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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2019.08.09
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​​​​​​​​​​​​​ジェームズ・サドウィズ​「ライ麦畑で出会ったら」

​ まさか、J・D・サリンジャーが映画に登場するとは思いませんでした。​
​ 題名を見て、ああ、あの「ライ麦畑でつかまえて」とかかわる映画だと、ちょっとドキドキしながらシネ・リーブルへでかけました。同じくらいの年頃の人にはわかってもらえるかもしれません。村上春樹「キャッチャー・イン・ザ・ライ」と邦題をかえて、2003年に翻訳出版した作品で、初めて、この作品に出会った人にはわからないかもしれません。​​​​
​​​ 1970年代の初頭、全共闘世代を仰ぎ見ていた10代の少年たちの、サリンジャー体験というものがあったのです。白水社の白い本でした。訳者は野崎孝です。京都の河原町にあった(はずの)駸々堂という本屋で買いました。田舎の高校生が題名だけでこの本を何故選んだのか、今となっては謎ですが、主人公ホールデン・コールフィールドは同い年でした。​​​
​​​​ 映画の題名になっている「ライ麦畑で出会ったら Coming Through the Rye」という言葉は、この小説の読者にとってはかなり大事なフレーズで、作品の終盤で妹フィービーに会いに帰った主人公が彼女の部屋で話をします。野崎孝の本が見当たらないので、村上春樹の訳を引くと、こんなふうな場面です。​​​​
「あの唄は知ってるだろう。『誰かさんが誰かさんをライ麦畑でつかまえたら』っていうやつ。僕はつまりね―」
『誰かさんが誰かさんとライ麦畑で出会ったら』っていうのよ!」とフィービーは言った。それは詩よ。ロバート・バーンズの」
​ 「それくらい知っているさ。ロバート・バーンズの詩だ。」​
​ 主人公が、本当は間違えておぼえこんでいた言葉でした。でも、間違えておぼえこんでいた思い込みこそが、主人公のリアルを支えているのだと思います。このあと、彼はこんなことを言います。
 ここからは​野崎孝​の訳(?)、村上春樹の訳文では多分この小説はぼくの中に残らなかったような気がするのです。ウィキペにそれらしいのがあったので貼ってみます。
「とにかくね、僕にはね、広いライ麦の畑やなんかがあってさ、そこで小さな子供たちが、みんなでなんかのゲームをしているとこが目に見えるんだよ。何千っていう子供たちがいるんだ。そしてあたりには誰もいない――誰もって大人はだよ――僕のほかにはね。で、僕はあぶない崖のふちに立ってるんだ。

​  僕のやる仕事はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、その子をつかまえることなんだ――つまり、子供たちは走ってるときにどこを通ってるかなんて見やしないだろう。そんなときに僕は、どっかから、さっととび出して行って、その子をつかまえてやらなきゃならないんだ。一日じゅう、それだけをやればいいんだな。ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ。馬鹿げてることは知ってるよ。でも、ほんとになりたいものといったら、それしかないね。馬鹿げてることは知ってるけどさ」​
​​​​​ 主人公が勘違いしていた「キャッチ イン ザ ライ」が小説の題名になって、フィービーが正しく覚えていた「カミング スルー ザ ライ」が映画の題名になったのです。​​​​
 そして、この、それぞれのフレーズの一つが日本の田舎の16歳の高校生に、もう一つがアメリカの田舎の高校生に、それぞれ、とりついた、そういう時代であり、そういう年頃だったということなのでしょうか。
 日本の高校生は、その後50年、こっそりこの言葉をどこかにしまい込み続けるのですが、アメリカの高校生は、書いた当人を探し始めます。

 スクリーンには、イジメとシカトの日々に「ウンザリ」というよりかなり深刻に逃げ出したい、さえない高校生が映し出されています。シマクマ君は、年齢のせいなのでしょうか、こういう少年がスクリーンに出てくると、なんとなく遠くから見てしまうのですが、「まあしようがないか」と、ぼんやり考えながら観ています。
​​​ サリンジャーを探しに行く経緯が映し出されています。ホールディンを気取った赤い帽子。「ライ麦畑」の脚本。つまらないイジメの手口。シマクマ君には、共感というよりは遠い風景のように見えていました。​​​
​「オイオイ、サリンジャーって隠遁してて、誰にも会わないんじゃないの?高校生が見つけられるの?」​
 そんな、少々しらけ気味の気分が、そばかすだらけの、この少女の登場でちょっと変わりました。​
「あれっ、この子、フィービーじゃないの?」​
​​  妹フィービーじゃなくて友達ディーディーとして登場する少女が、まったく、さえない男の子に興味を持ちます。ここからのロードムービー仕立てで、ようやく引き込まれていきました。​​
​​​​​​​ そこから、あれこれあるのですが、結局、あのサリンジャーがスクリーンに登場するのです。バカみたいですが、何だかとてもうれしいのです。まあ、イメージはちょっと違のですが(笑)。
​ サリンジャー少年に向かって、「他人の作品をいじってないで自分の作品を書け。」と促すセリフには、ほとんど感動でした。で、ついでに、さえない主人公ジェイミー​ディーディー​のラッキーに拍手しそうになりました。なんだか、ゆかいな仲間チビラ君たちの運動会の活躍を見ている気分です。
​​​​​​​
 ジェームズ・サドウィズという監督が、どのくらいの年齢か知りませんが、「ベ平連」がリアルな戦争の影だったぼくの高校時代、本国アメリカのサリンジャー教の高校生信者が、その後、大人になり損ねて(?)今も生きているのを発見した驚きと、なんとなくホッとする気分が湧きあがってきます。​​
​「そうですか、あなたもサリンジャーにいかれたくちですか、そりゃあどうも。懐かしいですね。お兄さんをベトナムで亡くされたんですか、辛いことでしたね。」​​

​​​ 「いや、それにしても、ステファニア・オーウェンっていう女優さん、いいですねえ。よく見つけましたね。フィービーそのものですよ。いろいろ言われてきたけど、あの小説、フィービーがいるからいいですよね。」​​​
 映画館を出て、西に向かって元町商店街を歩きながら、ああここにも、以前、洋書の丸善があったよなあ、と妙に懐かしく思いだしてしまいました。

監督 ジェームズ・サドウィズ James Sadwith
キャスト
   アレックス・ウルフ(ジェイミー・シュワルツ )
   ステファニア・オーウェン(ディーディー )
   クリス・クーパー(J・D・サリンジャー )
原題 Coming Through the Rye
2015年 アメリカ 上映時間 97分
​​​​​​​​​​​​​​2018・11・14・シネリーブルno23

追記 2019・08・07

 いつまでたっても、10代から20代にかけての、あの頃の読書で出会った人たちを忘れられない。自分が、その頃から、少しも成長していないことを、つくづく感じる。
 誰もが、そんなふうなんだろうか。そうではないだろう。自分の幼さというのは、時々バカバカしくてめんどくさい。ホントどうしたらいいのだろう。

追記2020・10・11

 久しぶりに、「フラニーとズーイ」という作品を村上春樹が訳した新潮文庫版で読み直して、サリンジャーに再会しました。
​​​​ グラス家の末の妹フラニーとボーイ・フレンドとの食事の場面や、兄ズーイが母親と話し合う浴室の場面では作家サリンジャー「手練れ」ともいうべき「上手さ」に感嘆しましたが、​フラニー​ズーイの会話のクライマックスで、フラニー
​「シーモアに合いたい。」​と答える場面では涙をこらえることができませんでした。シーモアというのはフラニー​ズーイ​の兄なのですが、この作品の中では話題として出てくるだけの人物なのです。小説を読みながら、久しぶりに泣いてしまいました。​​​​
​ 40年前に読んだのは野崎孝訳でした。その時には、まあ、忘れてしまっているのかもしれませんが、ここにクライマックスがあるということにさえ気づいていなかったと思います。ぼく自身が年を取ったということもあるとは思いますが、その時、その時で、読み方は変わるものなのですね。​
 どういう場面の話をしているのか、気がかりな方は作品をお読みくださいね。
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最終更新日  2023.08.04 22:17:12
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