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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2019.04.17
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​​​​​​関川夏央・谷口ジロー「秋の舞姫」(双葉社)

​​​​​​​​​​  高校で授業をしたいと考えている人たちにとって森鴎外「舞姫」は定番教材です。​​

 ​​​​​​​「石炭をばはや積み果てつ」

 ​あまりにも有名な冒頭ですが、この美文調の擬古文体の文章は、現代の高校生には苦痛以外の何物でもないらしく、主人公太田豊太郎がベルリンに到着したあたりで早くもギブアップで、教室には、なんというか、オモーイ空気が漂い、ひとり、ふたり、あっちでバタリ、こっちでバタリ、最悪の消耗戦を戦う戦場もかくや、という様相を呈してくる日々が思い出ですが、今回、案内するコミック「坊ちゃんの時代」第二部「秋の舞姫」(双葉社)は授業の幅を広げたい人には、格好の参考図書かもしれません。​​
 関川夏央が原作を書き、谷口ジローという漫画家が作画したこの「坊ちゃんの時代(全5巻)」は、日本という国の「近代」という時代に、言い換えれば文明開化、富国強兵をうたい文句にして驚異的な発展を遂げたアジアの片隅の島国の「明治」という時代ということですけれども、その時代の「人々」に関心を持っている人には、おすすめです。​​​​​
 原作者の関川夏央は、両親が学校の先生という不幸な生い立ち(?)なのですが、上智大学を中退して、週刊誌のコラムを書いたり、ポルノ漫画の原作を書いたりして糊口をしのいだこともある苦労人(?)で、「ソウルの練習問題」(新潮文庫)という作品で批評家として世に出た人です。​​
​​​ どっちかというと「文学さまさま」というようなアプローチではなく、スキャンダルや、エピソードの収集家的な視点と山田風太郎的な奇想の視点で、近現代の文学シーンを暴いてきた人なのです。
​ その関川夏央が、名作「犬を飼う」(小学館文庫)の漫画家谷口ジローと組んで、日本漫画作家協会賞をとったのがこの漫画なのです。​​​​​​
​​ その第二部「秋の舞姫」「浮雲」の作家、二葉亭四迷こと長谷川辰之助の葬儀のシーンから始まります。​
 明治四十二年六月二日。染井墓地での埋葬に参列する人々は、漱石、夏目金之助。啄木、石川一。鴎外、森林太郎。弔辞を読むのは劇作家島村抱月。他に、徳富蘇峰、田山花袋、逍遥こと坪内雄三、etc。明治の文学史上のビッグネームがずらりとそろっています。​
​​​ 言文一致といえば必ず名前が出てくる二葉亭四迷という文学者がいますが、彼は朝日新聞の特派員として念願のロシア遊学中に発病、帰路インド洋上の船中で客死しました。しかし、その​二葉亭四迷​が死の床で、脳裏に浮かべた一人の女性こそ、エリーゼ・バイゲルト、すなわち「舞姫」​エリスのモデル​であったというのは何故かということが、この漫画のネタというか謎というわけなのです。​​​
 言文一致のビッグ・ネーム二葉亭四迷が、なぜ、雅文体の雄森鴎外の恋人エリスことエリーゼを知っているのか。なぜ、今わの際にその面影を思い浮かべるのか。​​​​​​
​​​​​​​ 鴎外のドイツ留学からの帰国は明治二十一年九月八日です。ドイツ人女性エリーゼ・ゲイバルトは四日遅れて横浜に到着します。彼女の船賃を工面したのは鴎外自身で、実は、彼はこのドイツ女性と結婚を決意していたのです。​
​​ しかし、日本に帰国した鴎外は、エリーゼ・ゲイバルトが日本に滞在した三十六日間の間にたった一度だけしか会うことがなかったのです。​​​​​​​​​​​​
​​​​​​

「ああ ようやく…」
「済まなかった‥‥」
「一万哩を旅したこの地の果てで、まともに会えたのがただ一度 なのですか。」
「済まなかった。しかし私にとっては欧州もまた地の果てだった。」
「‥‥そうなのですね。」
「地の果ての決意を私は石のごとくと思ったが、それは砂の塊にすぎなかった。いま、この国で白人が暮らすのは苛酷だからというのはやはりいいわけだ。私は自分の安心のためにあなたを捨てたのだ。」
「・・・・・・」
「互いにあまりに遠すぎた。生まれた土地が…ではなく、生まれた土地によって作られた互いの人間性が。私は深く恥じよう。」
​ 「わたくし、十七日の船で日本を去りましょう。コガネイはもう一度リンタロウーの母上に話そうといいました。あなたの弟アツジローも。わたくしは断りました。あなたには所詮無理です。恋人のために命を投げ出す義の心がない。そう思い知りました。」​​​
​ 「家」、「国家」、「社会」、抜き差しならないしがらみに身動きならない鴎外、森林太郎が、エリスによって、切って捨てられたシーンの二人の会話です。​​
​​​​ ひとり「鴎外のみのこと」ということはできないでしょう。「明治という国家」と個人がどのように出会ったのか、哀しいというよりほかに、言いようはないのでしょうか。
 傷心のエリスは十月の末に帰国し、鴎外は一年後の秋「舞姫」を執筆し明治二十三年正月の「国民之友」という雑誌に発表しました。
 彼は彼で深く傷ついていたのではないでしょうか。「舞姫」はこずるい男の開き直りを描いた小説ではなさそうです。​​​​​​

​​​ で、二葉亭四迷エリスの関係についてですが、興味をお持ちになられた方は、どうぞ、本作品をお読みください。​​​
 ​​​たった三十六日間の滞在なのですが、エリスは実に様々な人と出会っています。彼女自身の人柄も潔癖で純情、自らの精神に一途な、素晴らしい女性として描かれていて、なかなか痛快です。現在は文庫化もされています。(S)​​​2018/06/13
​​​​​​​​​追記2019・04・16​
​​​​ このシリーズは、第一部「坊ちゃんの時代」では、漱石「坊ちゃん」を書き始めるころの明治を、第三部「かの蒼空に」では、石川啄木​金田一京助​の友情(?)と、啄木のだらしなさを、第四部「明治流星雨」では大逆事件で殺された幸徳秋水と管野須賀子の半生。最終巻、第五部「不機嫌亭漱石」​と題し、胃病に苦しむ漱石をメインに描いています。​​​​​​​​​​​​​​​​

​​​​​​​ こう紹介すると歴史実話マンガのようですが、おそらく、違いますね。関川夏央の本領は、調べに調べ、調べ尽くしたうえで「嘘を書く」ことだと、ぼくは思っています。​
 ​​それは、例えば山田風太郎の方法に似ています。ウソという言葉を使いましたが、それはでたらめではありません。​​​​​​​​

​​​​​ 物語のどこかに、「もしこうであったら」という虚構の補助線が一本引かれているに違いないのです。山田風太郎が得意の明治物の中で幼い樋口夏子と、少年夏目金之助を出合わせたシーンを描いたことがありますが、あれと似た方法を関川がどこで垣間見せているのか、是非お読みになって、「にやり」とお笑いになっていただきたいですね。​​​​​
​ 絵を描いている​谷口ジロー​関川も只者ではないのです。なかなか、見破れない虚構の底、奥は深そうです。
追記2023・04・11

​ 友達数人と​100days100bookcovers​という本の紹介ごっこをフェイスブック上で続けているのですが、そこでこの漫画のシリーズが紹介されました。そうか、そうか、とうれしくなったのですが、ボク自身もこのブログで案内していたことを思い出して修繕しました。ボクの案内は国語の教員を目指している学生さんにあてて書いたものですが、若い人がこの漫画を読むのかどうか、いささか心もとない時代になってきましたね(笑)。

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最終更新日  2023.06.06 02:29:38
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