マット・シュレイダー 「すばらしき映画音楽たち」 パルシネマしんこうえん
パルシネマの二本立てです。席について、ポットのコーヒーを飲んでいると、後方の席から女性の声が聞こえてきました。
「あのね、私なんか、『ウエストサイドストーリー』を初めて見たときはね、踊りながら映画館を出たものなのよ。『風と共に去りぬ』もよかったわ。あなたも見たことあるでしょ。」
「・・・・・・・」
ご一緒らしい男性は返事をなさいません(笑)。まあ、声が低くて聞こえないのかもしれません。女性は、もちろん、『ウエストサイドストーリー』(1961年公開)を封切館で見たことがある人のようです。「いくつやねん?」
どちらにしろ、先ほど見終わった、一回目の「すばらしき映画音楽たち」についてのおしゃべりらしいですね。
「そうか、古い映画音楽が流れるんや。『風と共に去りぬ』か、まあ、それも悪ないな。懐かしの名場面か。今日は古い映画特集か。」
ぼくのほうは一本目が「リミュエール!」でした。見終わって、いつもなら休憩に出るのだけれど、そのまま座り続けて、二本目に向けて、一休みっです。
最近では映画館徘徊のためのポットのコーヒーとか、自家製ソーセージパンとか、準備してくるようになったのが、我ながら楽しいのです。
さあ、思い出にひたるぞ!
「すばらしき映画音楽たち」が始まりました。
全く、というわけではないが、そこはかとない期待と予想は大外れだった。『ウエストサイドストーリー』の名シーンなんて瞬間でしかないし、『風と共に去りぬ』に至っては、全く出てこない(あったかもしれないが、全く気付かなかった)。でも、映画は悪くないんですよね。
「ジョーズ」があって「インディ・ジョーンズ」、「未知との遭遇」、そして「ET」がある。若き日のスピルバーグがジョン・ウイリアムズと話しています。この人の名前だけは知っていたが、その彼の指一本のピアノ演奏にうなずいて「ET」の自転車のシーンがかぶさって、映像のほうの「指一本」が映し出されて、そこにBGMが流れる。思わず涙がこぼれてきます。
なんと、まあ、我ながら情けないような、思い出にひたれたんやからしようがないような。負け惜しみでいうわけではありませんが、ぼくと同じくらいの年齢の人の映画体験は「風と共に去りぬ」じゃなくて「ジョーズ」で登場した、まあホントは「激突」かもしれませんが、スピルバーグなんですよね。
て、ことは、気付いていなかったのですがジョン・ウィリアムズの音楽なんですよ、揺さぶってくるのは、て、ことですよね。そう思いませんか?
「パイレーツ・オブ・カリビアン」のハンス・ジマー、「結婚しない女」や、なんといっても「ロッキー」のビル・コンティ。「マッド・マックス」のブライアン・メイ。エトセトラ、エトセトラ。名前なんか関心もなかったし、知らんかった人ばっかり。
「ああ、あの音楽が、この人か。それにしても、いろんなこと工夫するんや。今度から、誰が音楽担当してんのか、ちゃんとみよ。」
「ええ!?、ブライアン・メイって、今流行りのボヘミアン・ラプソディちゃうんか。クイーンやろ。映画音楽も作っとんねや。」
有名な音楽を並べて、どうです、満足できましたかというスタイルの映画を予想していましたが、はずれました。映画は丁寧に作曲家や演奏者と出会い、録音現場を映し出します。その、現場の映像は中々感動的だし、監督の音楽に対する態度や、好みというか感じ方も、ちゃんとつたえてくれています。映画にとっての音楽の力について、実に、マジメにドキュメントしていて感心しました。結果的にというか、大いに納得した上に、シッカリはまってしまいました。こういう音楽がいっぱいというのは、ほんと、楽しいですね。
新開地から暗い夜道を今日は神戸駅へ。
「じゃじゃじゃんじゃん、じゃじゃじゃんじゃん♪♪(「パイレーツ・オブ・カリビアン」のテーマのつもり)」
ハナ歌が止まりません。まあ、おんなじテーマの繰り返しですが。寒さもなんのそのの夕暮れでした(笑)。
監督:マット・シュレイダー
出演
ハンス・ジマー/ダニー・エルフマン/ジョン・ウィリアムズ/ジェームズ・キャメロン/ランディ・ニューマン
2016年 アメリカ 原題「Score: A Film Music Documentary」 2018・12・13・パルシネマno6
追記2020・02・25
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