マレク・カニエフスカ「アナザーカントリー」元町映画館no153
マレク・カニエフスカ「アナザーカントリー」元町映画館 2022年の映画館徘徊、見納めは「12ヶ月のシネマリレー」という特集の第2弾、マレク・カニエフスカ監督の「アナザーカントリー」、元町映画館です。1984年ですからほぼ40年前のイギリス映画です。 今年1年間、映画館をウロウロして、見たのは146本でした。調べてみると、感想が書けていない、あるいは、このブログにアップしていない作品が40本くらいあってちょっとあせりました。まあ、備忘録の意味もあるので、そのうち、のこのこアップするかもしれませんが、今日のところは「アナザーカントリー」です。 もともとはジュリアン・ミッチェルという人の戯曲の映画化のようです。ソビエトに亡命したイギリスの二重スパイであるガイ・ベネット(ルパート・エベレット)という車いすの老人が、裏切った祖国イギリスの思い出を語るという構成のお話でしたが、自らのパブリック・スクール時代の回想が、ほぼ、すべてで、いたってシンプルな構成の作品でした。1930年代のイギリスの名門寄宿学校の、絵にかいたようなハンサム・ボーイたちの幼い権力欲と愛欲の世界を描いた世界でした。マア、ぼくとは縁もゆかりもない世界ですね(笑)。 印象に残ったのはガイ・ベネットの回想の冒頭あたりでした、第1次世界大戦でしょうね、寄宿舎の中庭で行われている戦没者の追悼集会の場で、ホルストの「惑星」という組曲の「木星・ジュピター」の合唱が少年たちによって歌われるシーンでした。「ジュピター」という曲は20年ほど昔でしょうか、女性歌手が歌って、流行った記憶がありますが、大英帝国の愛国歌だということは初めて知りました。どこの国でも、ナショナリズムというのは美しく哀切に表現されるものなのですね。同性愛とナショナリズムというのはどこでつながるのでしょうかね。三島由紀夫とかナチスとか、なんとなく、その対になっている関係を思い浮かべてしまいますが、よくわかりませんね。 それにしても、20世紀のイギリスというのは、ミステリーにしろ映画にしろ、ソビエトを相手にしたスパイ合戦の話が本当に好きですね。そのあたりの理由も気になりながら見終えました。 たくさん登場する男前の少年たちの中で、その後の姿に見覚えがあったのは、共産主義に傾倒するトミー・ジャッドを演じた若き日のコリン・ファースでした。やっぱり男前でしたが、彼と主役ルパート・エベレットには、とりあえず拍手!ですね(笑)。 元気の出るというより、ヤレヤレな2022年の見納めでしたが、ほかにも、あれこれ、気がかりが浮かんでいますが、とりあえず、「ジュピター」を思い出したのは収穫でした。 では、皆さんよいお年を!2023年もよろしく!ね(笑)監督 マレク・カニエフスカ原作 ジュリアン・ミッチェル脚本 ジュリアン・ミッチェル撮影 ピーター・ビジウ美術 クリントン・カバース編集 ジェリー・ハンブリング音楽 マイケル・ストーレイキャストルパート・エベレット(ガイ・ベネット 多分、主人公。同性愛者。)コリン・ファース(トミー・ジャッド 共産主義者)ケイリー・エルウィズ(ジェームズ・ハーコート ガイの恋人)マイケル・ジェン(バークレイ)ロバート・アディ(デラヘイ)ルパート・ウェインライト(デヴェニッシュ)トリスタン・オリバー(ファウラー)フレデリック・アレクサンダー(メンジーズ)1984年・90分・G・イギリス原題「Another Country」日本初公開 1985年8月1日2022・12・30-no146・元町映画館no153