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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2019.05.29
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​​​​​​​​​​​​​​​​ 茨木のり子・長谷川宏「思索の淵にて―詩と哲学のデュオ―」(近代出版)
​​​​​​ たとえば「詩」の授業。学校の教科書に取られる作品というのは、ふつう短い。教科書の見開き2ページをこえる作品はほとんどありません。知る限りですが、一番長い詩は宮沢賢治「永訣の朝」です。小説や評論のように読むこと自体に手間がかかるわけではありません。​​​​
​​​ 短いということは、なんとなく、全部説明可能な印象を持ちますが、そうでしょうか。たとえば、戦前の「詩と詩論」というグループにいた人で、安西冬衛という詩人にこんな一行詩があります。​これも知る限りなのですが、教科書で出会うかもしれない一番短い詩です。​​
​​     「春」  
 
 
てふてふが一匹 韃靼海峡を渡って行った 
​​
 ごらんのとおり短い詩ですが、これを授業で解説することは簡単でしょうか?​​​​​​​​
 まあ、「てふてふ」「蝶々」の旧かな表記だとか、「韃靼海峡」日本地図では「間宮海峡」のことだとか、「春」だからは、おそらく南から北へ、サハリンから大陸へ向かっているとか。​​​​​​​​

 すぐ気づくでしょうが、それらの事項はこの詩を読んで湧き上がってくるイメージについて、補助的な役割しか果たしていませんね。これじゃあ、教員は生徒に何をどう読み取ってほしいのかわかりません。
​​ 詩の授業に限りませんが、文学作品の鑑賞の難しさをなんとかする方法は、なかなか見つかりません。「好き」か「嫌い」かの二者択一を教員自身が下して、極端な話
​「嫌いなものは授業ではやらない」​
​ ということだってあるでしょう。考えてみれば、それも、あんまりですね。
 ​​​たどり着くのは、いかにも凡庸ですが「詩」を読むこと。「詩」について誰かがなんか言っていることに興味を持つようにすること。
​「あの人はこの詩のことをこんなふうに言っていたな。」​
​ という引き出しを増やすことが、生徒たちの反応に対して
​「ああ、それもあるか。」​
 ​という、余裕のようなものを作るのではないでしょうか。
 そんな引き出しを増やす可能性のある一冊に「思索の淵にて―詩と哲学のデュオ―」(近代出版)があります。​​​茨木のり子という詩人の詩を読んで長谷川宏という哲学者が語っている本です。​​​​​ ​​​
    「落ちこぼれ」        茨木のり子

 落ちこぼれ
    和菓子の名につけたいようなやさしさ
 落ちこぼれ
    いまは自嘲や出来そこないの謂い
 落ちこぼれないための
    ばかばかしくも切ない修業
 落ちこぼれにこそ
    魅力も風合いも薫るのに
 落ちこぼれの実
    いっぱい包容できるのが豊かな大地
 それならお前が落ちこぼれろ
    はい 女としてはとっくに落ちこぼれ
 落ちこぼれずに旨げに成って
    むざむざ食われてなるものか
 落ちこぼれ
    結果ではなく
 落ちこぼれ
​     華々しい意志であれ​ 
 ​さて、このについて哲学者の長谷川宏さんがこんなエッセイを書いています。​​​​
 詩の書き出しには唸らされた。
  落ちこぼれ  和菓子の名につけたいようなやさしさ
 塾教師を生業とする身としては「落ちこぼれ」と聴けば、ただちに、学校の授業についていけない生徒のことを思ってしまう。和菓子を連想するなんて思いもよらない。​
 虚を突かれて、しかし、和菓子が好きなわたしにはこんなイメージが思い浮かぶ。色は緑か黄がいいと思うが、淡い色調の小ぶりの菓子箱のまん中やや上方に、白い和紙がはりつけられ、それに墨で書かれた「落ちこぼれ」の五文字が乗っている。そんなイメージだ。
 落ちこぼれだからといって、肩身の狭い思いをする必要のないイメージであることはたしかだ。詩人は落ちこぼれの味わいの深さをいい、自分を落ちこぼれの一人だと明言し、最終二行では、
  落ちこぼれ  華々しい意志であれ
 とまでいう。そこまでの潔さはないが、わが身を振り返って、落ちこぼれと縁の深い人生だったとは思う。
 全共闘運動の後、大学教師への道をみずから断って塾教師をはじめたときには、まちがいなく落ちこぼれの意識があったし、さらにいえば、落ちこぼれを楽しみたい思いがあった。
 三十年以上も続く塾稼業で、生徒を「有名」中学や「一流」高校に送りこむことには関心がなく、生徒がOBになっても関係が続くような、つきあいの親しさを大切にしてきたのも、落ちこぼれの塾経営といえそうだ。落ちこぼれである以上やむをえないが、経済的にめぐまれたことは一度もなかった。
 落ちこぼれの塾には落ちこぼれた生徒が何人も通ってくる。大抵は落ちこぼれであることに傷ついているから、普通の子以上に丁寧なつきあいが必要だ。
 授業についていけない子がついていけるようになれば、落ちこぼれは解消する。それが一番まっとうな落ちこぼれ解決法だ。が、学校の授業は生徒一人一人の能力に合わせて設定されているわけではないから、ついて行こう、ついて行かせようとして、思い通りにならないことが少なくない。

 そこでどうするか。ついて行けないのは仕方がないとして、ついて行けないことでその子が苦しい思いや辛い思いをしているようなら、その苦しさや辛さを軽くしてやりたい。
 そう思う私は、その子のついていける内容の教材を用意し、その子のついて行けるテンポでいっしょにとりくむ。ほかの子にテンポが合わないなら、無理に合わせようとしないで別々に進む。一対一で教えることもめずらしくない。
​  ​ その子とのあいだに一定の信頼感が生まれてくると、ゆっくりしたテンポで前に進むこと自体が楽しく思えてくる。算数の問題を解くときでも、かわり番に朗読するときでも、生徒は安心してやるべきことに身を入れ、こちらも安心してそれを見まもることができる。劣等感から開放された軽やかな気分が、こちらにも伝わってくる。時間が静に流れ、教室に、深まりゆく秋の気配、とでもいいたくなるものが漂う。この穏やかさは落ちこぼれが恵んでくれたものだと思うと、目の前の子に感謝したくなる。​
​​​​​ どっちかというと、詩の授業のための引き出しというよりも、学校で先生をするための引き出しのため紹介になってしまいましたが、いかがでしょうか。​
​ 茨木のり子には、授業で紹介したくなる詩がたくさんあります。ちくま文庫には「茨木のり子集(全3冊)」もありますが、たとえば「自分の感受性くらい」という詩はいかがでしょうか。​​​​

   「自分の感受性くらい」   茨木のり子

 ぱさぱさに乾いてゆく心を

 ひとのせいにはするな
 みずから水やりを怠っておいて
 気難しくなってきたのを
 友人のせいにはするな
 しなやかさを失ったのはどちらなのか
 苛立つのを
 近親のせいにはするな
 なにもかも下手だったのはわたくし
 初心消えかかるのを/暮しのせいにはするな
 そもそもが ひよわな志にすぎなかっ
 駄目なことの一切を
 時代のせいにはするな
 わずかに光る尊厳の放棄
 自分の感受性くらい
 自分で守れ
 
ばかものよ ​
​​​ 積み重ねてきた年月と、そこで営まれた生活から生まれただと思いますが、年が若いからわからないというではないでしょう。
 ​​
こんなふうに自省することを強くうながす詩はなかなかないないのではないでしょうか。
 ​茨木のり子​
​​​の眼はいったん、自分の外に出ますね。そして自分に視線を向けています。そこから言葉を生みだしている自分の姿勢を見ています。すると、自分が恥ずかしくなります。
 すっくと立とうしている、気持ちの姿勢が見えるように伝わってきます。最初の詩とこの詩と、二つとも、最終行が印象的な命令形なんですよね。そこに詩人「意志」「立ち姿」が現れていると思いませんか?​​​

​​​​​​​​  長谷川宏は文中にあるように塾の先生をしながら哲学を研究したひと。ドイツの哲学者ヘーゲルの研究者としては世界的な業績を残している人らしいです。詩人谷川俊太郎との「魂のみなもとへ―詩と哲学のデュオ―」(近代出版)も読みやすくておもしろい本です。いかがでしょうか。(S)​​​​2018/07/12​​​​​​

文庫で読めます。​



もう、中古でしかないのかな。


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最終更新日  2023.05.09 01:13:59
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