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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2019.09.23
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橋本治「勉強が出来なくても恥ずかしくない①~③」(ちくま新書)

 入学したての中学生や、高校生にとって、一学期の中間テストは結構緊張を感じる出来事であるかもしれませんね。高校によっては、結果が順位となって示されるということもあって、不安な出来事でもあるでしょう。​
​ 個人的な感想をいえば、実はたいしたことではありません。考えたり、感じたりする能力は本来は全く個人的なもので、他の人と比べて評価できるようなことではないでしょう。しかし、一方で、学校という所の評価ということは他者との比較以外に方法が無いという事情もあるのでしようがないともいえます
 教員が一人で生徒が一人しかいない場にだって比較はあるのです。おそらく、絶対的に新しい考え方や理論が生まれるところにだって比較はあるにちがいないとぼくは思います。
 全く個人的で自分だけのものという、世界そのものが不可能なのかもしれません。そこのところを突っ込んで考えるのはどうも大変な気がするし、大変を抱え込んでしまって苦しんでいる人に出会ったこともあります。
 それならば考え方で対処すればいいと思うのですが、これがなかなか難しいのです。​
​​​ 亡くなってしまった橋本治が書いた「勉強が出来なくても恥ずかしくない①~③」(ちくま新書)という不思議な小説があります。
 題名の通り勉強が出来なくても恥ずかしくないんだよ、という「メッセージ小説」かというとそういうわけではないのです。それぞれの本に巻いてある腰巻広告のコピーは「学校、好きですか?」「『あそび』は『まなび』」「学校の外で学ぶこと」となっています。読んでみると小説の内容とかなり違うのですね。出版社というのは社会的風潮に迎合して客寄せのキャッチコピーをつけるのであるなと、つくづくそう思う腰巻です。
 小説は​​学校が苦手で、皆が大騒ぎしている受験とかテストとかが苦手で、「何で、今日、本当に楽しいことを素直にやってたら駄目なんだろう」と考えてしまう少年が主人公です。
 他者との比較と既成の価値観の世界で「何で」と苦しむこと。立ち止まって進めなくなること。周りの大人たちから「おさなさ」として扱われ、それ故に、本人にとっても​「おさなさ」​にしか見えない煩悶を、それぞれ、どうしたらいいのかって、少年や少女達は苦しむことがあると思うのです。
​​ この作品は、やがて大人になった少年が、あの頃の少年に向かって「だいじょうぶだから、そのまま歩いて来いよ」って呼びかけるのがこの小説だと思いました。​​​​​​​

​「大学での勉強は、『自分の考えたい事をきちんと考える』というものでした。ケンタくんには、考えたいことがいくらでもありました。『世の中は、どっかおかしい』とか『どうしてみんな、大学に行くんだろう?』とか、『なんかへんだな』と思うことは、いくらでもありました。『自分の考えたいことを考える』ということがわかって、ケンタくんは、『小学校や中学校や高校の勉強は、そういうことができるようになるためにするもんなんだな』ということもわかりました。そして、『今頃そんなことわかっても、遅いかな』とも思いました。」​
​​​​​ 大学生になった主人公がこんな述懐をするのですが、実はここで主人公が『自分の考えたい事をきちんと考える』といっている「考えたい事」とは何か、それはどこからやってくるのか、という大切なポイントは小説には書かれていません。そこが、この小説の不思議の所以なのです。
​​ ぼくはこの小説を読みながら、哲学者の鶴見俊輔が書いた「読んだ本はどこに行った」(潮出版社)の中でこんなことを言っていることを思い出しました。​​​​
 私は、森喜朗前総理大臣の『日本は天皇を中心とする神の国であるぞ、それを国民に納得していただく』という発言を聞いた時に、これ前に聞いたことあるぞ、と思った。梅棹なんだ。ただし、彼が日本は神の国であるという場合、考えているのは八百万の神、アニミズムなんですよ。だから意味が違う。もちろん『天皇を中心とする』とは言わない。森さんが言ったのは、戦前の軍国日本と手を切らない方向でしょ。梅棹は似たことを言っても、やおよろずの神なんです。柳田國男も同じで軍国主義には行かなかった。だから高野長英あり、柳田國男あり、武谷三男あり梅棹忠夫ありという風に考えていけば、日本には日本流のプラグマティズムがある。実はこの千年来の日本の大衆思想は、プラグマティズムなんです。それを退けているところに日本の大学の哲学がある。それとプラグマティズムとが相容れないのは当然だ、というのが、私の感想ですネ。『思想は論じるものではなく、使うものである』という梅棹の考え方は、フランクリンに似ている。

​​​​​​​​​​ 急に人の名前がズラズラ出てきて何のことかわからないと思うのですが、要するに橋本治の小説の主人公は​鶴見俊輔​がここで言っているプラグマティックなことを考え始めていたに違いないということなのです。
 ​「プラグマティズム」​というのはアメリカで生まれた哲学ですが、直訳すれば​「実用主義」​です。で、​鶴見俊輔​が説明しているのは生活の方法としての実用ということだと思います。
 たとえば、入試やテストに合格したいから勉強しますというのは、ちょっと違うと思います。それは勉強のウォーミングアップのようなことであって、問題はその後にやってくる本当の勉強にあるのです。自分が暮らしてきた生活の中から生まれてきた「考えてみたい」ということがあるかどうか。「考えてみたい」ことを生み出していく、そんな生活をつくりだすことこそが実用ということじゃないでしょうか。​​​​​​​​
​ ​​​​​​​​小説の主人公ケンタくんは作家自身をモデルにしているようですが、橋本治という作家が、ある時はイラストレイター、編み物デザイナー、小説家、美術史家、またある時は古典文学研究者と、マルチな興味の世界でオリジナルな活躍を続けてきた人物でした。
 この作品は彼の、このオリジナリティは「学校」という集団生活の中での、評価という既成の価値の押し付けをものともせず、自分の中に生まれる疑問や興味を殺さず育てた強さの中で生まれたものだと宣言する回顧録のような小説です。
 「ひらがな美術史シリーズ」(新潮社)、受験界を仰天させた「桃尻語訳枕草子」(河出文庫)をはじめとする数多くの仕事が、過去二十年にわたって大学出の専門家や頭のかたい高校教員達によって、黙殺を持って迎えられ、評判に唖然した上で、ようやく、お追従のように評価された理由は、彼が​「興味を持って考えてみたいこと」​を徹底しているとことにあるのです。
 中途半端な結論ですが、新しい学校にやって来た今、興味さえ湧けば、読むべき作品は、山のように並んでいます。
​「興味を持って考えてみたいこと」​​は読むことから見つける手もあると思うのです。いかがでしょう、始めてみませんか?
 ところで、高野長英は幕末の洋学者、柳田國男は民俗学の創始者。武谷三男は戦後を代表する物理学者、梅棹忠夫​「文明の生態史観」​文化人類学者。忘れられつつありますが、どの人物の​オリジナリティー」​も一読に値しますよ。S)​​​​​​​​​​
2006・05・19
追記2022・02・01 
 高校の教室で配布していた「読書案内」の記事です。1年生に向かって書いているのですが、今読むと、ぼく自身の力んだ気持ちばかりが暑苦しく伝わったことでしょうね。それにしても、スマホやネットという何でもすぐにわかってしまう気がする新しい媒体の世界で、ノンビリと​「興味を持って考えてみたいこと」​を手にすることが、あの頃より、もっとむずかしいのだろうと、よけいなしんぱいをしています。


 この本は、案内を書いた当時、​「ちくまプリマー新書」​で書き下ろされた三部作でしたが、今では​ちくま文庫​で1冊のまとめられて再刊されているようです。もう古い本なのですね。​橋本治​か何者か知らない人が読むと、あっけにとられるような話です(笑)。
 
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最終更新日  2023.06.09 13:37:22
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