～あるがままの愛しさ～　しぃ・こーちんぐ

映画「それでもボクはやってない」を見た。

痴漢に間違われたフリーターがどのように
無罪を勝ち取るかという冤罪事件を通じて、
裁判(そのシステムと国家権力)の持つ問題を
描いた作品。

わざわざ大きなスクリーンで見るタイプでは
ないよなぁと思いつつ行ったのだけど、
結果、この映画にお金を落とせてよかったと思う。


私にとって一番印象的だったのは、
捕まった直後の留置所での主人公の扱われ方。


「てめぇ何したんだぁ！荷物を全部だせぇ！服を脱げぇ！」


罵倒されながら下着一枚にされ、あろうことかパンツを
引っ張って中をイタズラに見られる。


留置所での扱いも、
「早くしろぉ！」
「しゃべるんじゃない！」
と、怒鳴られっぱなし。


そして誰もが主人公の話を信じず、
冷ややかな目でさげすむ。


「容疑者」になった途端に人間の尊厳なんて
ないに等しい。


愛も、信頼も、
最低限の敬意さえも。



「なんだその抑圧的な態度は！
こっちは無罪なんだぞ！！」と、
怒りがこみあげて来たんだけど…

でも、
ちょっと待てよ…。


もし本当に悪いことをした犯罪者だとしても、
なんでこんな扱いを受けないと行けないの？
犯罪を犯すまでの過程は、絶対にその人一人に責任はない。
色んなことが、その人をおいやってしまったのだと思う。
社会的歪みがたまたまその人にしわ寄せされただけなのに。
（えてして社会的弱者にその役割は担わされる。)


勿論犯罪者にも責任はあるから、
是非一刻も早く良心を復活させる手を打ってほしいし、
被害にあった人が悲しみのあまり怒りをぶつけてしまうなら解る。


でも、なんで警察だからってことだけで、
いかにも堂々と被疑者をこけおろすことができるのか。


これが更生のサポートになるわけがない。


警察官は、最初に家族友人から隔離された場所で
人間性を奪う訓練がされると聞いたことがある。

戦争に行かされる新人兵に中国人を銃剣で
刺し殺す訓練をしていたのと同じだ。
人間的な感覚を全て奪い殺人マシーンを生み出す
あの訓練と、程度の差こそあれ、根本が変わってない。


どうかどうか、人間によって裁いて欲しい。

どのような人も、一人の人間として。

よりよく生きれる、本当のサポートとして。



追伸：
本物の愛情と正義感を持って、市民と本気で関わる警察官、
裁判官の方々が勿論いることは認識しています。
女性を助けようとして命を落とした宮本警部の
ご冥福と、ご遺族の癒しを心からお祈りします。