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カテゴリ:ふむ。
春の訪れをつげる、美しい花。 毎年満開の桜を見るのが好きだった。 一瞬にして散りゆく姿も、 切ない愛しさを教えてくれた。 だのに、今年は、桜がこわい。 一度暖かくなったとき、 我先にと、庭先の桜が花をつけた。 だけど自然は厳しくて、 冬将軍は再来した。 繊細な花びらたちは、 なんとか耐えようとはしたが、 寒さに凍えて、枯れてしまった。 雪のように散ることも許されず、 茶色になって落ちてしまった。 暖かな春を信じて咲いたのに、 どうしてあなたは裏切ったのか。 たった2日、花をいくつかつけただけで、 その木は悲しげに葉をつけた。 ヤマザクラはもともと赤い葉をつける。 そう頭では理解していても、 枯れ葉のように映ってしまう。 無防備に咲いている桜を見ると、 あのヤマザクラの悲劇が脳裏によぎり、 どうしても体がこわばるのだ。 今は、 新緑の葉に守られるように咲く花を見て、 ほっと肩をなでおろしているのだが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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