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カテゴリ:演劇「ナショナルシアターライブ」でお昼寝
エドワード・オールビー「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」KAVC
シマクマ君、おなじみのナショナルシアターライブ2019。今回はE・オールビーの名作「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」。エリザベス・テラー主演で映画にもなった有名な作品。見たことはないが、戯曲は読んだことがあるとたかをくくって出かけた。おなじみになったアートヴィレッジの地下劇場に今日は4人。なにせ3時間を超える大作(?)、上映時間を見ると二の足を踏む人がほとんどかもしれない。 「まいりました!」 マーサを演じたイメルダ・スタウントンのすごさを実感した。 三匹の子豚が「狼なんかこわくない」と歌うディズニーのアニメに遠慮して「ヴァージニアウルフなんて…」とやった1960年代の戯曲が全く古くない。 パーティー帰りでかなり酔っぱらっている中年夫婦。いつものように、なのだろう、大声で、いがみ合うシーンから舞台は始まる。そこに、パーティーで知り合った、希望に満ちた若いカップルがやってくる、。時間は真夜中の二時。 何もかもが、非常識で、いかがわしい。 酒を飲み続ける4人の登場人物。大声で、夫をののしり、若い男に媚びるマーサ。怒りに耐え切れないジョージ。飲みつぶれる若い妻ホニー。 繰り返し歌われる「狼なんかこわくない!」。 すべてがはぎとられたマーサ。「怖い」の一言で一晩中つづけられた罵り合いが終わり、白々と夜が明ける。 暗転し舞台は終わる。 マーサとジョージの夫婦が罵り合いながら守ろうとしていたもの、二人の現実を支えている虚構をはぎ取れるだけはぎ取ってみれば、そこに「空虚」しか残らないことを否応なく思い知らされる。 イメルダ・スタウントンの最後の表情がすべてを語っている。 「私たちは、実は空っぽなんだ。」 「人間は哀しい」 この、空っぽに震える表情を作るために、いや、この顔を観客に納得させるためといった方がいいか。この女優は三時間、出ずっぱりで叫んでいたのだ。うーん。 こういう感動が演劇にはあると初めて経験したような気がした。 アートヴレッジを出たところでボンヤリタバコを喫っていると、元町映画館の受付でよく出会う女性が自転車で通りかかりながら声をかけてくれた。 「コンニチワアー」 「いまね、ここで、バージニアウルフ見ててん。イメルダ、なんちゃら、すごいわ。カンドーや」 「スタウントンですね。また寄ってくださいね。」 「うん、ありがとう」 ぶあつい雲が出て、少々怪しい。兵庫駅まで歩いていると、最後のシーンが繰り返し浮かんできた。 演出 ジェームズ・マクドナルド 作 エドワード・オールビー ハロルド・ピンター劇場(ロンドン) キャスト イメルダ・スタウントン (マーサ) コンリース・ヒル (ジョージ) イモージェン・プーツ (ニックの妻ホニー) ルーク・トレッダウェイ (新任教授ニック) 原題National Theatre Live: Edward Albee「 Who is Afraid of Virginia Woolf?」 2017年 イギリス 210分 ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.27 23:40:31
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