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カテゴリ:映画 日本の監督 タ行・ナ行・ハ行 鄭
濱口竜介「ハッピーアワー」元町映画館
そろそろ2019年も終わりますね。今年は長い映画をよく見ましたが、これが見納めでしょうか。元町映画館では2015年完成時の先行上映以来、年末にはこの映画の上映会をやると決めているようで、今年で5年目だそうです。モチロン、ぼくは初めて。同じ監督の「寝ても覚めても」を見て、妙に引っ掛かって以来、心待ちにしていた映画でした。 午後1時30分から始まって、7時30分まで、5時間17分ですね。1時過ぎに映画館について、入場予約番号が18番でした。想像したほどの混み方ではなくてホッとして、いつもの座席に座って、一つ目のおにぎりを頬ばりました。 トンネルが正面に見えて、やがて視野が開けてきて、4人の女性がケーブルカーの座席に座っています。六甲山ですね。山上のテラスはあいにくの雨で、街並みも海も見えません。 ここから「重心探し」のワークショップでの鵜飼君くんとの出会い、「純」夫婦の離婚裁判、有馬温泉旅行、「純」の失踪、小説家の朗読会、中学生の妊娠、次々と小さなエピソードが、ケーブル・カーの席にならんで座っていた4人の人間関係や生活を重ね合わせながら展開します。 映画は長いですが眠くなるわけではありません。4人、それぞれのポートレートが描かれていくわけですが、それぞれの家庭や職場を描くシーンも、飽きずに見る事が出来ます。役者の熱演(?)、いや真剣な演技も悪くありません。4人は、それぞれの明日を生きようとして映画は終わります。 5時間17分、見終わって少し寂しいものを感じました。若い監督が作った、力みまくってはいるけれど、素直な力作、そういえばいいのでしょうね。中々印象的な映像も随所にありましたし。なんといっても、舞台は神戸。風景から、彼らがどのあたりにいるかなんてことも興味津々で、なかなか面白い。 でもね、頭で考えた映画という印象がぬぐえないんです。見ながらずっとそう感じていました。登場する4人の女性の在り方、その相手の男性たちの姿、それぞれを丹念に追って5時間というフィルムに仕上げた力技は悪くないと思います。しかし、現代の三十代のカップルたちは、本当にこういう葛藤を生きているんでしょうか。 妊娠騒ぎの対応も、父親の発言は意味不明ですし、なんぼなんでもアホすぎますね。女子中学生の家族の反応も理解できませんね。朗読会で延々と読まれた小説も、小説としてはさっぱりでしたね。 何だか、凄いことをやりたがっている作り手の「上から目線」のようなものが、映画を支配しているのではないでしょうか。残念ながら「寝ても覚めても」で感じた引っ掛かりは持ち越しのようです。 監督 濱口竜介 脚本 濱口竜介 野原位 高橋知由 製作 高田聡 岡本英之 野原位 製作総指揮 原田将 徳山勝巳 撮影 北川喜雄 キャスト 田中幸恵(あかり 看護師) 菊池葉月(桜子 専業主婦 中3の息子) 三原麻衣子(芙美 学芸員 ) 川村りら(純 離婚訴訟中) 申芳夫 (桜子の夫 良彦) 三浦博之 (芙美の夫 拓也) 謝花喜天 (純の夫 公平) 柴田修兵 (鵜飼) 2015年 日本 317分 2019・12・28 元町映画館no32追記2019・12・29 映画「寝ても覚めても」・小説「寝ても覚めても」それぞれクリックしてみてください。 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.30 22:32:06
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