黒沢清 「旅のおわり世界のはじまり」シネ・リーブル神戸
映画館に足を踏み入れることのなかった30年余りの間に、世界で評価される監督として有名になった人で、全く見たことがなかった人というのは、当然たくさんいるし、見たことがない映画もたくさんある。
そんな監督や作品のなかで、黒沢清という監督は、何故だか著書は読んだ記憶があるが、ぼくの中では「観てみたい」人の筆頭だった。
シネ・リーブルの500人の大ホール。ネットの予約画面がゼロだったので、思い切って正面6列目の真ん中の席を取った。
座ってみると、封切られた直後だったが、会場に客はほとんどいなかった。上着を脱いで、汗をぬぐっていると暗くなった。
ドアのガラスの向こうに何か映っている。人影なのか。そこから、カメラは方向をかえて、ゆっくり部屋のなかを映しはじめる。向こう向きの女性の後ろ姿が見える。女性が窓を開けて、風が吹き込んでくる。
映画が始まった。そして映画はあっけなく終わった。
これが黒沢清か???
シネ・リーブルを出て元町映画館へ向かって歩きながら、何も思い浮かばなかった。
このあと元町映画館では、話題の「主戦場」が待っているわけで、大丸の前を通りながら、クヨクヨと考え込んで独り言してしまった。
「今日は忙しいからね、クヨクヨしても仕方がないよ。」
「うん、ぼく、なんか見落としてるのかな?山羊の話なんて、わざとらしすぎてポカンとしちゃったし。」
「さあ、よくわかんないね。観光映画かなあ?」
元町映画館の前はなんだかすごい人盛りだった。受付で顔見知りの受付嬢が笑顔で手を振って迎えてくれた。
「やっぱり、すごい人やね。」
「はい『主戦場』(ここをクリック)満席ですよ。うちは66席ですから。でも、シマクマ先生、入場、一番でしたよね。もうしばらくお持ちください。」
「ハイハイ。うん、朝一番に来たのは正解やったね。」
「黒沢清どうでしたか?」
「あの女の子、ぼく、あんまり好みやないね。」
「ああ、前田敦子でしょ。あの監督、あの子でずっと撮ってるんですよ。」
「ふーん。好きなんや。ようわかりまへんでしたけどね。」
監督 黒沢清
脚本 黒沢清
製作 坂本敏明 水野詠子 太田和宏
キャスト
前田敦子(葉子)
染谷将太(吉岡)
柄本時生(佐々木)
アディズ・ラジャボフテムル
加瀬亮(岩尾)
2019年 日本・ウズベキスタン・カタール合作 120分
2019・06・21・no15
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