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岡部伊都子「沖縄の骨」(岩波書店)
今から15年ほど昔のことです。三学期の最後の授業だったでしょうか、三年生は受験戦争の最中だったのでしょうね。ぼくはのんびりこんなことを書いていました。別れの挨拶のつもりだったようです。 木村のお母さんが、折(ヘギ)に扇子つけて持って来はった。結局、婚約したから、はじめて婚約したあとで来やった時に、それが最後でしたけど、それまで男の人入れたことのない私の部屋へ、婚約したから入れさせてもらえたわけですけど・・・。 戦争や暴力に対する警戒心が風化しています。戦後六十年。1945年、敗戦当時二十歳だった人が2004年、八十歳。時とともし忘れられたり、美化されたり。人間の記憶の特性のひとつといえばそれまでなのですが、こと戦争や国家による暴力について詠嘆で済ませる事は得策でしょうか。 最近小熊英二という四十代前半の学究が「民主と愛国」(新曜社)という1000ページ近い論文を発表しました。戦後日本の思想の動向を丹念に描いて評判になっています。内容は高校生には少し難しいかもしれません。しかし、日本という国の現在の有様に関心を持つのであれば手にとって見て損はないと思いますよ。 ダグラス・ラミスという六十代後半の在日アメリカ人がいるのを御存知でしょうか。津田塾大学で教えていた人なのですが、最近は沖縄に住んで「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」(平凡社ライブラリー)とか「なぜアメリカはこんなに戦争をするのか」(晶文社)という本で「有事法制」とか「日米新ガイドライン」について、とてもわかりやすく批判しています。 にほんブログ村 ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.09.08 23:55:43
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