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カテゴリ:読書案内「翻訳小説・詩・他」
ヴィスワヴァ・シンボルスカヤ「終わりと始まり」(未知谷)
1996年にノーベル文学賞を受けたヴィスワヴァ・シンボルスカヤというポーランドの詩人の「終わりと始まり」(未知谷)という詩集の中の詩です。訳者は沼野充義。2011年の春の、いつ頃だったか、東北で地震があった後、作家の池澤夏樹が、新聞紙上で、この詩の最初の二連か三連を紹介していたことがありました。 その時「わたしがいくら悲しくても」という一節が気になりました。もちろん、この詩も詩人を知っていたわけではないから、忘れていました。 最近、ふと気づくと読まずに積み上げてある本の中にこの詩集を見つけました。同居人がどこからか手に入れてきたようです。全編読み直して、今度は、「こうして遠くから考えるため」にという言葉が心に残りました。 生きていることの素晴らしさと、生きていることの哀しさの「記憶」は「わたし」をどこに連れて行くのだろう。 最近観た映画「長いお別れ」の中で、山崎努が演じた認知症の老人の「この頃いろんなことが遠いんだ。」とつぶやいたセリフが浮かんできました。 そういえば、中原中也は幼い息子を失った悲しみを「また来ん春」と歌っていましたね。 ほんにおまへもあの時は この時中原は三十歳にもなっていない青年でした。もしも「こうして遠くから考える」ところまで中原が生きたとしたら、彼はどんなふうに歌ったのでしょう。そんな思いが浮かびました。 「未知谷」というのは詩集専門(?)の出版社の名前です(S) 追記2020・06・12 中野量太監督の映画とその中島京子の原作の小説「長いお別れ」の感想を書きました。題名をクリックしてみてください。 ボタン押してネ! にほんブログ村
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最終更新日
2020.12.09 15:11:26
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