柳宗民 「日本の花」(ちくま新書)
空き家になっている田舎の家の裏山が崩れました。2018年の夏の大雨のことです。一年以上かかって補修工事が終わりました。土砂に流された跡地にサザンカの木だけが残っていて、花をつけていました。ちょっと、嬉し気分を味わいました。
工事の人の親切で、植え直していただいたようです。ありがたいことです。
帰宅して「日本の花」の「秋の花」のページ開くと、美しい花の挿絵と一緒に出ていた。
「おっ、あった、あった!」
サザンカとツバキはどう違うか?簡単に云えば花時がサザンカは秋、ツバキは木偏に春という国字が作られたように春咲き、ということになるが、サザンカにも春咲き種があるし、ツバキにも秋から冬に咲く種がある。ツバキは花が終わると花は散らずに花ごとポトリと落ちる。サザンカの方は一枚づつ花びらが散り、いわゆる散りサザンカの美しさを楽しませてくれる。ところがツバキんも散りツバキというのがあって、はっきりした区別点とは云い難い。
この後、雄蕊や雌蕊の形、茶筅型か梅芯型かとか、葉の光沢、の特徴が語られるのですが、なかなか結論に至りません。要するにそっくりなんでしょうね。 結論はこうでした。
正確な区別点はツバキでは子房や新芽には毛がないが、サザンカには微毛があり、これがはっきりとした区別点と云われる。
続けて読んでいて、子どもの頃、山茶花究という名前のコメディアンがいたことを思い出しました。
サザンカの漢字表記の面白さに触れてこんなふうに記しています。
サザンカは山茶花と書くがこれは誤りで、先の「花壇地錦抄」では茶山花となっている。いつ、茶と山がひっくり返ったのか。また中国ではサザンカは茶梅といい、山茶とはツバキのことである。やはり茶山花と書いた方が素直ではないか。山茶花、サンサカの語呂がサザンカ似るのでいつのまにか茶山花が山茶花になってしまったのだと思う。どうも漢字名とはなかなか厄介なものだ。
「茶山花」では、「サザンがキュー」の語呂合わせの、お笑いの名前にはならないのかなと考えていて気付きました、読みは「サザンカ」なんですね。
いかがでしょうか。街を歩いていて立ち止まるときがあります。小さな花が咲いているけど、名前を知りません。帰ってきて、季節の花を探します。「あった、あった。ふーんそうか。」
誰かに話せるわけでもないのですが、この、ちょっとした「蘊蓄感」が楽しいのですね。
この図鑑は解説の文章がいのちでしょう。文章がいいのは、父親、柳宗悦ゆずりでしょうか。
載ってる花は60種くらいで、名前は、ぼくは知らないのですが、おそらく誰でも知っている入門編タイプですね。挿絵は相田あずみさんの手書き。これもいい。
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