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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2019.06.24
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​​ もう、十数年昔のことです。三年生の教室で出会って、浪人していた人がいました。小論文の入試があって対策に付き合ってほしいという電話が自宅にかかってききました。義理というか、人情というか、まぁ、ぼくにでもできることならお手伝いさせていただきましょうということで、申し出のあった二人の浪人生の相手をしました。二人とも優秀な人でしたから、結果的には志望校に合格しました。しかし、小論文については二人とも劣等生でした。

 二人のうちの一人は医学部を、もう一人は教育学部を志望していましたが、受験大学の過去の問題には「遺伝子操作によって治癒する可能性が高い遺伝的疾患が胎児に発見された場合、医師であるあなたはどのような治療をするべきか述べよ。」とか、「あなたのクラスでいじめが始まったときに教員であるあなたはどうしますか。」といったものがありました。

 受験勉強の常道で過去に出題された試験問題の練習を始めてみると、全くお話にならない状態でした。この時点で彼等が何に苦しみ驚いたかといえば、「生命倫理」「遺伝子治療」「人工授精」「イジメ」「人権」「こころの教育」といったことばの意味どころか、ことば自体を知らないという自分自身のアホさにだったのです。公立としては県内有数(?)の受験校でトップクラスの成績をおさめながら自分が進もうと考える学問分野の最新の課題を何も知らない。受験には現代社会の現場でなにが起こっているのかなんて関係ないと思っていたそうです。​

 社会的関心を失って模試の結果だけに一喜一憂し、やれ、どこの大学がむずかしいとか、どこかの高校は何とか大学にたくさん入ってえらいとかいうことが如何に馬鹿馬鹿しいことか、考えてみればすぐにわかることなのですが、それを考えるという「発想」そのものを受験生は奪われているかもしれません。たとえば、大学見学会なんていう催しが、「オープンキャンパス」と称して昨今はやりですが、建物やクラブ活動の派手さだけを話題にする見学に何の意味があるのでしょうか。つまらんことに感心してないで、在籍する教授の研究業績に興味を持てよといいたくなります。

「じゃあ、受験指導とやらをしている、あなたは、何を知っているのか。」

 彼等が、そのように問い詰めたわけではありません。しかし、お付き合いをしながら、教員である僕自身も自分の関心の狭さを思い知らされたことは事実なのです。とりあえず「イジメ」や「人権」は、一応、仕事関連事項ですからいいとして、実際に遺伝子に起因するどんな病気があるのかとか、遺伝子治療とはそもそもどんな治療であるのかとか、人工授精や遺伝子治療のなにが倫理的に問題なのかなんてことは、正直にいえば「考えたことがない」としかいいようがなかったのです。やれやれ・・・

 無知な浪人生と、無知な高校教員というセットでは受験には勝てません。こういう場合、無知に目覚めた高校教員はどう対処するかというと、手当たり次第、関係のありそうな題の本をひたすら読む。ただそれだけです。言い訳したって始まりませんからね。知識獲得方法に年齢は関係ありません。

 今日紹介するのは、そういうわけで、当時、ジタバタ手に取って読んだ本の一冊。

  林純一「ミトコンドリア・ミステリー」(講談社・ブルーバックス)


「国語」の教員たるもの、そんなきっかけでもなければ、こんな題名の本を読んだりしません。ところが、読んでみると実に良く書けているのです。ちょっと偉そうな言い草ですが、理系の本にありがちな、金釘流というか、ぶっきらぼうで事実が伝わればいいんでしょうというパターンと一味ちがいました。

 著者の林純一が中学校の先生になるつもりで東京学芸大学に進学しながら、ミトコンドリア遺伝子研究の最先端の学者になった経緯から書き始められているところがかなり異色です。この本を書いた当時、筑波大学の教授さんであったらしいのですが、本一冊が、いわば波乱の研究史になっていて実に読みごたえがありました。
 ミトコンドリアとは何かという素人の疑問に簡潔に答えたあと、ミトコンドリアの遺伝子と細胞核の遺伝子の違い、ミトコンドリア遺伝子の遺伝病とのかかわりの謎を世界の研究者との熾烈な競争や、研究現場での失敗や偶然のアイデアのおもしろいエピソードを交えた語り口は、理系の堅物の著書とはおもえませんでした。現場の様子を伝えた理系の本というだけではなく、まず読み物として二重マル。素人の知的な新発見の面白さという面でも高水準だとおもいます。

​​ 同じようなおもしろさに充ちた本といえばリチャード・ファインマンを思い出しましますね。MIT(マサチューセッツ工科大学)で数学を、プリンストンの大学院で物理学を専攻し、アメリカの原爆研究計画で有名な『マンハッタン計画』に二十代で召集され、後にノーベル物理学賞を受賞した素粒子物理学の天才が、研究イタズラ歴をすべてしゃべった「ご冗談でしょファインマンさん(上・下)」(岩波現代文庫)。​​
​​ ファインマンさんの回顧録はシリーズで出て評判になった本です。今では岩波現代文庫に全巻復刊されています。当時、話題の脳学者で、『クオリア』の提唱者である茂木健一郎も、どこかの本で激賞していました。ついでですが、ファインマンがカリフォルニア工科大学で教えていた講義が『ファインマン物理学』(岩波書店)という大学生用の教科書になっていて、評価が高いそうです。大学生協の書店でアルバイトをしていたときに売ったことはありますが、読んだことなどもちろんありません。自信のある方は市立図書館で探してみたらいかがですか?ファインマンは最近話題になっている量子コンピューターを提唱したことでも有名な人です。​​

ともあれ努力家林純一にしろ、あっけらかんの天才リチャードファインマンにしろ、研究が楽しくて仕方がない感じがとてもいい。

 なついて(?)来てくれる受験生諸君によく言ったことです。
​「受験のために読めといっているのではありませんよ。いろいろな世界を知らないまま、やれ進路の、やれ大学のと騒いでいてもしようがないでしょう。手にとった本の向こうに知らない未来があるかもしれない。若さが可能性の塊だということに早く気づいていただきたい。わかる?」​
 どうも、偉そうなお説教になってしまいました。お説教をする相手がいなくなるというのは寂しいことですね。(S)​​​​


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最終更新日  2020.10.25 01:53:01
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