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カテゴリ:読書案内「社会・歴史・哲学・思想」
木田元 「闇屋になりそこねた哲学者」(ちくま学芸文庫)
それぞれの時代には、それぞれの青春があります。十七歳、十八歳という年齢は、自分自身がオリジナルでありたいということを強く意識する一方で、時代の色に染まることを余儀なくされる年齢でもあるように思います。現代の高校生や大学生の人たちも、否応なく「現代」という時代の波打ち際で翻弄される経験をしているのかもしれません。 ヒロシマに原爆が投下されるのも江田島から見ました。僕は満州育ちです。満州には海がありません。大連、旅順までこないと海を見ることは出来ません。今みたいにどこの小学校にもプールがあるという時代ではありません。中学校にはありましたが、戦争が始まって伝染病などの関係でほとんど使えませんでした。だから、僕は泳げません。 江田島の海軍兵学校もただの学校として回想されていて、まあ、語り方がのんびりしています。原爆がどんな時代の始まりを意味していたのか、教えられることも気づくこともない少年。時代から放り出された十八才が、哲学が面白いと思うようになる敗戦直後の生活は、悲惨極まりない青春であるにもかかわらず、ユーモラスで痛快なんです。 「この年になって、現象学の哲学史の講義を聴いてどうしようというのか。」 まあ、そういう自問がないわけではないのですが、偶然「オモシロイ!」と出会ってしまった幸運に身を任せてどこまで行けるかという気分です。できれば、この案内で「面白実況中継」するところまでは、何とかたどり着きたいのですが、さて、続くでしょうか? 追記2023・05・05 ボタン押してね! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.05 22:03:04
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