や催促や返答期限、　多重下請で中抜き･･････。　―――他人に相手されてるうちが、花だぜ。　図書館でバッタリ会ったり、図書館でバッタリ会ったり、　スーパーマーケットでバッタリ会ったり･･。　また一つ上手くいかないあやとりが解けても、　また一つ心の中にしみやささくれを見つけられ―――る。　明るい魂に･･魅了されている――。　顔を見るたびに、自分はこの子が嫌いじゃなくて好きなんだと思う。　口許を細長くきりっと結んだあの形。　優しさに戸惑う、森のうすぐらい湖のような形状･･････。　見て見ぬふりすれば、希望なんかない、だろう、ね。　（ソレガ？）―――《オトナ、ッテ、コト》　まった、く、ない、だろう、ね。　（ダカラ？）―――《ドソクデ、フミコメナイ》　迷い込む、よーな気がする･･。　ここは大人になって、何故か、下手に出て、　デートしたいんだけど、とか言うべきなのかも知れない。　けれど出てきた言葉は、　「面倒くさいな」だった。　全然正直じゃない。　けど、冗談で仕切り直すつもりだったのだが、言ったらシュンとして、　「なんだこいつ」とか小声で言ってきた。　暴言に、笑った。　　　「なんだこいつ、本気で言ってるのだろか。　イケメソだったらいつもはそれはありだけれど、」　「（ありなんだ･･･あと、イケメソって何？）」　　･･･もうこうなれば、　（こうなれば･･？）　「ジュースに睡眠薬のませて、女装させて写真撮ってしまおうか。　いいの仕入れたんですよ、奥さん。もうすごいんですよ、奥さん。　チルドレンレコード流して、　あと、ダブルピースもさせてやろうか、動画で、文字いれして、　ずぶずぶのでろでろにしてやろうか、　黒子のわたしこみこみプランで、青春のクロスファイヤー（？）」　それ、犯罪だよ。　あと、青春のクロスファイヤーってどういう意味？　ぼそぼそと独り言を言っている彼女を見ながら、　この子、絶対に変態だな、と思う。　でも変態って飽きなくて面白いよな、と思う。　―――生理なんだな、何処へ向かうか知れない、　何の話だ、　サカっちゃってんだな、おどりおどる、ループ&シェイク。　「･･････もうこうなったら、傷物になる―――ゴクリ･･、　先輩の自転車に当たり屋してやろうか（？）」　しないでえええええ（？）　傷物にされたってそういう意味なの？　　「じゃあ、デートする。」　　一瞬上目遣いをして、魚の死んだ眼しながら、どことなく暗い顔して、　（ちょっとからかいすぎたかな？）　「･･･する」と言う。　「何処か行きたいの？」　「―――と言っているように聞こえるけど、ふふ、　ついに幻聴がきこえてきたぜ、　力石、そろそろお前の背中が見えてきたようだぜ、俺は（？）」　「（ボクサーになっちゃった、ヤブキってるジョー。　あるいは、病み切ってるぜジョー、真っ白な灰が最大のご褒美）」　「センパイがそんなに優しいわけない、馬鹿な子、　そして怖い子、それは硝子の仮面、　とうとう、精神の破綻が、やってきてしまいがちな展開、精神負荷。　可哀想なわたし―――もうそろそろ、　禁断の詠唱呪文をとなえに、世界最後の魔法使いが、　黒いローブを着ながらやってくるだろーぜ、転生したら魔女と死闘、　あたしも、ステッキを振り回しながら、闘うぜ」　「（･･････ステッキはそういう武器ではない、って違うか）」　よしよし、と頭を撫でる。　彼女の眼が正気に戻る･･。　心臓の位置がもう違っているんじゃないかと思った。　特別な僕もいないけど―――街の匂い。　特別な君もいない、けど―――蒸発感覚･･。　モーメントは限りなくゼロに近付く。　それでも身体中を追い掛けてくる快感に値札はない。　『興奮』しているらしかった。　でも、どういう『昂奮の仕方』かさっぱりわからない。　髪がさわさわした。　―――胸が鳴った、　　「デートしようよ、誘いたいんだ」　「―――は、い」　　貝殻に蓄音機でも入っているみたいだった、　君が揺らした、　見えなくなりそうなもの･･。　風を受けて揺らいで匂う花、　音がしない落葉、はかない絨毯を織って、季節は終わる、　のが、嘘みたいに･･････。

１００

人生終了アナタハコウイウ人生ヲ送リマシタ。死ハ理解デキマスカ。後悔ハアリマスカ。記憶ヲ整理スル時間ハアリマスヨ。ソノ出来事ニヨル連鎖反応デ、「アナタガ望ンダ人生」ニナリマシタ。何千年ノ歴史、輪廻転生ノプログラム、学問ノ発達、科学、宗教、ソレラハアナタニトッテ、ドノヨウナモノデシタカ。美シイモノ、意味ノアルモノ、優シイトイウコト、物見遊山、マダ繰リ返スベキデショウ、ヨイ人生デシタネ、マタ最初カラヤリ直シマショウ。「ドウシテ･･････」ドウシテコンナコトヲスルノカ、デスネ、ソレハ神ノユニヴァース、スペース、コスモスノ仕組ミニアリマス。ソレハ考エテモワカラナイコトデスヨ。世界ハ終ワッタノデス。ソノ『人間ノ記憶』ハ消去サレマス。シカルベキ日マデ待機シテ下サイ。ペナルティ？　地獄？マダ、人間ノ記憶ガ抜ケテイマセンネ。

９９

洗脳曖昧な思春期が肌に合わなくて、世界に上手く溶け込めなかったことを思い出す。TVの話をしたことがない。人間嫌いの究極は非行少年だ。ヤクザも、特殊犯罪も、道だ。絡めとられてゆく、食虫植物の感覚。“ラフレシア”って言うんだろ―――う。明るい。近い。安い。楽しい。鮮明で、清澄かつ、克明な中身なきこと、内臓を垂れ流しても息できるか考えてい―――た。水のない水族館のように、​​空っぽのプールのように、​チャート図を断ち切りたい五秒前。現実の部屋と、幻想の部屋の区別がつかないままいくら理論づけても、捉えどころのない、迷信や、因習にとらえられた。排泄行為から見られる人間のステレオタイプもあれば、心の葛藤を理解し、心の闇を克服する細い道･･。常に何かに苛々しているのを悟られないようにすることから、作り笑いや、誉め言葉を言うようになった。行為を決定する統制意志･･。遺伝子の回路持った蟻で、性ホルモンのお化けなんだろ、･･･常に何かのノイズが鳴っている、ソプラノやアルトの音域からの微妙な変化――。基本知覚における『視覚』『聴覚』『味覚』『嗅覚』『触覚』が一つずつ、一つずつ、損なわれてゆく･･。　〝退屈〟だ。偏見で世間を見ている･･。相手との距離を踏み違えては悲鳴をあげる剥き出しの心。不安定な時期の適正な距離･･。等身大の像、無意識の異教･･。ゲームのリセットボタンを押した。​​​もう一度スタートした。鏡を見るたび、記憶は失われてゆくさ。深い眠りの後、自分が誰だったか、何処にいるのか思い出せない眼ざめの終わり。きっと中途半端であることを嫌うのは、何かに属するということの本質は、自分がそれを認められない抽象性への呑み込み、論理性ではカバーしきれない抽象性にあるのではないか。顔認識中の枠が消え、約一秒で高精度の顔照合が始まる。「昨日どんな顔をしていたかも思い出せないのか？」「愛の言葉も、愛した人間も、世界のことわりも、朝と夜が繰り返すことも、君には思い出せないのか？」『間違った場所』を『正しく機能』させるために、救命ボートの上から沈んでいく船を眺めているような、日々、リアルなまがいものだけが無限輪廻回廊の、​​ステージ・ドア。どうして僕等は海から陸へと、進化したのだろう、建築資材をどうやって運んできたのかわからないままの、ピラミッドの建設方法。蠅が卵を産み落とす、皮膚を食い破る予感が潜在する寄生の声。「壊疽みたいだ、僕等が本当にすべきこと―――は、何一つとしてない、あるのは電機製のメッセージだ。パスワードみたいに自然発生する英数字みたい―――だ」「時々、息を止めて、息が苦しくなるまで、じっとしていた･･」ゲームをしても、映画を観ても、誰と話していても、全然面白くないんだよ･･。どんな小説や漫画を見ても、何も、感じない――。結果も後悔も考えず目先だけの欲求を満たせればそれでいい、と考える。視野狭窄になったことのない人や、暗示、洗脳、マインドコントロール、自己を生成する回路を矯正したことのない人、蟻のように沢山いるさ。また君は違う言葉でそれを褒めたたえたんだろう、―――薄っぺらく。また君は違う言葉で世界と己と同じものだと勘違い、―――人の皮を被った不浄なるもの。

９８

人間のような表情をした犬みんな、劣等感をかかえてるのさ。みんな、宗教を信じたいのさ。みんな、日常や、世界を愛しているふりをしているのさ。でも、全部、ごっこ遊び。全部、ただのひとつも、重要なことなんかない。僕は、ある日、本当にそんなことを考えたんだよ。​question​してるところ･･･。―――しちまがりなくせ毛と、さらば。壜の中に手紙やら呪物やらアートやらがあって、それが内側と外側を隔てていて、『触れない』というそれが一番重要らしい。ポケットにナイフや銃入れているようなもん、お守りは使う為にあるんじゃな―――いのさ。システムシステム、悪口を言われるのも有名税だってね。仮面に人格偽装―――僕等はまるで、根なし草さ。キリストが処刑場へ向かうとき―――、信者はごちゃごちゃぬかすと思う、でも川口浩探検隊とか、藤岡弘探検隊のノリでもいいのさ。そこから神への道が開かれる、いざ死にゆかん、そして後世になって斜に構えた詩人に玩具にされる。あなたのせいで何千人死んだ。という真面目な言葉はついぞ言わないで。あなたのせいで何万人死んだ。という軽蔑しきった眼差しを送らないままで。神も救世主も特効薬も愛も世界平和も、人と話もせずアイフォンばかり見てる人間の、時間の無駄の中に呑み込まれてゆくんだろ―――う。何の話ですか愚か者、これは、夕暮れ、おそるべき魔物を心の中に抱えて足元の寒気を消すのさ･･。僕にも、ある。君にも、ある。心の底から嫌悪しているから、人の弱さには敏感なんだ。叩き潰さないけどね。それを、手のひらで転がしたりはしないけどね。僕も、狩ろうと思えば狩れる、だってこれだけ、人の弱い心がわかる。犯罪や、流行病が社会を変質させるのに比べたら、生温い言葉も、スローガンも、広告も、ロープしかない断崖絶壁の道のふり。君が一日を愛せるようにするために、毒を飲んで。僕が一日を愛せるようにするために、夜に染まった。ゴオリキの「どん底」に現われた不思議な老人ルカの話による、“正義の国を信じる男”がいて、結局彼はそれがないと知って、自殺してしまう･･････。自殺だって救済措置になっていないよ。視界をずり上げたら、イメージが剥がれ落ちたら、子供の嫌がり、我儘、息するように自然な行為かも知れない。人間辞めたら大変だよ。精神病院行ったことある？檻の中から手を伸ばして引きずり込もうとする。ケダモノさ。時折結核療養所の周囲を夜中に歩いていたことを思い出す。人生に救いなんかないさ。僕等は孤独で、絶望していて、地獄や煉獄の親戚であることすら、見て見ぬふりしているだけさ。心理学に精通しているわけじゃないけど、底辺の人間が出世するとパワハラするっていうのは本当だし、いじめられているような犬が力を持つと、大きな甘えん坊になるようなもの―――さ。そういう硝子の壜が割れて世界は内側から外側へ、あるいは外側から内側になるかも知れない。美少女ゲームとかいうものを女性が実況しているものを、随分前に見た。「いいッス」とか「ウフフ」とか、わりと楽しい反応であった。男の子が男の子である必要もまったく感じないし、女の子が女の子である必要もまったく感じない。蟻の巣なんだ。教室も、電車も、そして家庭の中でも、ネットの中でもね。ニートも、成功者も、人気者も、顫動者も、ね。『壜と蓋のサイズ』が合わない･･･。本当はどんな風に見るべきなのか、近頃はそのことばかりずっと考えている―――よ、眠る寸前まで。何の話ですか愚か者、これは、夕暮れ、おそるべき魔物を心の中に抱えて足元の寒気を消すのさ･･。僕にも、ある。君にも、ある。夢へとあてどもなくすれちがってゆく空は、いつのまに、銃弾を待ち焦がれていたのか、めくるめく奈落を。遠い未来を、そのようにして･･。大いなる心臓―――を、忘却の催眠的速度、眼前にいだかれた流れと静止の夢がパッと燃え上がる、無彩色の扉の向こう側にだけ見えた別の可能性が。

９７

out of focus世界の何処かで神の祝福を受けた聖書が燃えているかも知れない触れるだけで妊娠させてしまう、ダークマターとか。ラブレターをもらって桜の樹の下という、テンプレを信じるな、女が美少女でも、ジキルとハイド性質、ヤンデレかも知れない。場合によっては「宿敵」と書いて、『ライバル』と読ませることになる。美少女に恋したと背を向けた瞬間に、後ろから彫刻刀でズドン。おしまい。そこで。マイリトルブラザース、　ﾏｲﾏｲ...マイリトルシスターズ（に、）美味しい話には裏がある。綺麗な花ほど刺がある―――そして人間不信へ立候補。不自由な檻、ケセラセラ、今じゃ面倒臭いだけ･･。

９６

A story like art星が落ちてゆく、いくつもいくつも、落ちてゆく･･。この世界の、昨日までそうだったことが剥がれてゆく、たとえ、今日、何も起きない一日であったとしても――。三千世界の小手先、四半世紀の無理難題に再交渉。夏の終わりの風の匂いを知ってるかい･･。（子供だましのけれん、てんでに空に舞い上がる楽器、）ああ、もしも、それを魔法って呼ぶのなら――。―――かっ懈い呼吸。寝ている人も、起きている人も、きっと、その星を見つけてしまう、爆発と地磁気との相互作用によって放出される、低い周波数の強力で瞬間的な、電磁波。光、​微風​、いやair、この心象にぶちあたる、新しいideology―――を。偏頭痛的浮遊感を。もっとくれ、技巧的旋律･･････。[伸びをする][眼を瞑り口を開けながら欠伸をする][腕を押し上げるポーズをしながらバレエのような一瞬]一切響かない単純な言葉に意味はない。海が満ちる――。僕は･･･その時、『輪廻』というもののことを考えていた･･･。貪欲と嫌惡から生まれる浮氷のような諸行為のなれのはて――。夾竹桃へ、枸櫞樹へ、ぜんまいのゆるんだ機械玩具へ。その光に霑された僕の指は、覆面の男をとらえる。奇妙な迷路へ、牽きよせられた、ランプ･･。　･･･自動描記装置が、僕等をとらえてゆく、巨大な闇の裏側である壁から、時計が地面へと落下する･･。かえしていただけませんか、と、覆面の男は言う。そのランプを･･生命の暖かさ―――を。―――悪魔の指で五芒星を描く、それから魔導文字を描く、磁石と、阿片、潮汐に対する月の影響、数秘術、マンドラゴラ、蜥蜴の脂、髪の毛、血液･･。落ち窪んだ眼下の奥に覗く瞳は―――。燠火･･。欠陥、痛みは細切れになって、夜の風の一部みたいに、一情景を連想させる。冷酷な、空気の逃げる音がして･･････。また朝が来る、土や草に一歩近付く、森の奥に忘れ去られた建物がある、その壁を背を向けて、すべてが音を立てている一瞬を、隠喩のような剃刀の刃を舐め―――て。かたちあるもの（を、）あとにのこさない―――。

９５

恋何を歌っているの、昔の歌だよ。気違いじみた馬に乗って、眼で追う夢やあこがれ。誘わないで欲しいけど、誘ってください。女はいつも無茶な注文をする、それもいわゆる一つの、ニューヨーク・シティー・セレナーデ。いわんとしていることはいつも、タウンページ広告料ぐらい分かり易い。いまではユーチューブ広告料。―――恋に落ちればいいんだよ。ダイエットを続けている―――と、米俵ぐらいのご飯を喰えるんじゃないかと、本当にそう思えることがある。ハンバーガーに、ピザ、たこ焼き、焼肉、寿司、何でも手当たり次第に、食べたいものを言って来る女の子みたいだ。一人ではないけれど、一人です。「面倒くさいな」と言ったら、「なんだこいつ」と小声で暴言。藪からぁあぁぁああ、いきるよりも、ねむりたい。ん。だから何なの、ウ、「どーでもいい」ってこと。自己嫌悪はナイアガラフォールズで溺れる。ん。時々立ち止まって考えてみる。幸せってどういうことだろう、と。にんじんとたまねぎが不足している、カレーをカレーと呼べるのか、それが問題だという気がした。肥大した自我意識と世界の摩擦の問題。イケメソが言う。イケメソならすべて許される。福山ジャージャメン。愛と複眼と艶の失せたカモフラージュの問題。ジャソコで言う。ジャソコならシャングリラの範囲内。ジャソコジャージャーメン。そこに一切合切の愛をこめるだけで、ふぃんがー。この世界は、誰かの希望で出来ている、ああそう、僕が悪魔で、過ごした日々を、いつかすべて、忘れてしまうとして･･。忘れたこと、思い出す――。そして昨日は僕が考え、明日は君が考え･･･････。流麗な愛想の響きを伴いながら、サロメやヘロデ王宮へと続いていき、アルタイルとヴェガのあいだに、はくちょうを見極めるあのさ、トイレ行きたいけど、俺の代わりにトイレ行ってくれる？男もたまに無茶なことを言うものだが、いいよ、と肯く僕も慣れたもの。何を歌っているの、昔の歌だよ。大量のナトリウムやカルシウムが供給され、塩分濃度の上昇や二酸化炭素の固定化が進行する。ほうっておけないずるさやしたたかさ、高速視界で、死にそうなリアルをぶっ飛んでゆく･･。でも、夢から覚めたとき、ふっと思うんだ、あれは限界のスピードじゃない、もっと夢のような速度･･光の速度がある――。努力もしない孫悟空は、ありもしないミラクルな髪の毛ぷちぷち引き抜いて、分身の術さ。雲の上に乗ったり、水の上を走ったり、星一つ破壊するかめはめ波撃ったり、そして肝心な社会のルールが今一つよくわかんない、アメコミみたいだ、ヒーロー崇拝主義、ディズニーランドへ行きたい、え、いまの関係あった？何言ってんの、何言ってんの、何言ってんの、つい三回も繰り返してしまった、それもいわゆる一つのアドベンチャーだぜ、と言えたら世界は素敵さ。SNSで底辺層があぶりだされて馬鹿が際立ったか、それとも見えないストレスで幼児帰りが進んだか、人々はそれでもはっちゃけたい。それもいわゆる一つの、ニューヨーク・シティー・セレナーデ。いわんとしていることはいつも、Ｊｰポップのように分かり易い。歌詞見れば、洋楽だって大体一緒さ。―――恋に落ちれば、いいのさ。

９４

猫さん、毎日気忙しいと思いませんか？同意はいらないんです。猫さん、あなたは女子高生には逃げ、子供からも逃げ、猫好きそうな主婦からも逃げたのに、何故僕からは逃げないんですか。目当ては僕ですか？分かります、空気ですからね。波長が合うのもわかります。お互い色々あります。吠える犬が僕にはまったく吠えません。鳥に好かれ、頭に乗られ、奈良公園の鹿には頬ずりされました。フェロモン出てるんですか、僕。何か、またたびのような、痺れる、何かが。臭いって怖いですね。独り言です。―――言葉は嫌なものですね。

９３

Can't see it, can't hear it声の感触、揺れながら踊る、僕等の秘密、今はっきりと僕の前に甦る、墓の中から吐き出されるようなどす黒い憎悪で澱んで、息をするのさえ億劫だ。指の先から血が流れているように痺れていて、三半規管が既に狂っている。すなわち感覚に反映する現象のすべては、限定状況下において、サークル・イン・ザ・スクエアのような場所で、かろうじて生きている。否、生と死の区別がつかな―――い。･･････神を信じない神の存在しない僕等の世界の感情が、いつか苔むした静かな時間の中ゆるやかにくぐもってゆく、水銀光線を思わせる灼熱の青、暑熱を孕み色濃く藍色に干上がるま―――で。どんな終わりだったらよかった、どんな終わりだったら満足できた、ドストエフスキーの『罪と罰』太宰治の『人間失格』言葉が滑って、大脳皮質が、都市生活を麻痺させている気がする。･･･恥じらいも醜さもか弱さでさえも、美しさ、――怖いくらい･･さ･･･。「正解も間違いもない、だから彼は人を殺したんだと思う･･････」「でも、その罪は雪の野に舞い降りて餌を探す鴉だ、突き出された鉄骨の支柱が交差する中空に、傷だけがあぶりだされ―――る」･･･････声、幻、その、変化の中の夢、そうじゃないと知りながら、そうじゃないと呟きながら、そういう感覚の根の中にひそんでいる、解きほぐされたいという心理、いわば、その世界の確かなもの、花のようにひらくもの、光を受け止めようとするものを、知りたいという気持ち。でも、隠された場所は、あるいは、どうしても行き着きたいと希う場所は、往々にして、細くて、長くて、どうしようもないほど、うんざりとする道―――。停止線越える車、受難と殉難。息衝く頬を湿らす、沈着、情動、未体験―――。『あの時』が投げ出され、『あの時』が尽きるところで、いっせいにゆらゆらと揺れる、麦の重たげな穂のようなリズム。もっと果てしない完璧や完全のイメージ･･･。くっきりと浮かび上がるために、時の作用や時代の表情や誘惑のまどろみ。―――視力さえも、いらない。「･･･時間を、―――声にも出せない夜の色は、不安の色･･。夜にだけ安定する心の色は鉄格子に似た影、旧弊的で迷信的な宿命論者よ――悶絶し、辟易する君よ、“熱”は、“薫り”･･を――眼に見えるものにするためにある、顔色を変えて唖者になった、君―――が、―――何かを失ったと気付くまでに、人はとても長い時間がかかる、ろくでもない僕等の、ありていな、後悔が･･この夜の美しさ―――」道に迷って泣いている子供の声が聞こえる。花に迷っている蝶。うたたねをしている素粒子、まだ静かに息をひそめている暗黒物質。鼻、耳、眼、口などが、胴体や手足の上に、無秩序にちらばってついているのを不思議に思いながら、オルゴールは美しい、けれど、ついたての奥へいざなう･･････。誰にも分からないと思っているだろう、どんなことも雪が降り積もりすべてを覆ってしまう―――と、安易に考えているだろう、違う、本当のことはすべてわからなくなって、こんがらがり、ジレンマやコンプレックス、ルサンチマン、否、ありとあらゆるものが別のものへとすり替わった時に、達成されるのだ。階層が変わる、感情が遷移する、一人の人間の多面性の中で。血の溜まり場みたいな赤信号の浮遊感が盲と焦と灰であるように、いつかは人に知れるし、隠し通しても心が潰される、信じられないほど明るく壊れてゆく―――としても、うつろな群集の蠢めく波の中に陥ち込んで――揉まれ･･、幼児のように美しい産毛に光る汗を忘れている･･。イデアや、イマージュ、それすら、だ。それすらあったことさえなくなってしまった時に、始まる―――。川の流れの表面みたいに、･･糸のように細く引く、さみしさ、華やかな幻、自分一人だけ取り残されたような、切なさを感じた･･･。誰かが傍にいても孤独で、誰かが傍にいなくても、やっぱり孤独で、鏡に蝕まれてゆく自画像みたいだ、―――心の中にだけ、誰でも、本当のことを話すのだ････。誰かが言う――。「それは君が創りだしているんだよ」と･･。―――真夜中、眼が醒めると思いだす･･、繊細で美しい、真実の言葉･･を―――。

９２

涙を見抜かれたような――。苛立ち･･。焦り。溶けてしまいそうな･･。濡れた魚のように生々しく、瑞々しく逃げてゆく、「ひびき」や「吐息」が、“酢”のごとく感じられ――る･･。季節は、昨日に憑かれた･･。時の本質に関する、人間の概念の奥にひそむ誤り。「（痛みを知らない、不気味な墓石に横たわる、深いほほえみの記憶･･）」ああ、僕は歯で時間を噛んでいたんだっけ･･。棘っぽく、氷のように冷たく、ねばねばする毒物。憎悪。本当に、言いたいことなんか、一つもない――。足音が消えた――。胸の鼓動が苦しいほど高鳴らせた栄光が･･。黄昏の帆を失った･･･。赤と青が混ざり合う。「（君は鮮やかな体色の鯉･･･）」張り裂けそうな胸が、めいいっぱい膨らみきった瞬間に、時代は終わりの花びらを散らせる･･。僕は、もう戻らない･･。戻れない道のことを、また、考え始める。　　あぶくを吐きながら、夜の池の水面に映った自分の鏡像をかき撹す、あの魚は―――。“もう一人の自分だったか”

９１

裏町の泥――湿った部分と乾いた部分――窓の外を見つめて、朦朧としてくる。ガランとした気持ち、ポッカリとした気持ち、バスローブに身を包みながら―――。（夢の夢）（夢の又ゆめ）何も明日が、想像できない時、明日、世界が終わるような気がする。食道、胃、腸とつづく一本の管の入口から。し・ぐ・な・る・ら・ん・ど・で、感じたふり――。（坩堝という文字から昆虫がたくさん出て来る）心の悩みが痙攣りはじめる、溜息で曇るガラスの向こう側。『誰も帰りを待っていない部屋』『自分がいなくなってしまう瞬間』溜息をさらってゆく･･･。うつくしいふる―――えを･･･。そうすると何の変哲もない街燈が、光の迷子のような気がして、―――光源から遠ざかっておきながら、不意に近付いて見上げる、螺旋運動、俯瞰視線、装飾的で、太く激しく勢いを増してくる、文明の孤独に胸をえぐられ―――て。電通のようなガリバー代理店が出現し、メディアの財布を握ってしまう。ターニングした、僕は･･ぼくは――ポイントした、し･･た････した････僕はリターンした、僕は･･ぼくは――カムバックした･･。　した･･した･･････。「本当は擦れ違った人にも、何気ない場面にも、全然別の見方があったんじゃないか･･････」そんな気がしてくる。対人恐怖症。コミュニケーション障害。離人症性障害。回避性パーソナリティ障害。「･･････身体の中に“核”がある、けれどもそれが“硬い水晶”のように、思えてく―――る」「何を想っていたんだ、何を言っていたんだ、みんな次の瞬間には、他人になる･･」スプートニク2号で初めて宇宙を飛んだ犬、ライカ犬死す。ニスのような匂いを放つ気がする。電車の音や車の音。下水路を歩く鼠。人の話し声。凍り付いた絶壁。交差点、雑踏。名称があるのに。そこにおける振舞い方があるのに。空洞の冷たさ。アイスクリームの塊。前髪を揺する風。聖者の寝息。時々、生きてることがわからなくなる。―――慣れてるはずなのに。「血の気の少ないように見える楢の落葉樹を見ながら、ドラムスとパーカッションのリズム･･･」　テープが終わる気がする、カシャッ、という音が聴こえ―――る。夢の中で表情のわからない人がいた。夢の中で言葉が聞き取れなかった。そんなことを思い出す余白だらけの現実の夢の中、看板や標識が意味をなくしてしま―――う。Googleマップを拡大させれば、心の地平の記憶のへりから落ちてゆく文明。散らかった部屋にあるのは、懈怠のみ。動的な気質を解放した瞳孔が開いて、圧縮された青が空間に吸い込まれ―――る、トーマス・ハート・ベントンの、『地下鉄のある都市の活動』硬い陶器の割れ目を生み出す、説明のつかない効果が作用して、蛇に睨まれた蛙のようになる。闇と闇の中に身を置くような、膝と膝の間に顎を置く。小枝が折れ、･･雷が走る――･･空･･･へ――。『拒絶』がさらなる『拒絶』を生み、『送信』がさらなる『送信』という拡大を生む。お／り／て／ゆ／く／“最終ファンクションテスト”

９０

pierced earringsクレオパトラが、アントワネットが、楊貴妃が、あるいは映画女優が、ピアスしていた―――ら。他人行儀な船団。「イヤーロブ」（耳朶）「トラガス」（軟骨）「ヘリックス」（軟骨）しずかに引き込むものを持っていると、信じる･･。（shutterーonｰ音）水中より一尾の魚が跳ねて、波だった水面に潜ってゆくように･･･、高揚した、16小節16ビート、レスポンス、レスポンス。クレーンと万力。飛躍と圧縮。生理的な汚れから高い所へ抜け出るような科学や文明の、―――問うだけの虚しさ。アレルギー体質の人、アトピー性皮膚炎の人、ケロイド体質の人、血が止まりにくい体質の人、 金属アレルギーの人は思う。「気狂いだ...ハーモニックフルコース（な、）クラッシュフィーバーレポート、ロックだ、パンクだ･･―――（以下割愛）」神経質な――虫･･も･･･デリケートな足を持っている･･もの･･。そこへ突如現れる、蹂躙、冒涜、征服。傲慢さとの奇妙な交流を、隠蔽からの露出の推移としたところ―――で･･。“痛み”はfashionの中に･･･。隠喩は寓話へと行き、イメージ価値の混乱が、広告的自主規制を招き、記号消費は止まらない。それで、も―――。世界は大きな声を求めてる自由への憬がれ、だった、から、スリープ・クロロホルム・偽薬効果。裏返しにする、感触―――は、鏡の向こうへ行くような気持ち。水溜まりを見ながら空へ落ちていけたらと思う人が、ピアスをする。

８９

amusement parkThe standard for world peace lies in amusement parks.陽気なサーカスのような耳の鼓膜。

８８

森の動物たちがひとかたまり。それは戦隊ヒーローしたという認識で、正しいですか？「うおー、もふもふ、させりょー。もふもふのたぎり」混線していまシュ。わからないけど、多分、それで、涅槃。多分それで、エデン。韻踏みたがる病。だったのさー。あったかいし。それで、いい。「ふれたらかたちがもどるやわらかさ、を、きわめようとする、もふもふ道」にゅっくにゅっく。それは。ぬくぬく、した。ぽかぽか、した、ですか。「がおー」たこ足配線のたたり。わからないけど、多分、それで。そういうことじゃニャいかと思う。もふもふした尻尾が。冬を控えたおごりなき羊したがる毛並みが。あるいは女よりもはるかに優れたケモ耳が。くんかくんか。すーはーすーはー。「それが一つのバブリシャス」興奮する、病気。支離滅裂になる、傾向から、難病指定されている、幼児逆行系の暗示。わからないけど、多分、そろそろ、布団が恋しい季節だかりゃ。大人になるとわからなくなっちゃうんだよなー。ゲームしないんだよなー、漫画読まないんだよなー。普通に嘘だけど―。女にも興味ないんだよなー、仕事一筋なんだよなー。普通に、普通に嘘だけど―。トトロのお腹で眠って、大きな動物の身体にくるまれて、眠っている妄想をしたいかりゃ。「人生の疲れを感じると、それは大体、もふもふの出番です」冬の陽だまり、冬の木漏れ日、それは春、それは冬の中の春。なんだかよくわからないけど、小春日和いいたくなる病気。さだまさお。春恋しやもふもふ。夏のもふもふは死ぬ。でもエアコンの部屋では、いける。猫には引っ掛かれる。犬は「まーそうですかー」みたいな顔をしてる。アルパカは無敵。たぬき動画ずっと観てた。

８７

美しいとか可愛いとか説明しないと了解できない朴念仁がいる。グリム童話でチェシャ猫探すことになる。シンデレラなのに森で眠っている「死んでれら」こと白雪姫の具合。キスじゃなくて硝子の靴。潜航艇のペリスコープは比良目の眼玉の真似であるみたいに世界の解像度は情報によって拡大する。ジグソーパズルなのだ、このミッション。高くそびえたビルの夜の窓がヨットの帆であったらよかったのに。そこから白い妖しい夢のように鯨が出現すれば囚われた夢の間のようなおそろしい抑鬱に満ち充ちた輝かしい月の出現など許さない。「vision」それは衝動の罠。ロマン主義者もアウトサイダーも孤立という言葉に溺れることもない･･････星が流れた。