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カテゴリ:映画 アメリカの監督
デビッド・ロウリー「さらば愛しきアウトロー」
今から45年前、ぼくは20歳でした。神戸の町で暮らすようになって、生まれて初めて映画館で映画を見ました。「阪急文化」という、今は取り壊されて新しいビルの工事がたけなわという感じの、阪急ビルの、たしか4Fか5Fにあった名画座で、一本、200円だったような記憶があります。見たのは「スティング」でした。これは覚えているんです。この映画館は阪神大震災で崩落してなくなったんじゃなかったかと思いますが、その頃には映画館にはとんとご無沙汰だったのでよくわかりません。 最初に出合ったのがロバート・レッドフォードとポール・ニューマンでした。「うぶ」だったぼくは、とにかくこの映画のラストシーンに、あっけにとられました。 それから、アメリカン・ニューシネマの「追っかけ」みたいになって映画館に通い始めたのが、ぼくの映画の履歴のスタートです。 レッドフォードといえば、「明日に向かって撃て」、「グレート・ギャッツビー」、「大統領の陰謀」をかなりはっきり覚えています。「普通の人々」はたしか、見ているはずなのですが、その後は記憶にないところを見ると、この辺でぼくの第一次映画三昧が終わったようです。働き始めて、愉快な仲間が生まれた頃とぴったり重なりますね。というわけで、ぼくは若き日のレッドフォードしか知りません。 今日見たのはデビッド・ロウリー監督の「さらば愛しきアウトロー」でした。この映画で引退するらしい彼は、82歳だそうですが、スクリーンの姿はもっと年をくっているように見えました。でも、何か憎めない愛嬌は変わりませんね。その上、銀行強盗等が楽しくて仕方がないギャングと言えば、彼の、実質デビュー作「明日に向かって撃て」のサンダス・キッドの成れの果てそのものでした。 ところが、「明日に向かって撃て」で、早撃ちで、やたらぶっ放すサンダス・キッド役だったレッドフォードが、大好きな銀行強盗をやりながら、結局一発も撃たないというのが、この映画の一番の楽しさですね。 もうそろそろギャングも引退かというフォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)が、偶然知り合う女性、夫に先立たれた牧場主ジュエル(シシー・スペイセク)と、なんかいい感じになります。彼女もなかなかいい感じのバーさんなんですが、その出会いと軌を一にするとでもいうのでしょうか、あっさり御用となっちゃうんです。脱獄のプロだった彼も、今回は刑期を律義に勤め上げ、娑婆で待つジュエルのもとに帰ってくるのです。 当然、見ている方は、レッドフォードも、いよいよ、これで年貢を納める、引退なんだと高を括りかけるわけなんですが、そうはいかないのが映画というものですね。 「運び屋」のイースト・ウッドが、世間の労りともいえる同情に対して「ギルティ―!」を自ら宣告したことに、ぼくはいたく感動しましたが、 レッドフォードは最後までサンダス・キッドのままで去って行きました。拍手! 何とも言えず、いい気分で劇場を出ました。監督のデヴィッド・ロウリーも今回は◎でした。 監督 デビッド・ロウリー キャスト ロバート・レッドフォード(フォレスト・タッカー) シシー・スペイセク(ジュエル) ケイシー・アフレック(ジョン・ハント) ダニー・グローバー(テディ) チカサンプター(モーリーン) ム・ウェイツ(ウォラー) 原題「The Old Man & the Gun」2018年アメリカ93分 2019・08・05・シネリーブル神戸no25
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最終更新日
2023.12.04 10:34:06
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