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カテゴリ:週刊マンガ便「コミック」
小梅けいと「戦争は女の顔をしていない」(KADOKAWA)
2020年のお正月がすんで、節分が終わった次の日、立春ですかね。ヤサイクンがいつものようにマンガ便を運んできました。 「あれ、これって評判やん。」 まあ、親子の会話としても、老人と若者の会話としても、親であり、年長の側の、えらい失礼な言い草がありますが、ビルドゥングス・ロマン大好きな、永遠の少年ヤサイクンが、評判の社会派マンガ、「戦争は女の顔をしていない」(KADOKAWA)を運んできました。 原作はスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチという「チェルノブイリの祈り」(岩波現代文庫)で世界中から注目され、2015年、ノーベル文学賞を受賞した、ベラルーシという国の女性のジャーナリストです。 「チェルノブイリの祈り」という作品も、聞き書きのスタイルで、放射能に汚染されていく社会で生きている人たちの姿を、一人一人浮き彫りにする作品でしたが、「戦争は女の顔をしていない」(岩波現代文庫)は、彼女のデビュー作です。 「大祖国戦争」、ソビエト連邦では第二次世界大戦のヨーロッパ東部戦線での戦いをこう呼んだそうですが、プロレタリア独裁国家の存亡をかけて、文字通り国家総動員の戦いで、何十万人もの女性が兵士になって従軍した戦争だったそうです。 しかし、命永らえて帰国、帰郷した女性兵士たちは、女性であるからこその戦場体験の悲惨も戦後の生活の苦闘も、30年間、誰にも語ることができませんでした。 原著者のアレクシエーヴィチは、動乱のソビエト社会を生き抜いてきた何百人もの元女性兵士をインタビューし「戦争は女の顔をしていない」(初訳三浦みどり 群像社)として1985年に出版しました。日本に紹介されたのは2008年、三浦みどりという方との翻訳ですが、翻訳者の彼女はすでに亡くなっているようです。 さて、漫画版「戦争は女の顔をしていない」ですね。原作に忠実なマンガ化のようですが、第1巻は七章からできています。で、そこに登場するのは洗濯兵、軍医、狙撃兵、衛生指導員、高射砲兵、斥候兵、一等飛行兵、鉄道機関士、射撃兵というふうに、歩兵以外の戦闘要員、輜重、衛生などの、あらゆる実戦部隊を経験した人たちです。 歩兵師団長を助けようとした狙撃兵マーシェンカ・アルヒモアが、砲撃で両足を失うシーンです。 「私を撃ち殺してくれ。」 それが彼女の叫びでした。 「今はもう会うのが怖くないわ。もう歳とってしまったから。」 出征前に母が期待した「女」の人生を失った、マーシェンカの30年ぶりの帰郷でした。 「読んだん?」 「絵」も「物語」の運びも、けっして上手とは言えないマンガですが、第2巻以降もきっと読むと思いますよ。 ボタン押してね! ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.08.17 08:08:53
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