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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2019.04.11
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​金田一春彦「日本語(上・下)」岩波新書・沖森卓也「日本語全史」(ちくま新書)​​
​​​​​​ ​​​ ​​​日本語をずーっと通して、わしづかみしたいという人に、一番スタンダードで、かつ、評価も高い日本語の概説が、金田一春彦「日本語(上・下)」(岩波新書)でしょう。​​​
​​​ 多分、一番新しい、素人向け(かな?)の概説が、沖森卓也という人の「日本語全史」(ちくま新書)かな。​​​​
 金田一春彦は、一時はやったマンガ、「金田一少年の事件簿」のモデルかもしれませんが(少なくとも名前は)、ホントはちがうけど、実はそうかもしれません(笑)。​​
    というのは、彼のお父さんが金田一京助という「アイヌ語」学の創始者で権威、かつ、「明解さん」で有名な三省堂という出版社の国語辞典のドンのような国語学者なのです。
 文学史上も有名な人物で、明治の歌人である石川啄木の、盛岡中学以来の友人です。一応、上級生なのですが、親友といっていいと思う人物です。
​​ というのは、金田一京助という人は自らの学生時代から結婚当初まで、盛岡中学を中退し、北海道から東京へと流浪つづける極貧の友人、石川啄木とその一家を支え続けた人なのです。
 たとえば、春彦が生まれたばかりの金田一家のタンスの引き出しから京助の妻の晴れ着を持ち出し、質屋で流して金にするというような、まあ、無法なことが許されていたのが石川啄木だったということがどこかに書かれていましたが、それを昔語りに母から繰り返し聞いた少年春彦は、啄木を石川五右衛門の末裔だと思っていたという話が落ちなので、どこまで本当かはわかりませんが、まあ、そういう関係だったことは事実でしょうね。
 これは戦後のことですが、探偵小説を書いていた横溝正史「本陣殺人事件」(だったと思う)で、初めて「金田一耕助」という名の探偵を登場させ、その後、「八つ墓村」、「犬神家の一族」、と活躍させたのですが、これらの作品群は、1970年代の角川文庫「観てから読むか、読んでから観るか」という、映画とセットにしたキャンペーン企画のドル箱小説でした。ウソか、本当か、1000万部売れたそうです。

​ まあ、当時、ぼくも、彼のたいていの作品は、文庫で買って読んで、そのうえ、映画も見たのですが、一作の例外もなく、映画より、小説のほうが、怖くて面白かった。​
 「映画にもなってるやん。」
 「うん。エライ流行ってんで。」

​ と、まあ、そういうことですが、その金田一探偵の名前が、金田一京助の名のもじりだというのは、かなり有名な話です。その後ブームになったマンガ金田一少年は、たしか、小説の金田一耕助の孫だったと思います。それぞれ、本家に許しを得たのかどうか、それは知らないのですが、国語学者一家の金田一家と探偵の血筋の金田一家は縁がないわけではないということです。ホント、どうでもいい話でした。​
​​​​​​さて、本論に戻りましょう。​「日本語(上・下)」​ですが、言語学の視点から、

世界の中の日本語

​ の特質から語り始め、発音、語彙、文法、表現法まで語りつくしてある本です。​​​​​​                           ​​ 今では、1000点を超えた、岩波書店「新赤版」新書1988年に始まるのですが、ちなみに、その​no1​​大江健三郎「新しい文学のために」​​no2,no3​がこの​「日本語〈上・下〉」​、記念出版に近い評価だったんでしょうね。「岩波文化」という言葉がありますが、マア、代表的スターだったんでしょうね。​​
​​ 以来、2017年​53刷​ですから、

「スタンダード」

​ と、ぼくがいう意味は分かってもらえるのではないでしょうか。ただ、惜しむらくは、少々冗長で、今となっては少し古いと思います。
​ そこで最新の、と考える人には​沖森卓也「日本語全史」(ちくま新書)​があります。​​​​

​​ こっちは、「全史」と銘打っている通り、日本の古代前期、無文字社会の日本語は相手にしようがないからでしょうが、​奈良から平安にかけての日本語​から始めて、​「文字表記」「音韻」「語彙」「文法」​の部立てに従って​第六章「近代」​まで、画期的変化に伴い、各時代ごとに丁寧に記述されていて、まさに

全史

​ です。​​                                                                    ​​​​​ 特に、高校の国語程度の古典文法なんかに疑問と興味を持っている人にはお勧めかもしれません。
 中でも、まあ、教員はしていた、あるいは、しているけれどという、ぼくのように、国語学苦手文法が嫌いという、大雑把で生半可な知識の持ち主には、割合ピタリとはまるかもしれません。いわゆる役に立つタイプの参考書と言っていい本だと思います。
 整理が簡潔で、時代的変遷が明快。古典語の係り結びの変遷や、音韻の変化に伴っての詳細な文法の変化もきちんと追いかけられています。
 ただ、これも、新書というより辞書に近い分厚さ、430ページを超えますから、読み通すには、結構、根性とヒマがいるかもしれませんね。こんな本を読む、ヒマだからというおじさんとか、子どもの勉強がが気にかかるママとかというのは、ちょっと想像しにくい厚みですね(笑)。
​​​​​
 というわけで、まず総論的おススメを案内しましたが、次は、ちょっと面白みもという「案内」をもくろんでおります。まあ、図書館か書店で手に取ってみてください。両方とも、ちょっと大きめの書店にならあるでしょう。(S)

追記2022・10・20
 あらゆることが「わかりやすい」マニュアル化している現代ですが、20歳前後の、例えば、「国語の教員」を目指している女子大生とお出会いして話をしていると、一応、「知っている」のに、説明できないという「国語」についてのあれこれがたくさんあることに驚きます。
 ウキペディアで調べれば「知っている」ことになるようですが、それって「知っている」っていうことなのでしょうか。
 新書本を1冊読むのもネットで検索するのも、まあ、「知っている」という状態を作るうえでは大きな差はないのかもしれませんが、ページを繰って「読む」というとき、目の前の分厚さの苦痛は、「わからない」ということを実感させてくれます。読み終えると、読み終えた達成感で、ちょっといい気になります。
 でも、​

​「なんか、よくわからん」​

​ 頭の中で、もう一人の自分がそういうのです。勉強は、そこから始まるんじゃないでしょうか。「わからない」を体験したことのない人が教室で「わかりやすいマニュアル」を配っているのは、やっぱり変ですね。「読む」ことの苦痛なしに「わかりやすい」にたどり着くのって、やっぱり、ウソだと思うのですが(笑)。

 追記

 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)​​​

 



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最終更新日  2024.03.05 16:41:19
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