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カテゴリ:読書案内「社会・歴史・哲学・思想」
「ナショナリズムの克服」(集英社新書)
ほぼ十年前に高校生相手に書いた「案内」です。今年は東京でオリンピックだそうで、案外ピッタリかなと思って復刻します。 今回案内する「ナショナリズムの克服」(集英社新書)という本の中にこんな会話がある。 森巣博 ぼくみたいに、あっちのほうがすごいなあ、と手放しで感心する必要もないけれど、よその国と比べて、自分の国は特別で、人間的で、安全で、正しく美しいなんてふうには考えないほうがいいのは当然なんじゃないだろうか。大げさな抑揚で語るテレビキャスターを見てると、世界の果ての井戸の中の蛙の主張を聞いているようで、うんざりしてしまうのだ。 ちなみに森巣博は「無境界家族」(集英社文庫)という快著がおもしろい、自称国際的博打打ちで小説家。発言中にある「菊と刀」(講談社学術文庫)や「風土」(岩波文庫)は日本論の古典的名著。 姜尚中はいわずと知れた硬派の東大教授。最近では「悩む力」(集英社新書)、「在日」(集英社文庫)とヒットを連発している政治学者。(「菊と刀」は光文社古典新訳文庫で新訳が出た。どっちでもいいと思うが、乞う!ご一読。) テレビ放送も、日本選手が勝てそうな競技を放送するのだけれど、メダル、メダルとうるさい。オリンピックは参加することに意義があると子供の頃に教えられたように思うが、どうもそういうわけではなさそうだ。フェンシングなんて予想もしなかったのだろう、騒ぎ方が不自然で気持ちがよくない。なんて、ぶつくさ小言幸兵衛になっていると、陸上競技400メートルリレーで日本チームが銅メダルを取ってしまった。はははは。 100メートルの朝原選手がついにオリンピックでメダリストになったのだ。実は彼の高校時代に教室で教えたことがある。走り幅跳びでインターハイに優勝して以来、20年近く走り続けて、おそらく最後のゴールがオリンピック銅メダル。おめでとう!(S)2008/09/09 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 追記2020・08・23 この記事をブログに載せた時点で「東京オリンピック」は開催される予定でしたが、新コロちゃん騒ぎで、一応、延期ということで、2020年の夏は終わろうとしています。 この間の関係者(?)の言動は、オリンピックという行事が「金」にまみれていること、安易なナショナリズムを蔓延させる装置であること、便乗政治家のイメージのためにあることを、文字通り「赤裸々」に露出させてきましたが、果たして、来年、おさまらない新コロちゃんの東京の、予想される酷暑の中で開催するのでしょうか。 ボタン押してね! ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.12.17 23:01:22
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