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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2019.09.16
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​柳広司「漱石先生の事件簿」(角川文庫)


​ ​​​作家の柳広司が、岩波のPR誌「図書」に「二度読んだ本を、三度読む」というエッセイを連載している。2018年8月号は「冒険者たち―サン=テグジュペリ『夜間飛行』」。​​​

​​ ここで彼は、サン=テグジュペリの「星の王子様」について、「おお。君もそうだったか、そうやんな。」とひざを打ちたくなることを言っている。

 代表作といわれる「星の王子さま」は、彼の搭乗機が墜落し、砂漠を水なしで三日間さまよった際の死を前にした美しい幻想だ。小さな王子が語り手の幻想であることは冒頭の帽子のエピソードによって暗示されている。
 その事実を知って、小学生の頃、初めて「星の王子様」を読んだ時に感じた妙な違和感の正体に思い当たった。
​ 「星の王子様」の作者は目前の読者を相手にしていない。こっちを見ているようで見ていない。宮沢賢治の童話を読んでいても同じように感じることがあって、時々、作者はどこか遠い場所を見ているのは、例えば?銀河の果て″であり、その世界では人が普通に生きていることは不可能といった辺りが妙な違和感につながっているのだと思う。
 もっとも気にならない人にはまったく気にならないようで、世の評価を考えればむしろ作品の隠し味になっているのだろう。​
​​​​​ 実は、高野文子「黄色い本」を案内しながら、「銀河鉄道の夜」について、「子供向きなのか、これは?先生とかが、いいっていうから、面白いって言ってるだけちゃうんか。」と、面白くなかった自分の子ども時代の悪たれ口を書いたところなのだ。​​​​
 もちろん、今のぼくには「銀河鉄道の夜」も「星の王子様」もいい作品だと言い切ることができる。しかし、例えば、高校生に説明しようと思うと、それはそれで、手間がかかることだなあ、というのが実感だし、やっぱり、愉快な仲間の「チビラ1号」のような小学生に「おもしろいよ」っていうふうに薦めるかどうか、迷うところがある。
 ​​そのギャップを柳広司がすっぱり言い切っていて、「わけわかんないところはあるけど、まあ読んでみなよ。」くらいでいいんだと、スッキリ!​​
 ​​ああ、そういえば、柳広司「漱石先生の事件簿」(角川文庫)という推理小説めいた作品もを書いていたことを思い出した。​​
 パスティーシュという小説技法がある。「文体模倣」と訳されたり、「パロディ」と同じような意味で使われたりしているが、この小説は漱石の小説世界の文体はもちろんのこと、「吾輩は猫である」の猫のいる世界そのもののパスティーシュといったおもむきだ。​
 基本的な登場人物、小説が描く社会、時代もみんな「吾輩は猫である」の世界都市描かれている。ただ、語り手が「猫」ではなく、苦沙弥先生の家に居候することになった、原作にはいない書生の青年。この青年が事件簿の書き手であり、事件を解決する探偵の役も演じている。だから文章が、どこか素人臭い。
 さて、この探偵が解決する事件は苦沙弥先生の家に入った空き巣の正体とか、「猫」の彼女の三毛子は誰に殺されたのかとか、原作の「猫」中に、あったか、なかったか、定かでない事件ばかり。それがこの小説ではメインのストーリーになっている。
 推理小説として読めば、事件はどうでもいい些細な事件ばかりで、読者と作者がなぞ解きを競うような緊張感のある展開は一切ない。だいたい推理小説という空気がこの小説にはない。なにせ、登場人物が「迷亭」とか「寒月」、「苦沙弥先生」といった「猫」の人たちなのだからサスペンスなんてかけらもないことになるのは当然だろう。
 その結果かどうか、何人かの、若い小説好きの読者に感想を聞いてみても、おおむね「つまらない」という。ところが、困ったことに、まあ、別に困らなくてもいいのだが、ぼくには、そこそこ面白かったのだ。
 というのは、この小説を推理小説として読むから面白くないのであって、作家が面白がっているのは、苦沙弥先生たちとその時代の日常というものに対する推理、ないしは謎解きなのではないかと考えれば、これは結構うまく解決できているの作品なのではないだろうかというのが、ぼくの解釈。
 決して「漱石とその時代」的な探求ではなく、あくまでも「猫」とその世界の戯画化、落語化、テレビドラマ化として、ヒマな作家が作り出した小説世界。
 そう考えると、実によく調べられている面白い作品だと言えないことはない。とはいえ、作者のねらいと、ぼくが感想を聞いた若い読者の充たされたい欲望のあいだに、何か、大きなズレはないだろうか。
 漱石的な時代そのものが、若い土砂の寒にのなかにはない、たぶんそのことに気付いている
作者は案外したたかなのかもしれない。(S)​​

2018/08/06(画像は蔵書の写真です)
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最終更新日  2020.12.20 20:28:03
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