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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2019.11.26
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​​野口武彦「幕末バトルロワイヤル(全4巻)」(新潮新書)
​ 世を去って20年、日本史がお好きな人のための読書案内の定番は、やっぱり、司馬遼太郎だろうか。​​​

​​​​​​​ 司馬遼太郎が、幕末から維新への歴史を人物で描いた歴史小説のシリーズは、ご存知「竜馬が行く」(文春文庫)をはじめ、新撰組とともに滅んだ土方歳三を、人気者竜馬に負けないヒーローに仕立て上げた傑作「燃えよ剣」(新潮文庫)、北越戦争における左幕派、長岡藩の死闘を、​​
《早く生まれすぎた男》
​ ​とでも呼ぶほかない人物、河井継之助の悲劇的生涯と重ねて描いた「峠」(新潮文庫)と、枚挙にいとまがないわけですが、たとえば、この北越戦争で壊滅的打撃を受けた長岡藩の末裔の教育思想が、いつかの総理大臣が口にした「米百俵」という言葉だったりするわけですが、​​​​​これらの長編小説は、その、ほとんどが文庫化されて、ある時代の学生たちにもよく読まれました。まあ、その結果というのでしょうか、あまり賢そうでない近頃の国会議員たちが、やれ吉田松陰が、高杉晋作がと、この時代の人物を理想化して口にする様は、彼の小説群の世相に与えた影響力と考えてよさそうだ。
 彼の小説には、読者のイメージの上滑りを煽るようテンポのよさで、主人公と同化することを強いるようなうまさがあって、​そして、それが、人気の秘密の一つだと思うのですが、土方俊三を理想の男性だと公言してはばからない女性を知っていますが、確かに​「燃えよ剣」​の土方歳三は女性読者にモテルに違いないわけですが、​​​​司馬遼太郎の主人公は土方に限らず、例外なくカッコよくて
「男らしい!?」
​ わけですが、じつは、そう描かれている、そこにこそ司馬遼太郎の文体の秘密があるという、ちょっと醒めた眼差しも忘れてはあきませんよという気がボクはするのですが。​​​
 彼はもちろん事実を曲げたりはしていません。しかし、作家が。それぞれの人物を、混沌たる歴史の海から浮上させてきて、セリフを与え、表情を描いていく筆の鮮やかな描線に読者が陶酔しているにすぎない可能性があることについて、ちょっと冷静になって見るのはいかがでしょう。
 文芸作品として優れているのは、その文体の、独特な造形性にあるわけで、何も文句をいう筋合いはないのですが、
読者が陶酔し、理想だと信じている主人公たちは本物なのでしょうか?歴史忘失のアホ議員が。安易に、松陰や継之助を持ち出す風潮に、フト、そんなふうに感じるわけです。
 で、ここに​​野口武彦「幕末バトルロワイヤル」(新潮新書)シリーズ(全4巻)​​があります。​
 江戸思想史のエキスパートである著者が猥雑な現実を洒脱な筆遣いで描き、「週刊新潮」に連載した歴史エッセイの新書化です。
「おじさんたち」向けの著作なのですが、四冊が照らし出すのは天保の改革から桜田門外の変を経て、明治元年にいたる歴史の現場であり、その現場でさらけ出される人々の素顔といっていいでしょう。
 志ポットが当てられているのは、たとえば、江戸の将軍であり、水戸の天狗であり、京の貧乏公家であり、下田の黒船船上の尊攘志士、吉田松陰ですね。
 たとえば、シリーズ第2巻「井伊直弼の首」の「至誠人を動かす」の章にこんな記述があります。​​
 現実には一介の幽閉された行動家に過ぎない松陰が「孟子」でいちばん愛したのは「至誠にして動かざる者は未だこれあらざるなり」という一語であった。臣下が誠を尽くせば、君上はこれを信じ、上下の心は必ず通じる。誠は人を動かす。そう思い込んだ松陰の行動原理はあまりにも純粋無垢で、俗吏がはびこる世間では処置に困るほど、いや、時には門弟たちすら辟易するほど真っ正直だった。
 つづけて「小塚原の首」の章では安政の大獄に連座した吉田松陰の姿が描かれています。取調べの三奉行(寺社・町・勘定)の前で松陰は​
 ペリー来航以来の幕府を批判して熱弁を揮った。ヤブヘビだった。信じられないような真っ正直さで、老中間部詮勝の迎撃を計画したことを進んで申し立ててしまったのである。​
​ ここには松陰の愚かしいとも、誠実ともいえる素顔がクローズアップされています。​
​ 解説的にいえば、老中襲撃計画はまったくの絵空事といってよい計画であったにもかかわらず、彼は、《弟子たちも辟易する》至誠を貫き、妄想というほかない、頭の中でねばならないと信じた計画を告白し、小塚原で首をはねられたわけです。​
​​​ 次章「桜田門外の変」で描かれている大老井伊直弼の首を取った水戸浪士たちもまた妄想家たちででした。彼らに確たる状況認識・政治的展望があったわけではないことは、本書をお読みになればわかります。​​​
 しかし、これらの事件の結果、時代は動いたのです。
​​ 大老の死は幕府の屋台骨を傾け、師の復讐を誓った高杉晋作をはじめとする松下村塾の門弟たちが、傾き始めた幕府に止めを刺すべく回天の活躍を始めます。
妄想の人の至誠が人を動かし、歴史はアイロニカルに場面転換していっのでした。
​​​​​ この四冊には幕末を生きた人々の素顔が細密な風刺画怜悧なサタイアとして、愚かしさも純粋さもくっきりと描き出されています。現実を生きた人間だからこその猥雑なリアリティがそこには浮かんできます。​​
 出版されて十年。当時「至誠の人を尊敬する」と公言し、幼稚な愛国思想を標榜してトップに立ち、今、私利私欲の猥雑な素顔をさらし始めた政治家の末路を見通すかの好著だと思います。乞う御一読。(S)2018/06/24

追記2024・06・14

 ​​著者である野口武彦さん6月9日
亡くなりました。ボクにとっては、50年にわたる畏敬の人でした。何ともいえないさみしさの中にいます。​​

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最終更新日  2024.06.22 19:13:31
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