「戦略の形成」下巻
第1次世界大戦以降の国家戦略が分析されている。
原本は1994年の発行。
以下の文章は、この本の正式な引用ではありません。
だいたいの意味を要約して書いてます。原本翻訳本にあたって下さい。
下巻472ページ
1930年代の大日本帝国は、ドイツ帝国の東アジア版といえるが、大惨事を回避する政策決定機関を組織するのに失敗した。
日本の軍事官僚は、ソ連、中国、アメリカ・イギリス・オランダ連合に向き合う3つの戦域を関連ずけた国家戦略を決定する事ができなかった。
●アメリカ・イギリス・オランダ連合って16世紀以降の覇権国家ですものね。
下巻471ページ
オランダ共和国は、多くの戦争を通じて勃興した。
その課程においては、寡占商人、貴族出身の将軍、そして海賊が協力しながらリーダーシップを発揮した。
イギリスも、地主や商人の持つ経済力を動員し、小規模の官僚組織であった海軍省が極めて効果的なリーダーシップを発揮した。
●イギリス・オランダの
16世紀以降の覇権国家は、海賊と商人と官僚が動かしていたと考えられるわけです。
下巻402ページ以降、核時代の戦略から。アメリカ流の外交と戦略には
際立った特徴がある。として、
1945年第2次世界大戦後のアメリカの戦略の特徴は
1、ヨーロッパのような平和な時期の勢力均衡外交での
経験がない。
2。他者の意見や価値観に敬意を払う事をしない。外部の価値観の共感がない。(19世紀以降、アメリカ大陸と西半球の唯一の覇権国家であり、自らの覇権に対して皆が屈服するであろうという予測を持っていた)
3軍事手段を過度に重視する
4核兵器の出現により、他の同盟諸国の関係より、自国の軍備を増強する方が重要である。
下巻417ページから
アメリカの戦略文化の特徴。
1。空間把握は、西部開拓に由来する。アメリカ軍は兵站に通じている。
2。開拓により国境を広げていった経験。機械を用いた輸送手段。熟練した労働力より工作機械。広い土地に対する労働力の不足と熟練工の不足に由来する。
3。成功を納めるのは当然である。という信念。楽観主義。
4。第2時世界大戦で、同時に2つの戦争を戦い、富める者の戦争を行った。
5。世界はアメリカ的自由民主主義の原則によって収まられる運命であると確信。
●という感じで非常に示唆に富む書籍です。現在の世界を理解する上で、よんでおくべき本です。