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カテゴリ:その他の法人設立
病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は老人保健施設を開設しようとする社団又は財団は、岡山県知事又は厚生労働大臣の認可を受けて、医療法人を設立することができます。医療法人には、その形態により次のように分類します。
●医療法人の種類 1 医療法人社団 複数の者が出資して設立する法人で、出資者は出資額に応じて持分を有する社員(社団の構成員)になります。そして、退社・解散の際に持分に応じて払戻し・分配を受けることができます。また、出資者でなくても社員になることは可能です。 2 医療法人財団 個人又は法人が寄付した財産に基づいて設立する法人です。寄付者も持分は認められず、解散時には理事会で残余財産の処分を決定し、岡山県知事の認可を受けて処分します。 3 一人医師医療法人 医師が1人又は2人常勤するような診療所を開設する法人をいいます。 ●医療法人設立のメリット 1 医院経営の承継 個人で医院を営んでいると、相続税や贈与税の問題、また経営者としての確実な後継という面で苦労することがあります。例えば、医療法人社団であれば、持分を所有するということで、解決することがあります。 2 資本の調達 医療法人にすれば、多数の人々から出資を受けることが可能になります。また、大規模病院の運営も可能になります。 3 近代的な経営 医療法人にすることによって、対外的信用も増大します。また、医院経営と個人会計を分離することによって、近代的な経営が可能となります。 4 税制 医療法人にすれば、所得税の累進課税よりも有利になる可能性が高くなります。 ●なぜ一人医療法人なのか? 1 一人医療法人とは 一人医療法人とは、昭和60年(1985年)12月の医療法改正により医療法人の設立要件が緩和されたことにより、1~2人の医師又は歯科医師で診療所を法人形態で経営することが可能になりました。なお、一人医療法人と従来の医療法人は医療法上では同じですが、従来の医療法人は病院経営を前提としたものであるため、診療所経営を前提とした一人医療法人とは別のものとして取り扱っています。 一人医療法人は、診療所経営と医師・歯科医師個人の家計を分離させるとともに、診療所の経営基盤の強化や診療所の近代化・合理化、診療所の設備や機能を充実させることを目的としています。 2 一人医療法人のメリット・デメリット <メリット> a 診療所経営の収支と医師・歯科医師個人の家計の収支が明確に区分されることによる合理的かつ近代的な診療所経営が可能 b 法人税率は30%の一定税率であり、支払納税額が軽減されます ※所得税の場合、年間所得が1800万円を超える場合の税率は37% c 院長である医師・歯科医師などが給与所得を受けて、所得分散による節税効果が期待 d 生命保険の保険料(掛け捨て)が全額損金処理することが可能 e 金融機関からの社会的信用が高まることにより、資金借入が有利に f 老人保健施設の経営も認められる g 事業税が特別に軽減される h 源泉税が差し引かれないで、請求分のまま診療報酬が入金 i 決算期を自由に決めることが可能 (個人経営の場合、決算期は毎年12月31日) <デメリット> a 主務官庁に毎年必ず決算届を提出しなければならない b 付帯業務禁止規定による業務の制限 (不動産業、飲食店経営などは付帯業務禁止規定により不可) c 交際費の定額控除については下記限度額内に制限されます ※出資金額が5000万円以下である場合に限り、年間400万円の交際費の金額の90%を損金とすることが可能です d その他医療法に基づく許認可、届出等による様々な規制や制約を受けることになります 3 一人医療法人の設立運営 一人医療法人の場合、ほとんどが「持分の定めのある社団」として設立運営されています。「持分の定めのある社団」では、社員(株式会社で言うところの株主に相当)に財産権を有し、社員脱退時又は法人解散時に持分の払い戻しを受けることができます。 一人医療法人は、原則として3人以上の社員から構成されます。株券にあたる出資証券は発行されませんが、贈与や譲渡は原則として自由です(但し、社員になるためには社員総会での承認が必要です)。 一人医療法人の最高意思決定機関は社員総会であり、役員を選任し、経営の基本方針など重要項目を決定します(通常は年2回開催)。なお、下記事項は社員総会での承認が必要になります。 a 定款の変更 b 予算、決算、剰余金(又は損失金)の処理 c 社員の入社及び除名 d 解散 e 他の医療法人との合併 f その他重要事項の決定 役員の任期は2年で、2年ごとに改選を行います。また、表決に際しては社員1人につき1票となっていますので注意が必要です(出資額に関係なく)。 【一人医療法人設立のための決定事項】 ●名称…医療法人社団○○会 意味のあるものでなければならない。申請書類中の設立趣意書に名前の由来を記載する。 ●理事長…通常は院長が就任(医師・歯科医師であることが条件) ●理事…理事長を除き2人以上 ●監事…1人以上(親子・兄弟・従業員など関係の深い者の就任は不可) ●社員…3人以上 医療法人の設立後、その持分を所有する。通常は理事が社員となる。 (ただし、出資者でなくても社員になることは可能) ●出資財産…現金預金は必ず出資。金額は2か月分の運転資金以上の金額 医療法人の認可は岡山県が行ないますので、必要書類を必ず提出しなければなりません。また、認可後は保健所や社会保険事務所などの関係機関に書類を提出しなければなりません。また、岡山地方法務局及び各支局・出張所にて登記を行なうことも必要です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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