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宮沢賢治「雨ニモマケズ」
高校の国語の教科書に宮沢賢治の「なめとこ山の熊」が出てきます。とても有名な童話ですが、なぜか高校の授業で出てきます。中学校では「注文の多い料理店」なんだそうです。ぼくの小学生の頃は「よだかの星」が出ていました。「ゆかいな仲間」たちのころは「クラムボンは笑ったよ」の「やまなし」だったかな?いや、これは、寝床で読んで聞かせたていた絵本だったかもしれません。 ともあれ、宮沢賢治は学校の国語の時間に人気のある詩人で、童話作家NO1なんです。詩もあるし童話もあります。「Ora Orade Shitori egumo」の「永訣の朝」のない教科書はちょっと想像できないですね。 ところで宮沢賢治の『雨ニモマケズ』の題で有名な詩は、元々は手帳の走り書きであったことはご存知でしょうか。 五一頁・五ニ頁(鉛筆・青鉛筆) 太字が頁数ですが、彼が残した「黒い皮の手帳」のものです。最初の「現代詩読本」の表紙写真にある手帳です。「ヒドリ」とあるのは「日照り」のことですね。こうしてみると読みにくいですね。 もはやかれが、現世において、また現世にたいしてなしうることはなにもな。かれの、自死にもひとしくえらばれた意図的な病死は、おのが身を仏への供養とすることにほかなるまい。―あの法華経にいう焼身供養にもひとしく、である。 ともあれ、50年前に、僕が通っていた中学校の校門には「雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ」と彫ったプレートがはめ込んでありました。それが、この詩との出会いです。当時、やたら頑張れといっているように感じて、少々めんどくさかったのですが、こうして今読んでみると、むしろ「頑張れない」と泣いていることばようにも感じますね。頑張って偉くなる事をおそれているような気もします。無力であることを耐えつづけている人、いや、覚悟を決めてしまった人かもしれません。 「雨ニモマケズ」は、そんな人間のポケットにコッソリ隠されていた哀しい秘密だったのかもしれません。 そう考えてみると、あのプレートも、結構ラジカルだんじゃないか、そう思いませんか。(S) にほんブログ村 ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.29 01:20:53
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