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カテゴリ:映画 日本の監督 タ行・ナ行・ハ行 鄭
中野量太「 長いお別れ」シネ・リーブル神戸
作品情報は映画comへどうぞ 映画館に「お昼寝徘徊」を始めて一年が経ちました。昨年の6月、最初に見た映画が「モリのいる場所」。山崎努と樹木希林の老夫婦が素晴らしい映画だったのですが、一か所だけ悪口を言わずにいられないところがあったので、この日記には書きませんでした。 しかし、九十歳を越える老画家、熊谷守一を演じた山崎努の姿には、思わず唸らされるものがありました。樹木希林のらしさには、時にめんどくさいものを感じることがあるのですが、山崎の演技は少し違います。特徴的な体つきや顔立ちがそのまま物語の登場人物になる。そんな感じですね。 彼が出ている新作「長いお別れ」がシネ・リーブルにかかりました。一周年にピッタリ! 始まりました。遊園地で小さな子供がふたりメリーゴーランドに乗れなくて困っています。向うから傘を、なぜか、三本持った老人が歩いてきます。山崎努です。いや、元中学校の校長だった東昇平ですね。 70代で認知症を発症した男(山崎努)が10年ほどの曲折を経てこの世を去るのですが、その男をめぐる家族の物語。妻(松原智恵子)がいて、娘が二人いる家族です。姉(竹内結子)には、男にとっては孫にあたる息子が一人いますが、住んでいるのは、夫(北村有起哉)が働いているアメリカ。妹(蒼井優)は独身で、調理師としてお店を持ちたいと奮闘しています。 あれこれありますが、とどのつまり、介護家族が最後に経験する延命処置をめぐる家族の意思の確認のシーンがこの映画の良さを印象付けました。 眠っている老人のベッドのそばで、娘たちが「おとーさんは…だと思っていると思う。」と母に意見を伝えた瞬間、松原智恵子さんがキッパリ! 「どうして、あなたたちに、今のお父さんの気持ちがわかるの?」 ここで、ここまで天然「カーさん」を演じ続けてきた松原智恵子さんの目の覚めるような「キッパリ!」に◎! 家族が困惑して見つめているベッドで、口を半開きにして眠りこけている怪演技の山崎努さんに三重〇! 心に残る意味不明の迷セリフは他にもある。山崎努の姿は、亡くなって十年近くになる、ぼく自身の義父の後ろ姿を彷彿とさせる「鬼気迫る」ものだったし、生来の天然女優松原智恵子の老妻姿にも胸打たれた。 「エー、こっちもアブナイんじゃないの?」 老いたとはいえ、名優二人の怪(?)演に支えられた作品だった。 ただ、好みの問題だとは思うが、「話を作るための筋運び」という作意を感じさせる演出はいかがなものだろう。監督は違う人だが、昨年の「モリのいる場所」と同型の「わざとらしさ」をぼくは感じた。おそらく、原作の構成とかかわることなのだろうとは思うけれど、それぞれの登場人物の生活上の葛藤が薄っぺらい作り物に見えてしまうのは何故だろう。 徘徊一周年記念映画鑑賞。シッカリ泣けました。そこそこ満足して帰宅。夕食をとりながら、映画館で思い出した、今はない義父の歩き方や、ベッドでの顔のまねをして喜んでいると、チッチキ夫人、怒り出すかと思いきや。 「私も、観に行ってくるわ。いつまでしてんの、それ?」 監督 中野量太 原作 中島京子 脚本 中野量太 大野敏哉 キャスト 山崎努(父 東昇平 ) 松原智恵子(母 東曜子) 竹内結子(長女 今村麻里) 北村有起哉(長女の夫 今村新) 蒼井優(次女 芙美) 2019年 日本 127分 2019・05・31・シネリーブル神戸(no9) 追記2019・11・12 この映画の原作「長いお別れ」(文芸春秋社)を読みました。感想は表題をクリックしてください。
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最終更新日
2023.07.28 23:58:31
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