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テリー・ギリアム「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」シネリーブル神戸
セルバンテスの「ドン・キホーテ」がネタ、というか原作の映画なのだから、ただでは済まないにちがいない。なにしろテリー・ギリアム監督、構想30年の映画化なのだということだし。 そういう期待でやって来たシネ・リーブルでした。「風車に向かって突進する」おなじみのシーンで映画が始まりました。 映画の映画、物語の物語、おそらく、そうなるしかないだろうと予測した展開なのですが、そこから、映画の映画の映画を、メタ・メタ・フィクションとしてどう展開していくのだろうと、映像にくぎ付けではあったのですが、「スター・ウォーズ」と昨年の「ブラック・クランスマン」で顔を知っていたアダム・ドライバーがCM映画の監督からサンチョ・パンサになったあたりでは、「なんぼなんでも、それは!?」と、ちょっと引いてしまいました。 やがて、村の娘で且つロシアの富豪の情婦とのラブストーリー。さあ、これで、いよいよまとめに入るのかと油断したのですが、さすがにそうは問屋は降ろさないわけで、とどのつまり、原作「ドン・キホーテ」のように、我に返った靴屋のおやじは昇天し、振り出しに戻ったと思わせて、最後のドタバタシーン。 なかな可愛らしいサンチョとドン・キホーテの旅が再び始まって幕ということでした。 「なるほど、そう来ますか。」 何しろ、ネタが「ドン・キホーテ」なので、なんとなく予想していた幕切れだったのですがアダム・ドライバー君で「ラ・マンチャの男」は、ますます似合わないなあと思っってしまいました。 納得がいったような、いかなかったような。お色気のお笑いとスペインの風景で十分元は取ったようなものだったのですが、この手のメタ、メタ映画というのはどこかで気持ちが引いてしまうと、バカバカしいだけというか、手の内が見えてしまうという感じがするものだと思うのですが、そういう感じが残りました。 あの「モンティ・パイソン」の監督も79歳になって、30年がかりの企画をついに映画にして見せたわけです。その執念というか、「ドン・キホーテ」という原作の力には拍手ですね。随所に懐かしい型の「笑い」と「お色気」、「瞑想」を誘うような美しい風景が散りばめられていて、どこか懐かしい映画でした。でも、この「なつかしさ」は少し残念でした。 「Lost in La Mancha」というドキュメンタリーがあるそうですが、見てみたいですね。オーソン・ウェルズも映画化を企画したらしいのですが、それもうまくいかなかったそうです。この、スペインの「国民文学(?)」は映画との相性が悪いのでしょうか? 監督 テリー・ギリアム Terry Gilliam 製作 マリエラ・ベスイェフシ セルバンテスの小説の「ドン・キホーテ」(岩波文庫)をこの映画を見た機会に見直しました。その感想はこちら。アダム・ドライバーの出ている映画「ブラック・クランズマン」の感想はこちらから。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.22 23:16:03
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